◆ヤスリがけ応用編

前回の「ヤスリがけ その2」から少し時間があいてしまいましたが、今回は応用編。読者の方の質問にあった、よく考えないと難しいヤスリがけの方法などを考えてみようと思います。解説は前回に引き続き、線香亭無暗師匠です。

編集部(以下 編):師匠、今回もよろしくお願いします。
線香亭無暗(以下 無):よろしくお願いします。
編:今回は応用編として読者のご質問にもあった『難しい場所のヤスリがけ』についてお願いします。
無:え~と、どんな質問でしたっけ。
編:じゃあもう一度掲載しますね。
『入り組んだ場所など、小さくカットしたヤスリでも対応が難しいと思えるような場所や、カットして後で貼りつけたくない障害物があり、その周りの合わせ目消しをしたい場合など、ヤスった部分とヤスっていない部分で段差ができてしまいます。それを消そうと障害物を避けて先程と90度回転した方向でヤスリをかけるとまた別の段差が……となかなか上手くできない時があります。あとは、どうしてもストロークが稼げない場所のヤスリがけなどはどうしたらいいのでしょうか? 0.3~0.5mm程度の浅い凹みモールドの場合は、プラバンを貼って合わせ目を消すこともできません』
というような具合ですが。
無:ああ、はいはい。ええと、まず基本的にいえるのは、本当に入り組んでいて、この間紹介した割箸を削ってサンドペーパーを貼る方法や、極細のヤスリでも本当に入らないようなところは、殆んど目立たないことが多いですよね。

編:まあ、そうですね。
無:じゃあ、ヤスらなくてもいいんじゃないかと。
編:はい?
無:手を入れても効果が薄いところは、そのままでもいいと思うんですが。
編:それじゃあ答えになってませんよ。
無:そうかな。ご質問の「小さくカットしたヤスリでも対応が難しい」場所なら、もうどうしょうもない。
編:じゃあ、例えばスターウォーズのファルコン号の表面みたいに、目立つけど手が入りにくいような場合はどうするんですか?
無:「そのまま組む」か「削り取って作り直す」かのどちらかです。
編:それじゃあ答えになってませんよ(笑)。
無:そうですねぇ(笑)。でも本当にそのどちらかしかない。選択の問題だと思うんですよ。どうしてもその形状を何とかしたいなら無理やりにでも削り取って作り直すしかない。ただ、そういう場合でも上手いことディテールを壊さないように削り取って、下地を作り直した後に貼り付けると、最小限の手間で済むとかね。何とかして「ここはどうにも処理できない」という場面を作らないようにするしかない。まあ、そういうときでも何とか一番楽に済む方法を考えるんですけどね。
編:例えばどんな?

 

◆究極の『ヤスリがけは』ヤスリをかけないこと!?

無:ええと、例えば下の図のように、狭い隙間のあるパーツの幅を広げたいときなんか、ありますよね。オレンジの部分がプラバンだと思ってください。

編:はい、溝の幅が狭いとヤスリがけで修正するのは面倒そうですね。
無:そういうときは思い切ってこんなふうにしてしまいます。

編:ああ、なるほど。これなら修正も楽そうですね。
無:上手く接着すればヤスリがけ自体が要らなくなります。
編:では質問にあるように浅い凹モールドの中などはどうすればいいでしょう。
無:こういう場合ですね。

編:オレンジの部分にヤスリをかけてパーティングラインを消したい場合ですね。
無:そうですね。最近ではキットの出来が良くなってきたんで、こういうことは少ないんですが、古いキットなどの場合結構多く見かけます。こういうときは上の図のオレンジの部分を開口してしまって、裏からプラバンを貼り付けるという手があります。

編:これだと塗装を前提にしなければいけませんね。
無:そうですねぇ。小さな部分であれば、同じ色のランナーから上手いこと見繕って接着すると同じ色にすることができますよ。それこそヤスリも入らないような場所なら結構使える手です。
編:なるほど。でもこれじゃあヤスリがけの説明じゃなくなってますね(笑)。
無:究極のヤスリがけはヤスリをかけないことです。なんてね(笑)。どうしてもヤスリがけで済ませたいときはヤスリを使わずに細い彫刻等の平型のものをスクレイパー(カンナ)のように使ってこそげとるとか、同じようにマイクロドライバーのマイナスを使うとかいう手もありますけどね。場合によってどっちが楽かをよく考えてやってみてください。
編:そのほかの注意点などはありますか?
無:プラバンなどで新しく面を作るときには見えにくい方に接合部が出るように作ることが大切です。例えば下の図のように上面を切り取って新造するような場合は、元のパーツの間にプラバンを挟むのではなく、見えにくいサイドの部分に接合部が来るようにすると見栄えよく処理できます。


 

◆やはり『力加減』がヤスリがけの基本

編:ではそういった「切り取る」系の作業をしないで上手くヤスる方法を伺いたいんですが。
無:ええと、下の図のような場合ですが、左側のように「縦、横」のようにヤスリを使うと、いらない段差ができやすいので右側の図のように障害物の周りを円を描くようにヤスってください。金ヤスリは削れる方向が決まっている上、基本的に「押して切る」タイプが主流ですから、円形には使いにくいかもしれません。やはり当て木をあてたサンドペーパーか、サンディングスティックのような物が使いやすいと思います。この時の力加減が重要で、早く終わらせようとあせると、必ず面がゆがんだり、段差を作ったりしてしまいますから、パーティングラインの大きさにもよりますが、あまり力をいれずに320か400番くらいから初めて、徐々に番手を上げていくのが良い手でしょう。

編:円く削れば良いんですね。
無:ただ「円く」という感じではなく、ディテールを中心に、若干外側へ向かってヤスリを使うというイメージで削ると、比較的きれいに仕上げることができます。下の図の濃いグレーがヤスリだと思ってください。センターのディテールが四角い場合でも同じように、「縦縦、横横」みたいにならないようにヤスリを使うのがポイントです。

無:また、ハレパネなどを使って下の図のような冶具を作るのも手です。要は削る面より大きいヤスリなら、段差などを作る可能性は減るわけで、ここにサンドペーパーを貼ってヤスれば普通のヤスリを使うより余計な段差を作らずに済むんじゃないかと思います。

編:へえ、なるほど。何事も工夫ですね。この方法を使ってみたことって、あるんですか?
無:うん。さっきここに来る前に、ちょっと思いついてやってみたら結構良かった。でもいちいち冶具を作るのは面倒くさい。やはり力加減が必要になるし。
編:結局は基本に戻る、と。
無:そういうことですね(笑)
編:ありがとうございました。
無:また呼んでくださいね。

さて、3回にわたってお送りした『技の泉 ヤスリがけ編』。参考になりましたでしょうか? MPJ編集部では読者の皆さんの模型制作に関する疑問、質問を募集しています。質問はメールフォームよりお寄せください。ご感想などもお待ちしております。それでは、次回の掲載をお楽しみに。

TEXT/編集部


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