「MPJ技の泉 白い塗装上達法 その3」。今回は2回目に続けてお贈りします。

◆いよいよ実戦本番!

編集部(以下 編):師匠、3回目が始まりましたよ。
線香亭無暗(以下 無):始まったって、さっきから続いてるだけじゃないか。
編:余計なことは言わないでさっさと進めて下さい。
無:へいへい。ええと、じゃあ前回は「白い塗料はそのまま塗ると必ず透ける」という話でした。
編:はい、こんな実験もやっていただきました。

無:で、白い塗料を透けなくするにはいくつか方法があるという話だったよね。
編:そうです。
無:じゃあまず最も基本的な“塗り方”から。これは白に限らず、どんな色でも大体こんなふうに塗ってますという手順を説明しましょう。
編:お願いします。
無:使うのはこんなパーツ。

編:MSの足の底ですね。
無:うん、奥まったバーニアの所とか塗りにくいし、微妙な凹凸も塗料逃げが起こりやすい。塗り方でどこまでカバーできるかやってみようということです。
編:じゃ、お願いします。
無:使う塗料はガイアノーツの「アルティメットホワイト」。この塗料、多少濃い感じがするので塗料1:溶剤1.5くらいに希釈してエアブラシで塗装します。ハンドピースは0.3mmのダブルアクション。まずは角やくぼんだ部分に塗料を少しだけ、“ほんのり”といった感じで乗せていきます。

編:なんだか、殆んどわかりませんね。
無:最初はこれくらいでいいの。で、この塗料がちょっと乾燥して来たなと思ったら、次はもう少し塗料を多めにして吹いていきます。ここまでの作業の間に「塗りたいパーツにどれ位塗料が乗るのか」「塗料の濃度は適正か」といった感触を確かめておいて、問題があれば修正しておきます。これくらいの段階だったら修正も簡単でしょ。
編:はい。

無:問題なく塗れそうだったら、塗料が乾かないうちに全体に塗っていきます。

編:あれ、もう塗れてますね。
無:まだ仕上げはこれから。最後は塗料の噴料を多目にして面ごとに仕上げていきます。各面の塗料が乾かないうちに全体をすばやく仕上げるのがコツ。時間をかけすぎると乾いた塗料の上にさらに塗料が乗っていくので、厚ぼったい仕上がりになってしまう。そのあたりは微妙な感覚なんで、何度も練習して感覚を掴んでください。

編:わりと簡単にできちゃいましたね。
無:いや、よく見ると塗料逃げが残ってる。足底のディテールの角とか、溝の部分とかね。溝なんかは“毛細管現象”でこうなってしまうことが多い。
編:もうさいかん?
無:中学校の時に理科で習っただろ! そこ辺は自分で調べなさい。

◆真っ白な仕上りには下地が重要

無:で、きちんと塗っても起こる“塗料の逃げ”を解決するには下地をちゃんと作っておくのがいい。そこで活躍するのが「サーフェイサーエヴォ ホワイト」。 
 
編:師匠、製品版はこっちのラベルです。 
 
無:ああ、はいはい。このサーフェイサーの特性として、塗料に近い性質を持ちながらサーフェイサーとして機能するというのがあるので、仕上がりが妙に厚ぼったくならないで済む。これをパーツに塗ってみた状態がこれ。

編:右側がサーフェイサーですね。
無:うん。左側はピュアホワイト。サーフェイサーと通常塗料にはこれだけ差があるんだね。で、サーフェイサー処理をした場合と、しない場合の比較用に、こんなパーツを用意してみた。 
 
編:塗り分けてますね。 
無:パーツの右側だけにサーフェイサーを塗ってみた。こういったパーツも白で塗りつぶしにくいでしょ。 
編:そうですね。 
無:これに「ピュアホワイト」を吹いたのが次の写真。 
 
編:全然違いますね。 
無:そうだねぇ。念のために、同じように下地処理をしたパーツに「アルティメットホワイト」を吹いたのが次の写真。 
 
編:すごい。真っ白だ。 
無:こんな写真もあるよ。実験にどんなキットを使ったのかバレちゃうけど。 

編:左側の写真が「ピュアホワイト」ですね。
無:お、わかってきたね。右側の写真が「アルティメットホワイト」。それぞれ写真の右側がサーフェイサーを吹いたもので、その上から、それぞれの塗料を2回吹いてみた。アルティメットのほうは殆んど差がないね。
編:「アルティメットホワイト」って凄いんですね。これからは、もうずっとアルティメットホワイトを使います。
無:あ、それはちょっと違うと思うな。
編:え、何でですか?

◆「アルティメットホワイト」本当の有用性とは

無:確かにアルティメットホワイトは隠蔽力も高いんだけど、この塗料の本当の価値は「がっちりとした存在感のある白の発色」にあると思うんだよ。色彩学的にいうと無彩色に発色って言う表現はおかしいんだけど、まさにそういう感じ。模型に塗る場合は、そういう「絶対的な白が欲しい」場合に使うのがいいと思うよ。
編:なんだか今ひとつわからないんですが。
無:この間の模型制作室の「コトブキヤ ライガーゼロ」の時にも書いたんだけど、白い塗料をビンから出してそのまま塗ってしまうと、ただの“白く塗った模型”にしか見えないことが多いんだよ。自分達の身の回りの物を見てみると、白い物は殆んどがグレーに見えているはず。新幹線は白いけど、本当に白いのは光が当たってテカッてる部分だけだったりする。模型は単面の面積が狭いから、極端に光と影の調子が見えやすくなる。逆に面ごとの諧調差は少なく見えるんだけどね。だから塗装に関しても実物をイメージさせるような演出が必要なんだと思う。ビンから出した白い塗料をそのまま塗ったら、一面全部ハイライトみたいになっちゃうことも多い。
編:ああ、なんとなくわかりました。
無:それから、特に無彩色はそうなんだけど、隣り合った色によって見え方が全く違うので、必ずしも「純度の高い白」がいいとは限らない。じゃあ、ちょっとクイズです。
編:はあ。
無:次のパーツは真ん中から違う色で塗ってあります。どちらが白でしょうか?


編:すぐにわかりますよ左の写真で言ったら右側が白でしょ。左側は黄色っぽいですもん。
無:はい、残念でした。実は両方とも白じゃない。黄色っぽいのが「インテリアカラー(戦車車内色)」、君が白といったのは「ニュートラルグレーI」でした。

編:そんなのずるいですよ。
無:まあまあ、これが別々に見せられるともっとわからないと思うよ。
 
編:ちょっとはわかりにくいけど……、それでもわかりますよ。左側がインテリアカラーでしょ。
無:それは最初に情報があったのと写真を並べてみてるからだよ。じゃあ、こうやったらわかる?

編:う……、白じゃないんですか?
無:インテリアカラーに、ほんのちょっと白を混ぜてみた。実は黒に見える部分もギリギリで黒に見えるグレーなんだ。太陽光の下で見るとグレーだとわかるくらいの。ね、白って奥が深いでしょ。
編:本当ですね。
無:白に限らず、模型の塗装って本当に奥が深い。だからいつまでやっても飽きないんだけどね。
編:ウウム……、僕ももっと修行します!!

以上、3回にわたってお送りした「白い塗装上達法」は終了します。皆様、参考にしていただけたでしょうか? ご感想やリクエストはメールフォームよりお送り下さい。お待ちしております。


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