線香亭無暗のやたら模型制作室
はい皆様、2週間のご無沙汰でしたが、いかがお過ごしでしょうか。
「線香亭無闇のやたら模型制作室」、ちょいとした事情で“一回休み”をいただきましたが、ここから改めて2011年のスタートという事で、今年もご愛顧のほど宜しくお願いいたします。

さて、というわけで2011年最初のお題はこれ。

バンダイ HGUC 1/144「RGM-79C ジム改」です。2010年8月発売と、ちょっと前のキットですが、いいんです。「好きなものを好きなように作るのがガンプラだ!」。この間からこればっかりですが……。まあ、量産機好きとしては今年最初の作例が“ジム”というのも、なかなかオツなもんです。
じゃあ、早速キットを見ていきましょう。

簡単に機体解説しておくと、OVA「機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY」や、その劇場版「機動戦士ガンダム0083 ジオンの残光」に登場するMSで、一年戦争末期、散漫になりつつあったジムの規格を統合、新技術なども投入して設計変更されたジムの改良型という設定です。バリエーションとして「ジム カスタム」や「パワードジム」なんていうのもあるので、汎用性と拡張性に重点を置いた量産機と見ることもできます。デザインの初出はモデルグラフィックス誌に載ったカトキハジメ氏のイラスト。その後、0083が制作されるにあたって手直しされ、さらにMGキット化にあたってリファインされ、2002年11月に「MG ジム改(スタンダード)」として発売。それから8年後の2010年にHGUCで発売されたという経緯です。そんな訳でファーストガンダムに登場したジムとは異なり、かなり“プロダクトメイド”の香りの濃いデザインとなっています。

さて、まずは三面の写真から。今回はランナーの写真は無し。いきなり仮組みが済んだところから始まります。別に深い意味はないんですが、プライベートで作ろうと思って仮組みしたまま置いてあったやつなんで、ランナーの写真が撮れなかっただけなんですけどね。

ファーストインプレッションは“足と首が短く、手が長い”という感じ。ちょっと寸詰まりな印象です。まずはじっくり眺め回します。

こうして見ると肩が頑丈だなぁ。首はやっぱり少し短いように思います。顔部分に関しては、設定画と見比べても下膨れの印象。口の角度と両側のダクトの大きさが問題なのかもしれません。

脚部を見ると足首から下が大きいように思います。でっかいスリッパを履いているような感じ。

そして今回最も気になったのが腕の長さ。多分それぞれのユニットは設定に近いんですが、微妙に間合いが狂ってる感じがする。

よくよく見るとやっぱり長い。手のひらを伸ばしたらヒザノした辺りまで指先が届きそうです。後ろから見るとそうでもないんだけどなぁ。これは関節部分が長いんですね。可動範囲は広いんですが、この辺りを何とか修正してみたい。後はスリッパ部分を小型化すれば足とのバランスも取れるんじゃないかと思います。


という事で、まずは気になる腕の改修から。
腕はこんな構造になっています。可動部分に関わるので、よく考えてから作業しないとうまく動かなくなったりして悲しい思いをしたりします。このジムの腕はしっかりとした関節部パーツで繋がれています。うまいこと加工すれば引き出し式の関節が作れるんじゃないかと考えました。思いついたら早速作業。

まずは取り付け位置を変えるため、潔くヒジ関節のマルイチモールドをハイパーカットソーで切り離します。

上腕部のパーツの丸い切込みをデザインカッターなどで大きく削って関節部の上側にモールドが来るように接着します。これハイパーカットソーならではといっていい加工です。切り離したモールドが、ほぼそのまま使えちゃいます。

元の位置との比較。

つづいて下碗部の加工。下碗部パーツの内側にぴったり納まるフレームに空いた穴を、内部のダボで止める構造になっています。という事は中身を切り飛ばしてしまえば引出し式の関節にできるんじゃないの? ということで綿密にあちこちの寸法を測ってから加工に取り掛かります。

はい、こちらが加工後。大胆に内側の構造を殆んど切り飛ばしてしまいました。右側は未加工のものとの比較。結構すっきりいっちゃってます。これでうまいこと腕を2mmくらい短くすることができます。クリアランスをギリギリに調整すると、特に固定など考えなくても、プラ同士の抵抗でうまい具合に稼動してくれます。最近のMG Ver.2.0なんかでもよく見かける手法ですね。まあ、“オレ的HGUCVer.2.0作戦”ってとこでしょうか。

加工が澄んだ腕一本分のパーツ。

組み立ててノーマルのものと比較すると結構違うのがわかっていただけるでしょうか。


ついでに肩アーマーも修正。妙な段があるのでプラバンで埋め、外側もポリパテで裏打ちした後に削り込んで短く成型します。

端っこのスラスターも切り取ってしまいます。切り取って気がついたんですが、キットパーツのスラスターは成型の関係上、左右が微妙に非対称なので、プラバンで新造しようと思います。

さて、ここで読者の方からのメールを紹介しましょう。ええと“hineko”さんという方からいただきました。

『いつも楽しく拝見させていただいております。
今回は、「技の泉」にリクエストさせていただきたいと思い、Mailさせていただきます。
取り上げて欲しい内容は、プラ板による工作です。最近は、ディテールアップツールなどが、多く発売されています。ですが、無いものを自分で作る際には、プラ版・プラ棒を使って工作したいと考えるのですが、どうも精度がでないので困っています。
精度を出す方法や、実際に工作する前にしておくことなどあれば、教えていただけますでしょうか』

はい、「技の泉」にいただいたリクエストなんですが、丁度いいので、こちらでちょこっとさわりだけ解説させていただきます。
“さわりだけ”と書いたのはプラバン加工というのは実に奥が深くて、エキスパートになると、とんでもない曲面形状をヒートプレスも使わずに作っちゃったりするんですね。そこで今回は最も単純な箱組みをうまいこと作る手順をご説明したいと思います。

正確なプラバン加工に欠かせないのがよく切れる刃物。私が使っているのは主に下の写真のようなものです。

鋭角のものと通常のカッター。上の木の柄のついたものは、この間「技の泉」で紹介したら一部で妙な反響を呼んでいる自作のもの。通常、プラバン加工に使うのは上のカッターです。

普通のカッターとは書きましたが、実は使っている刃にコダワリがありまして、貝印株式会社の「超鋭角 職専」というものを愛用しています。

貝印は剃刀なども作っている会社ですから切れ味は抜群です。結構手に入りにくいのが困っちゃうんですけどね。だからホームセンターなどで見つけたら必ず買うようにしています。多分10年分くらいのストックはあるかな? それと、この刃は、本来紙を切るように作られているのですぐに切れ味が鈍ります。そういう時は惜しげもなくポキポキ折って使っています。とにかく繊細な加工の第一歩は刃物の切れ味から、ということです。

つづいて直線の切断に便利なのがハイキューパーツのマスメツール。1mmの方眼が印刷されたノリ付きシートです。長い直線を平行に切るというのは意外と厄介なもので、きちんとアタリを取ったつもりでも中々平行にならない場合があります。これなら「ラインの上をまっすぐ切る」ことさえできれば簡単に平行に切断することができます。「そんなものは買いたくない!」という方は方眼紙にデザインボンドを塗って貼り付けてもOKです。

困っちゃうのが「その真っ直ぐ切るのができないんだよ!」という場合。大概は刃物の切れ味が悪かったり、力を入れすぎていたり、刃が直角に当たっていなかったり、といったところに原因があるんですが、そのあたりは慣れるしかありません。最近では“The CHOPPER ”なんていうプラバンカッターも出回っているようですが、使ったことがないので何とも言えない。正直あんまり欲しいと思ったことがないので……。これはあくまで個人的な意見ですが、カッターの直線切りがきちんとできれば、他のいろんな刃物の使い方も上手くなる。プラバンカッターに頼っていると直線以外のものを切るときに、また新しい道具が必要になるのでは?? と思っています。何事も“経験”第一主義だもんで。

で、切り出したプラバン。あ、書き忘れましたが、あらかじめどういうサイズのパーツを自作するのか、ちゃんと考えてから切り出しましょうね。現物あわせで作るとその後が厄介ですからね。

後は欲しいサイズに切り出していけばOK。

こういった細かい切り出しはデザインカッターで“ギロチン”のように切り出すほうが正確に切れます。

接着時に直角が欲しいときにはスコヤが便利です。これももう20年くらい使っている道具の一つですな。

で、全てのパーツを接着したら箱組みの出来上がりです。この後、ヤスリで形状を整えておきます。

はい、完成。中身はWAVEのバーニアパーツを加工したもの。こんなもんでいかがでしょう。


加工が澄んだパーツ類を組みつけてみました。

うん、なかなかいい感じ。

はい、今週の成果。腕の感じはずいぶん良くなりましたね。
出来がよくって何も手を加える必要のないキットというのも良いですが、自分なりの解釈で弄繰り回せるキットというのも中々楽しい。

てなところで今週はここまで。次回は上半身から足の加工までを終えてしまおうと思っています。
次回も、乞御期待!!

(C)創通・サンライズ

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