◆まずは前回記事に対するご質問から

前回の「白い塗装上達法 その1」は予想外の反響で、読者の方から多くのメールをいただきました。第2回目はいくつか寄せられたご質問にお答えするところから始めたいと思います。

編集部(以下 編):師匠、前回の記事、結構評判が良くて、いろんな質問をいただいているんですけど。
線香亭無暗(以下 無):あ、ホントだ。これだけあると前回の記事が説明不足だったんじゃないかと不安になるな。
編:もっと前向きに考えましょうよ。それだけ皆さんが真剣に読んでくださってるってことで。
無:そうね、そういうことにしよう。
編:では最初のご質問。“ghtm8263”さんからのメールです。
「“白い塗装上達法”の記事、大変参考になりました。ただ、それぞれの塗料の違いがいまいちよくわかりません。もう少し詳しく解説していただけないでしょうか」
これ、他にも似たようなご質問が何通か寄せられてるんですが。
無:今度はAKBファンじゃない人からの質問だね。
編:それはどうでもいいでしょ!
無:ああ、はいはい。でも、それって白い塗装とは直接関係ないんじゃない? まあ、良い機会なんで解説しておきましょう。まず一般的に模型に使う塗料には、以下のような種類があります。
 ・ラッカー塗料
 ・水性アクリル塗料
 ・油性エナメル塗料
 これらはまず種類によって塗装面への定着方法が異なります。
編:そういえば師匠、前回ラッカー塗料のことを、正式には「油性アクリル」といってましたが、『厳密に言うとそれは正しくない!!』という意見が寄せられてましたが……。
無:ああ、そうですね。厳密に言うと正しくない。本当に厳密に言うと『溶剤性アクリル樹脂塗料』です。ただ一般には油性アクリルでも通じるんで。
編:その辺は正しくお願いします。
無:う……まあ、そこはそれとして、ラッカー塗料は揮発材としても作用する有機溶剤がプラスチックの表面を、ごく浅く溶かしながら定着します。なのでプラスチックに対しては強い皮膜ができるんですね。有機溶剤の性質として揮発速度が早いので塗料の乾燥も速い。
編:はい。
無:水性アクリルは有機溶剤が含まれていないので、塗料の中に顔料を定着しやすくする成分が含まれています。ええと、わかりやすくいうと、小学校や中学校で使うような“ポスターカラー”はプラスチックに塗れないよね。
編:そうですね。
無:ところが、木工用ボンドを混ぜて塗るとプラスチックにも塗れるようになるんだよ、これが。小学校の時にやってみたことがある。ただ、ひどくムラになる上に、手で触ると剥がれてくるんだけどね。水性アクリルには、その木工用ボンドと同じような役割をする成分が含まれているんです。ただしラッカー塗料のように溶着しているわけではないので、比較的皮膜が弱い。その代わり有機溶剤が含まれていないので安全で、匂いも少ない。
編:油性エナメルはどうなんですか?
無:油性エナメルは平滑性(=平らな皮膜を作ろうとする性質)と定着性の高い油分を顔料と混ぜたものです。プラスチックにも油分は付くでしょ。
編:はい。
無:その性質を利用して、塗装面の上で顔料成分と油分を酸化結合させているんです。乾燥時間は長くかかりますが、そのおかげで筆塗りでもムラが残りにくいという特性がある。
編:そうですね。タミヤさんのエナメル塗料は、ラッカーに比べると乾燥がずいぶん遅いですもんね。
無:いやいや、タミヤの塗料は“油性エナメル”としては画期的に乾燥が速いくらいなんだよ。ハンブロールなんか絶対に丸一日は乾かない。厚塗りしてしまうと数ヶ月ベタついている時があります。それでも“エナメル大好き!!”っていう根強いファンは多いんですよ。その昔は「エナメルはAFV、自動車はラッカー」なんて言われることが多かったんだけど、1/43の自動車を作るのにエナメルしか使わない人もいた。油分を含むために濡れたような艶が出るんだと言ってました。
編:へえ、色々あるもんですね。
無:まあ、どの種類の塗料も一長一短があるので、後はそれぞれが試してみて、自分が作りたい模型や環境に合わせて決めればいいと思います。他の質問は?
編:いや、今話していただいたところで、大体クリアしちゃいました。
無:じゃ、そろそろ実戦編へ。

◆白い塗装、実戦編

編:まず、前回の質問にあった「パーツの角に塗料が乗りにくい」という話なんですが。
無:はい、こういうことでよすね。

無:写真左が元のパーツ。右側はラッカー塗料、ガイアノーツの「ピュアホワイト」と溶剤を1:1.5くらいに混ぜたものを、エアブラシで塗った状態です。よく見るとパーツの角に元パーツの色がでてしまっている。これ、本当は1:1くらいの濃度で塗装すると、もっとうまく塗りつぶせるんですが、わかりやすくこの状態を作るために塗料を薄めにしました。
編:ああ、よくありますね。こういう状態。
無:詳しくは前回説明したので省きますが、これが「角の塗料が逃げている」状態。これを避けるためにはいろんな手法があるんですが、まずは色々な白い塗料を使って、どれが一番透けないか試してみました。使ったのは下の4種類。

  左から「ピュアホワイト」「セミグロスホワイト」「フラットホワイト」「Ex-ホワイト
無:これらの塗料を何の加工もしていない同じパーツに、同じ割合で希釈(塗料1:溶剤1.2程度)してエアブラシで塗装したのが下の写真。

無:小さいとよくわからないので拡大で。上の写真と同じ順番、左から「ピュアホワイト」「セミグロスホワイト」「フラットホワイト」「Ex-ホワイト」で塗装しました。

編:「ピュアホワイト」やはりちょっと透けてますが、「セミグロス」と「フラット」はあんまり透けませんね。
無:セミグロスやフラットの塗料が透けにくいのは、塗料に細かい粒が入っているせい。いわゆる「フラットベース」というヤツなんだけど、細かいツブツブが塗料の逃げを防いでくれるんだね。
編:「Ex-ホワイト」は透けないという評判どおり、透けてませんね。
無:うん、自分も白を使うときには大体これを使ってました。でもね、もっとすごい白が出たんです。
編:アルティメットホワイト」ですね。
無:そうそう、これ。

編:師匠、製品版はこのラベルです

無:ああ、そうか。この塗料、もはやホビー用の塗料の域を超えてる。確かに隠蔽力も高いんだけど、それよりも顔料の質が良い。今まで見た模型用塗料の中で“最も美しい白”だと思います。で、早速塗ってみた。 

編:なるほど違いますね。 
無:ざっと一回塗りでこんな感じだからね。1本数千円する高級油彩の白みたいなんだよね、これ。こんな塗料売ったらガイアさん儲からないんじゃないかっていうくらい良い白。で、違いがわかりやすいようにこんないたずらもしてみました。 
 
編:あれ、でもよく見ると若干透けてますね。角のところとか。
無:うん、それでもEx-より隠蔽力は高い。これ以上透けなくするには塗り方を自体を工夫していくしかない。そこで、どんな工夫をするかというと……
編:師匠、すいませんが前フリが長すぎて、ページが長~くなっちゃったんで、一回〆てもいいですか。
無:えええ、ここからが本番なのに。
編:すぐ続きますからっ!

というわけで「MPJ技の泉 白い塗装上達法 その3」は明日公開予定。すぐに続きます!


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