MPJ技の泉 「貼込みアイテム」活用法前編に続き後編をお送りします。

編集部(以下)「師匠、『貼込みアイテム』活用法、続いて後編ですよ」
線香亭無暗(以下)「あいよっ!」
「なんか軽いな……。前編ではTFシートを使った作例を見せてくれるというお話でしたが」
「うん。どうせならTFシートだけで、ひとつ模型を仕上げちゃおうと思ってる」
「そんなことできるんですか?」
「できるよ。では早速」

◆作業に必要な道具類


「まず、作例にかかる前に必要な道具から。定番のカッターとピンセット」
「なんかえらい木の柄みたいなのは何ですか?」
「カッターの柄。自分で柄の部分を作ったんだよ」
「そんなものまで作るんですか」
「うん、一番よく使う道具でしょ。ちなみに作業前にはカッターの刃を変えておくこと。今回の作業はカッターの切れ味が重要だからね。あと水。よく“中性洗剤を混ぜた水を使う”って言う人もいるけど、洗剤の量が多いとノリ自体を剥がしてしまうことがあるので、入れるのならホンのちょっとにしたほうがいい。自分の場合は普通の水で貼るけどね。それから次はシートを密着させるための綿棒と木べら」
「なんかカッターの柄と比べると、やけにショボイ木べらですけど」
「何を言ってくれちゃってるんだね、君は。これ柳の枝で作った自作のへらなんだぞ! 日本画の修復や和紙の貼り継などは柳のへらを使うこともあるんだからな」
「へえ、何で柳なんですか」
「柔らかさが丁度いいんだよ。紙を傷つけることが少なく、しっかりと圧力をかけられる適度な硬さなんだ。3Mの黄色いマスキングテープなんかも和紙だから、マスキングの時にはえらく重宝するんだ」
「へえ、なるほどねぇ~。必要な道具はこれくらいですか?」
「なんだそのざっくりした流し方は! 謝れ! 今すぐ世界中の柳の木に謝れっ!!」
「はいはい、じゃあ先に進みましょう」

◆お題は1/43カーモデル

「お題にするのはお城の模型などで有名な童友社から発売されている『1/43 ランボルギーニ レヴェントン』。プライベートで作ろうと思ってしまっておいたやつ 」

「カッコいいですね」
「うん。まずは基本的な貼り方を説明しよう。」
「お願いします」

「まず貼りたい部分よりも少し大きめにシートを切り出す。なれないうちは多少の無駄が出ても大きめに切り出しておくのがいいと思う」
「なんで大きめがいいんですか?」
「引っ張りながら密着させていくので、多少余白があったほうが引っ張りやすいんだよ。慣れてくれば、ほんの少しの余白をピンセットで引っ張るなんていう技もできるんだけどね」
「なるほど」

「切り出しが済んだら貼り付ける面をきれいにし、指先につけた水分で湿らせておいて、台紙から剥がしたシートを軽く乗せる。貼り付ける面の掃除は重要だよ。極薄のシートなんで、糸くず一本でも入っていると影響が大きいからね」
「なんだか掃除が面倒ですね」
「なに言ってんだ。塗装するときでも同じだろ」
「ああ、それもそうですね」

「そして“中心近くで最も出っ張っている場所”から外側に向けて、綿棒で水分を外側に押し出していく」
「なぜ“中心近くで最も出っ張っている場所”からなんですか?」
「シワがよらないようにするためだよ。円錐形を思い出してごらん。先端と底面近くでは表面積が全く違うだろ」
「そうですね」
「凹凸のある面は“すごく平たい円錐形”みたいなものだと考えればいい。円錐形の底面近くから先端部分に向かって縮めて貼ることはできないけど、先端から底面に向かって引き伸ばしていくことはできるからね」
「なんだかわかったような、わからないような……」
「例がわかりにくかったかな。実際にやってみると体感的にわかると思うんだけど」
「わかりました。今度やってみます」

「さて、うまいこと貼り終えたら、へらなどでスジボリ部分をよく押さえておいて、不要な部分をカッターで切り離す」
「急な角度が付いていたりしてうまく貼れない所や、折り返して重なっちゃうような所はどうすればいいんですか?」
「うまいこと目立たない部分をカットして引っ張りながら貼るとか、パーツのつなぎ目に見えるようにカットするとか、方法は色々ある。それぞれの場所に応じた貼り方を研究するというのも面白いもんだよ。貼ったシートの下にディテールがあるときは先ほどの木ベラなどで丁寧に密着させておく」
「なるほど」

「一種類目を張り終わったら次の種類のものを貼っていく。手順は最初と同じ。後はこれを繰り返せば完成、となるわけだ」
「他にコツなどありますか?」
「そうだねぇ……、まず広い面をいっぺんに貼ろうとするんじゃなくて、下の写真みたいに、なるべく小分けに貼っていったほうが曲面にも馴染みがいい」

「なるほど」
「それから、いくら伸びるからって力任せに引っ張らないこと。やりすぎると下地が透けてでちゃうこともある。実は上の写真もドアの所を引っ張りすぎた」

「あ、ほんとだ。こういうときはどうするんですか?」
「剥がしてやり直しだね。でも塗装し直すよりも簡単だよ。実はボンネット部分もこの後違う色に貼り替えた」
「えーっ、結構カッコいいのに何でですか?」
「だって、シルバー系のボンネットって眩しそうじゃん」


「あとは細かい所をチマチマトいじってみた。ウインドは今回唯一の塗装箇所といっていいんだけど、クリアーブルーで一部グラデーションで塗った上にTF901の偏光シートを貼った。シート裏にはカーボン柄を張ってみた。まあ、完全にオーバースケールなんだけど、そこは気分という事で。こうして全部貼り終えたら組み立てて完成、となるわけだ」
「ということでレイアウトもギャラリー風にしてみましたよ」


「殆んど塗装しなくても結構いけるもんなんですね」
「特にミラー仕上げなんて塗装じゃ中々できないからね。今回は1/43でやったのでカーボン柄が全部オーバースケールになっちゃったけど、もっと大きいスケールでやったら面白そうだね。接着面積がある分シートの密着度も高くなるし、もう少しリアルに仕上げられそうだ。このTFシリーズは発想次第で色々使えそうだね。皆さんの“こんな使い方がある”っていうのがあったら聞いてみたい」
「そうですね。もしお寄せいただければ発表したいですね。そんな訳で師匠。改めて本年も宜しくお願いします」
「読者の皆様も、2011年も宜しくお願いしますね」


技の泉 「貼込みアイテム」活用法、いかがだったでしょうか? MPJでは本年も皆様からのご質問を募集しております。ご質問のある方はMPJのメールフォームよりどしどしお寄せください。


TFシリーズについての詳しい情報はハセガワHP


Comments are closed.