線香亭無暗のやたら模型制作室
 はい皆様、1週間のご無沙汰でした。
 いやぁ、なんでしょうね、ここ数日の涼しさは。涼しいのは大変結構でありがたいんですが、こう急に天候が変わると模型制作にもそれなりに影響を及ぼします。特に影響が大きいのは塗装作業。「なんだか塗料ののりが悪いなぁ」位ならいいんですが、問題なのはエナメルのスミ入れ。つい昨日まではなんともなかったのに、今日はやけにパーツが割れる。もしや?! と思って全部のパーツを確認したらここも! ここも!! ここも!!! 要は気温が下がったのと湿度が上がったんでエナメル溶剤の乾きが遅くなり、パーツ割れを起してたんですが、おかげで丸1日パーツの修正と再塗装をするハメになりました。もう、素人じゃないんだから、しっかりしなさいよオレ!!
 というわけでパーツは割れても心は折れないワタクシ線香亭。今回も張り切って模型を作りましょう!!



 タイトルを見てお気付きの方も多いでしょうが、今回からのお題は、あの“お髭”のアイツ。そう、バンダイ ターンエーガンダムです。
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 元となる作品は当然ながら「∀ガンダム(ターンエーガンダム)」。「機動戦士ガンダム」誕生20周年記念作品として製作された作品で、1999年4月~2000年4月にかけて放映され、ガンダムの産みの親ともいえる富野由悠季氏が総監督を務めました。作風はそれまでのガンダムのSF志向とは一線を画し、18~20世紀初期のヨーロッパやアメリカを彷彿させる舞台を中心に繰り広げられます。

 歴代ガンダムの中でも一際目を引く特異なデザインはアメリカのプロダクトデザイナー、シド・ミード氏の手によるもので、劇中でも「お髭のモビルドール(この世界ではMSのことをモビルドールと呼ぶ)」などと呼ばれたりします。

 数理論理学で「全ての」(全称量化)を表す記号「∀」をタイトルに頂いたことでもわかるように、宇宙世紀に留まらず、「宇宙に進出した人類と地球に住む人類の対立」を描いたガンダム作品全てを包括して至る結末を描いているような暗示がされていて、制作、放映時点でのガンダム世界の結論を付けた作品としてみることもできます。それまでのガンダムとは作風も内容も大きく異なるため、全力肯定派と絶対否定派にわかれてしまう事が多い作品ではありますが、見てみるとやっぱり面白い。折りしも富野監督による新作TVシリーズ「Gのレコンギスタ」が盛り上がっている昨今ですから、この機会にもう一度見直してみるのも良いんじゃないでしょうか。

 なんて理屈ばっかり言っててもしょうがないんで制作にかかりましょう。

 でね、いつもならひとつのお題にワンキットというスタイルでお届けしているんですが、今回はちょっと趣向を変えまして1/100のMGと先日発売された1/144のHGCCのターンエーを作ってみたいと思います。それじゃあ早速恒例のランナーチェック!
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 まずはMGから。このMGターンエーガンダム、MG100作目の記念すべきキットであります。キットの内容もそれにふさわしく非常に凝った作りとなっており、バンダイさんの思い入れが感じられる名キットとなっています。
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 まずはAランナー。バンダイお得意の多色性系のランナー。部位ごとに収まっているというよりも色分けにしたがって構成されています。クリアーパーツもこの枠です。
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 Bランナーは機体のブルーの部分。このA、B枠以外は外装の白かフレームのグレーとなります。
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 C枠はシールドやライフルが目を引くランナー。頭や腰まわりのパーツも見えます。
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 D枠は腕や肩、足などに使用するパーツ。機体の多くの部分が白で構成されるターンエーは劇中でも「ホワイトドール」なんて呼ばれたりもします。
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 Eランナーは脚部に使用する外装。なるほど、ホワイトドールだ。
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 F枠も白いんですが、コチラはABS樹脂のパーツ。白のABSはガンプラでは珍しいですね。PS樹脂の白と比べてちょっとだけ暗めの白となっています。
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 Gランナーは多少大きめのフレームパーツが収まったABS樹脂のもの。
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 H、Iランナーも同様にグレーのABS。このキットではフレームパーツが全てABS樹脂ということになりますね。
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 J枠は単体で抜かれたお髭のパーツ。スライド金型を使って一体成形されたパーツとなっています。
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 続いては付属の武器類。これはもうお馴染みのガンダムハンマー。MGガンダム Ver.2.0と同じものが付属します。劇中ではターンエーが最も最初に使用する武器として登場しました。こういうところで旧作との繫がりを演出しているんですね。
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 それからビームサーベルの刃の部分とハンマーに使用するプラスチックチェーンが付属します。
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 シール類は擦って転写するドライデカールと一面黒に印刷されたシルバーメタリックのものが付属します。
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 こちらはドライデカール。あまりコーションが貼ってあるイメージがないターンエー。作品ロゴなんかはサービスデカールですね。
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 ちょっと面白いのがシルバーに一面スミで印刷された薄手の剥離式シール。
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 これ、目玉の内側に貼るようになっていたりするんですが……、
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 ベースがシルバーなため目玉を反射させる役目があったりします。他のシールは黒い部分の塗りわけを再現するために使うので、シルバー地に印刷したのはこの部分のためということになります。面白い工夫ですよね。
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 あとはまいどお馴染みの組立説明書。とはいえ、やはりMG100キット目の記念ということらしく、中には富野監督が寄稿されたりしています。イラストも豊富に使われていてなかなか見応えのあるインストとなっています。


 さて、お次はHGCCのターンエー。
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 HGCCとは「High-grade Correct Century」の略。バンダイが展開する「オールガンダム・プロジェクト」のひとつとして発売されたキットです。
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 ではA、Bランナーから。比較的パーツ数が少ないこのシリーズにしてはパーツ数が多い印象のターンエー。白い部分はこの2枠に収まります。
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 C枠は主にフレーム周りのグレーのパーツ。HGCCではフレーム回りも通常のPS樹脂で成型されているようです。
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 D、Eランナーは1と2に分かれていて、それぞれ成形色が異なります。よくはわかりませんが効率よく成型するための工夫だと思われます。
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 あとはポリキャップとビームサーベルの刃、ホイルシールが付属。ポリキャップまで白いのが特徴的。
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 ホイルシールは各部の塗りわけに対応します。目玉の部分がなんとなく歌舞伎っぽいのが面白いですね。
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 そして忘れちゃならない説明書。コチラも中々読み応えのある記事が載っています。結構好きなんだよなぁ、ガンプラのインストの読み物って。

 で、最初の写真に出てたこれ。
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 これは何かというと、プレミアムバンダイで発売されていたHGターンエーガンダム用の「月光蝶」を再現するパーツ。劇中最終版で登場した「ターンエーガンダム細大の秘密」ともいうべき姿が再現できます。まあこれは後のお楽しみということで、本体が出来上がってから公開することにいたしましょう。


 てなわけで、2キット分紹介すると結構長いランナーチェック。ここから2キットまとめて一気に仮組み!

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 はいできた! 制作時間は2キットまとめて大凡8時間ほど、かな? こうして並べてみるとそれぞれの共通点と相違点が良くわかって面白いですね。なんだか親子みたいだし。
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 後姿は結構印象が違います。これは特徴的な脚の後のディテールの印象が異なるためだと思われます。
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 では脚の裏側をアップで。左がMG、右がHGです。ポイントは脚の太さとフィンの厚さの関係。MGに比べてHGはフィンの厚さが厚く見えます。これを薄くしてやるとスケール感が増したりするんですね。
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 スケールによるディテールの密度が良くわかる飲もうひとつのポイントが腕まわり。HGは基本的にMGを参考にしていると思われますが、スケールの関係でいくつかスジボリがオミットされているのがわかります。これ、別にキットが手を抜いているわけではなく、スケールの差による表現形態の違いと見るべきでしょう。MGと同じようにディテール入れると、腕の形状よりディテールが勝ってしまってあまりよろしくないという判断だと思われます。もしMGと同じディテールを入れるのなら、形状をしっかりと成型して体裁を整えてからでないと同じような雰囲気が出ないんじゃないかな。
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 続いては頭部の比較。左がMGで右がHG。ここも髭の厚さと形状でずいぶん印象が異なって見えます。頭部の形状自体は好みが分かれるところ。劇中では意外とHGみたいな形状で描かれていることも多いんですよね。
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 お次は付属品の比較。両方とも結構充実してます。
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 MGに付属するのはシールドライフル、サーベルに各装備を本体に付ける際のマウントラッチなど、何と言っても目を引くのはガンダムハンマー。劇中でもハンマー使用時にパイロットのロラン君が“フザケンナ!!”的な台詞を言ってましたからね。印象深い装備です。ライフルは各部が展開して様々な形状を再現できます。
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 コチラはHGの付属品。シールド、サーベルマウントラッチなどはさほど変わりませんが、ライフルは展開ではなく差替えで形状の違いを再現します。胸部、背部のコンテナハッチも可動ではなく、基部ごと差し替えるようになっています。
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 可動範囲を確かめるためポーズを取らせてみました。一見右側のHGの可動範囲が狭いように見えますが、これ、実はHGが動かないんじゃなくてMGがすごく良く動いてるんですね。HGもこのシリーズでは可動範囲は相当広いほう。スネの逆曲がりもしっかり再現していたりして、中々のもんです。
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 MGならではの可動も多くあります。足裏のフィンはヒザの動きにあわせて可動、肩アーマーはやけに細かく動いたりします。
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 HGの方の肩アーマーはちょっと問題。ここは何とか見栄え良く改修したいところです。
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 MGの股間のコクピットは変形してコア・ファイターになります。このあたりはMGスタンダード。
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 HGのほうはさすがに変形というわけには行きませんが、同スケールのコア・ファイターが付属します。
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 そしてバンダイ脅威の技術力。MGの胸部、背部コンテナのカバーが展開し武器の発射状態を再現できます。HGの方はブルーのパーツごと差換えて再現するようになっています。
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 胸部コンテナはブロックごと取外しができるようになっています。あ、書き忘れてましたが胸の真ん中の白い十字はデザインしたシド・ミード氏の設定画にあるもの。劇中では胸部は全てブルーです。キットにはちゃんとブルーの十字も付いてますんでね。ご心配なきよう。
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 そしてMGのもうひとつのウレシイオマケ。牛とロラン(笑)。
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 コンテナの中身を取り出して、劇中のように牛を乗せることができます。って、ロランのほうにピントが合っちゃった。まあ、これは出来上がった後にゆっくりご覧頂きましょう。
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 てな按配に仮組みが終わった2機を色々といじくり回してみました。次回からは本格的に制作に入ろうと思います。

 一通りいじくり回したところで感じたのはMGの完成度の高さ。さすが名作の誉れ高いキット。もうこれに手を入れるのは完全に好みの問題だなぁ、と。そこで、最初にMGを完成させて、それを参考にHGに手を入れていこうと思ってます。はてさて、どんな仕上がりになることやら。

 てなわけで今回はここまで。
 次回も、乞御期待!!

(C)SOTSU・SUNRISE

詳しくはバンダイホビーサイトプレミアム バンダイ
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One Response to “バンダイ MG、HGCC ターンエーガンダム その1”

  • VF-11の作例を探していまして、一番目を引いた素晴らしい作品を拝見しました。
    色々読ませて頂きましたが記事も凄く丁寧で勉強になります。
    またゆっくり読ませて頂きます。
    私も拙作ブログを書いていますので、宜しかったら交流できたら幸いです。
    おじゃましました。

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