線香亭無暗のやたら模型制作部

■コトブキヤプラスチックキット「フレームアームズ 轟雷」制作

さて、この轟雷、コトブキヤさんがGAでウェブコミック展開する近未来SF「フレームアームズ」に登場する陸戦型フレームアームズです。物語世界の設定としては「新たなエネルギー鉱石の発見とともに実用化された兵器「フレームアームズ」が活躍する」という、中々そそる設定です。気になる方はGAで見てみてくださいね。では早速キットを見てみましょう。







キット内容はこんな感じ。パッケージ写真でもわかるようにフレームアーキテクトをベーシックとして成り立つ「フレームアームズ」らしく、骨格部分は組み立て済みになっています。しかもこれが結構よく動く。これだけで30~40分は遊べます。遊びすぎると、また綱渡り作例になるのでチャッチャと仮組みします。

じゃじゃーん。シンプルな面構成が複数組み合わされて複雑なフォルムを作る、中々良いデザインです。直線主体のフォルムがインナーフレームを連想させてくれます。後はこんな風。

巨大なキャタピラとキャノンからイメージするのは、やっぱり戦車ですなぁ。フェイスも中々男前。

と、一通り眺め回したところで制作プランを練ります。このキット、さすがコトブキヤオリジナルの機体だけあってプロポーション的には殆んどいじるところがありません。なので、基本工作、各部のお手軽ディティールアップののち、塗装に凝ってみようかと思います。手元にHiQpartsのドット迷彩用マスキングテープがあるので、ドットマトリクス迷彩にしてみようかと。似合いそうでしょ。

■まずは基本工作から

まずはエッジを立たせるために各部の面だし。プラキットに限らず、型を使用して作られる製品はエッジの精度に限界があります。また、プラキットならではのパーツのヒケも大なり小なり必ず起こります。それを解消するのがこの作業です。ピシッとエッジの立った美しい完成品を作るには欠かせない作業です。
まずはパーツのヒケチェックもかねて全体を軽くヤスっていきます。使用するのはいつものサンディングスティック。曲面にはスポンジヤスリを使うこともあります。
最初は400番くらいで、かるーく面をこすっていきます。問題のなさそうなところはもう面だしをしてしまいます。

さて、ここで問題になってくるのが各部に元からあるディティール。このキットの場合特に腕周りにディティールが集中していて、ヤスリがけしにくい形状になっています。そこで、潔くディテールを削り落とし、後でディテールを作り直します。左側がヤスリをかけた状態。右がキットのまま。肩なんかも大胆にフラットにしてしまいます。

 

 



肩口に付くラッチ状のアームの裏はプラバンでふさぎます。そして細切りプラバン等で再生した状態がこちら。美容院に行った後程度に男前になったかな。

さて、ついでにお尻のパーツも面だしを。パーツの継ぎ目で、段差の大きいところは240~320番のサンディングスティックを使います。

まずは320~400~600~800番と磨いてツルンとさせておいて、

細切りプラバン。細切りプラバンを作るのにはマスメツールを使っています。この手のプラバン加工には欠かせなくなってしまった。

■いよいよディテールアップ本番

さあ、続いては足回り。

やはり特徴的なのは巨大なキャタピラ。このキット、1/100なんですがキャタピラは大きさ的に1/72くらいの印象です。こんなふうに展開してローラーダッシュ状態になります。脚部は特に直
線的なデザインなので、きっちりエッジを出しておきたいところです。

そしてエッジ出し完了。左がエッジ処理をしたもの、右がキットのまま。うーむ写真だとあんまり変わって見えないか。でも塗装すると違いが出るんで、ここは手を抜かないでいきましょう。

 


そして、今回のディティールアップ最大の山場(だと思われる)キャタピラ部分。

大きい分あっさり感が漂うので、ここは現用兵器を参考にディティールアップしていきたいと思います。まずはサイド部分。

キットのままだとサイドの部分がつるつるです。キャタピラのピースは基本的にサイドから止まっているので、接合部分に0.5mmの穴を開けました。上がキットのまま、下が穴あけ後。ただ、ピンバイスで開けていると意識がなくなりそうだったので、面打ちでアタリをとった後、モーターツールに0.5mmのドリルをつけてバリバリと開けていきました。このときにあんまり回転数を上げるとプラが溶けてドリルに食いつき、歯が折れる原因になったりして危険ですので、最低速でゆっくりと作業しましょう。最低速で作業しても手動より10倍は早いんですから。



続いてはキャタピラと本体を繋ぐパーツ。キャタピラが割とそっけなくくっついているのでそれらしいディティールを追加しましょう。
キャタピラとの接続部分を切り離します。そして登場するのがHiQpartsのMJギア M7.6mm。
まずはメタルパーツのセンターの穴をドリルやリューターなどで3mmに広げます。アルミ製なので、それ用の工具を使ってくださいね。下の写真の左側が元の部品、真ん中にあるのが穴を広げたもの。

仮組みしたところ、若干ガタツキが出たので0.5mmプラバンを直径7mmの円形に切り抜き、中央に3mm穴を開けたものをスペーサーとして挟みました。で、出来上がりがこれ。

なんとなく動きそうな感じが出てればOK。
さて、続いては転輪部分。キットの転輪はプレーンな状態なのでリベットを打ってみましょう。

実はさっき使った7mmのスペーサーを一個余分に作っておいてこんな冶具を作りました。名付けて「轟雷専用 転輪用リベットテンプレート」。別に名付けなくてもいいんですけど。

使い方はこんなふうです。まずはセンターの軸にかぶせておいて、テンプレート外周部の溝に合わせて0.5mmのドリルで開口。これなら楽チンに等間隔のリベット穴が空けられます。

全ての転輪に穴を空け終えたらHiQparts製0.7mmのヘックスリベットを接着します。接着には瞬間クリアパテを使っています。リベットの脚の部分にごく少量つけて穴の周囲に付かないよう気をつけて取り付けます。「全ての」って書きましたけど、ジョイント部分の転輪にはリベッティングしてませんよ。しても見えない上に可動時に引っかかるんで。写真では穴が開いてますけど、これは冶具がうまく使えるかどうか見えない部分で実験した後です。なので、転輪1個に付き6回のリベッティング×12個の作業となりました。
 

■専用冶具でラバーブロック再現

さて、お次はキャタピラだ。
どうしようかといろいろ悩んだんですが、コミックス初登場の時、ドッグからキャタピラで発進するというシーンがあったのを思い出して、ラバーブロック仕様にすることにしました。

AFVをやる人には常識でしょうけれども、実はキャタピラってのは結構な厄介者でして、戦車などの荒地用のキャタピラで走ると、アスファルトでもぐしゃぐしゃになってしまうというくらい強力です。そこで、通常の移動時にはゴムのブロックが付いたキャタピラを使用するのが一般的になっています。なのでドッグ内ではラバーブロック仕様なのでは、と考えたわけです。

まあ、キャタピラを全部黒く塗って「ゴムです」って言い張るのもありなんですが、それじゃあ面白くない。となるとラバーブロック部分を作るしかない。作るったって片方で20ピースある訳だから使うパーツは40個。両方合わせて80個。いちいち手で切り出して精度を保てる自信もないし、根性が品切れにならない保障もない。

そこで、こんな冶具を考えました。先端にはスリットが空いています。

ここに7mm幅に切り出した0.3mmプラバンを差し込んで、先端部分のテンプレートに合わせて切断していくと、ラバーブロックの出来上がり、という訳です。これを80個作ります。
いくらやっても終わらない、寄せては返す波のような作業です。でもね、「始まれば終わる」もんです。

実際に貼り付けてみるとこんな感じになりました。おお、中々いいじゃないか。本当はもうちょっと複雑なパターンで作れるとよかったんですけど、そこら辺に凝ると完成が夏ぐらいになりそうなんでやめときました。で、このディティールアップにはもうひとつメリットがありまして、

上下分割のキャタピラの接合面がごまかせるという一石二鳥のディティールアップなのでした。

本体に取り付けてみると、おお、さらにいいじゃないか。もっとやる気のある人はAFV用の別売りキャタピラを合わせるなんていうのもアリかもしれません。

■細部のディテールアップをしながら全体像を調整する

ここから先は細部のディテールアップ。なるべく大きい改造箇所から始めましょう。

まずは胸パーツ。前側のパーツとフレームの隙間が気になったんでプラバンを2.5mm分くっつけてみました。これでなんとなく前後のつながりも出ると思います。

肩のラッチはボルトヘッドパーツでデコレーション。今回は戦車のイメージということで、基本的にヘックス(六角ボルト)型のディティールパーツを使用しています。

背中のウェポンラッチ(?)はHiQpartsのリニューアルしたメタルリング1.0mm用とメタルマイナスモールド1.0mmを使ってみます。まずは1.5mmの穴を空け、メタルリングを埋め込み、塗装したマイナスモールドを仕込む、という方法です。塗装は0.5mmの穴を空けたプラバンにマイナスモールドをはめ込んでおいて、プライマー、塗装色というふうに吹き付けていきました。こんな使い方も面白い効果が出るのでは、という実験です。

20箇所の穴に対してパーツは20個づつ。一個も「ピンッ」と飛ばせないという冷や汗物の作業でした。ちなみにキャノンの付かない反対側のラッチには穴ふさぎとして、プラ棒を上げ底にして3mmのフラットモールド]装着してあります。

 

この辺りで仮組みして、ディティールの追加場所を考えます。何事もやりすぎは毒なので、コーヒーでも飲みながら、ちょっと止まって考えましょう。

 

そして、おもむろにリベットの追加。はい、皆さんもうお気づきですね。下地のチェックもかねて白を塗ってみました。今回はドットマトリクス塗装にする予定なので塗装はなるべく薄く抑えたい。なので下地をしっかり処理した後、ちょっとだけ薄めたプライマーを全体にかけ、クレオスの白で塗りました。そうです。サフレスです。
たまに、「下地が濃いと白が発色しない」という人がいますが、そうでもないんです。確かに発色はしにくいんですが、塗料の濃度、ブラシの噴圧、パーツを塗る手順などにより解決することができます。特に今回はドットマトリクスにするため、この上に何層か塗料を重ねていきますから、何よりも皮膜の薄さを優先したというわけです。その時の噴圧と塗料の濃度は、使っているブラシとコンプレッサーの性能により変化します。言えるとすれば「塗料はいつもよりかなり薄め」「噴圧はかなり低め」に吹き始め、パーツのエッジやミゾになる部分(スジボリ含む)を先に塗っていきます。徐々に、噴圧を高く、塗料も濃くして全体を仕上げます。1/43のカーモデルなんかでもこんな手法で塗装したりします。まあ、このあたりは感覚の問題なので、皆さんも試行錯誤してみてくださいね。下地にプライマーを使ったのはピカピカにしたプラに塗料の食い付をよくするためです。本当は無水エタノールや、超音波洗浄器などできちんと洗浄すればいいんですけどね。洗浄器は持ってないし。時間短縮のための裏技です。

 
で、突然キャノンの付け根にティッシュをまいてみたりして。

で、ここまでの成果がこれ。
なんだか特車二課に配属したいような雰囲気になってますが、ここからが塗装の本番です。
さあ、いよいよドットマトリクス塗装だ!

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※この記事は線香亭無暗氏の個人ブログ「やたら模型制作部」に掲載されたものを再編集して掲載したものです。

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