線香亭無暗のやたら模型制作室
 はい皆様、1週間のご無沙汰でした。
 ついこの間「学生の方は夏休みに入って~」なんて書いてたかと思ったら、いつの間にか8月も残す所9日ばかり。学生の皆さんはちゃんと宿題終わってますか? 宿題の間の息抜きには模型作りが良うございます。手先を使うことで脳が活性化する上、制作手順を考えたりすることでロジック思考も身に付くというね。もう史上最強の趣味と言っても過言ではありません。なんて書いてて思い出したのは自分にも宿題がたくさんあったなぁ、ということ。大人になったら宿題なんてなくなるもんだと思ってたんですけどね。実際はもっと辛辣な宿題があるということがわかりました。そんなワタシの大人の宿題は大体原稿か模型なんですけどね(笑)。てなわけで暑さにもめげず今回もしっかり模型を作りましょう!



 さて、今回はWAVE 1/35 ラビドリードッグ[PS版]その5回目にして完成編。早速張り切ってまいりましょう!!

 さて、前回までで降着機構とコクピットが再現してある[PS版]は出来上がってました。
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 で、この[PS版]との比較用に作った[ST版]も塗装して完成させたいなぁ、というところで終わってました。

 そこでまず引っ張り出してきたのがこんなもの。
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 石膏の板。これ、今回の制作用に作ったものではなく、型取りのバックアップとして使ったもの。特に使う当ても無くとって置いたら、いつの間にか割れていたという代物。今回はこれを使ってベースを作り、残った[ST版]をビネット風に仕上げてみようと魂胆です。
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 まずは割れた部分を接着剤でくっつけてノミなどで形を整え、それらしく成型します。接着にはGボンドのクリアを使いました。ポイントはひび割れを活かして、それっぽい雰囲気を出すところ。
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 なんとなくベースができたらラビドリードッグを乗せて、どんなポーズで作ろうか考えます。このあたりの作業が一番楽しかったりします。
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 ポーズが決まったら鉛筆などで両足のあたりを取っておきます。
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 当たりを取ったら彫刻等などで掘り込んで足首が嵌るヘコミを作ります。これは今回の制作イメージが「古くなって脆くなった建物の床」だから。具体的にはTV版ボトムズ最終版でワイズマンの元に急ぐラビドリードッグのイメージ。建築物に入ってすぐは建造物の老朽化が進んでいて、床もひび割れてたりして、という想像の産物です。模型的に言うと、こうしてベースと模型との接地面をめり込ませておくことで一体感や重量感を演出するという目的もあります。
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 さらに重要なのがベースの形を整えるために削った石膏の削りカス。これを使って、さらに動きのある演出をしたいと思います。
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 とはいえ、元となるベースを作るのが先。足元のヘコミの他、それらしいキズなどを付けたベースにサーフェイサーブラックを吹き付けておきます。
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 サーフェイサーが乾いたら、それらしく調色したグレーを重ねます。大分それらしくなってきました。ポイントは下地の黒を部分的に残しながらグレーを重ねること。
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 実はグレーも2色を使って、手前側から奥に行くにしたがって若干暗くなるように塗装しています。こうすることで小さなベースでもチョコッと奥行きを出すことができます。この後もベースには手を加えますが、それは模型の方を乗せてからのお話。ベースはこの状態で一旦置いておきましょう。

 で、お次は模型本体の方の加工。
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 基本的には[PS版]と同じような加工をしています。ビネット風に仕上げるとあまり目立たないため、ヒジ関節の追加加工はやっていません。
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 で、困っちゃったのがカメラのレンズ。[PS版]では知り合いからいただいたクリアパーツを使ったので事無きを得たんですが、[ST版]では水色で成型されたパーツしか付属せず、5角形の赤いカメラのレンズや両肩のセンサーなどはホイルシールでの再現となるため、レンズパーツが無いという状態です。じゃああれだ、作っちゃえ!
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 そこでまず用意したのは0.4mmの透明プラバン。タミヤのものですね。これを使ってレンズパーツを自作しましょう。
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 問題はどうやって形を決めるのか? という所だと思うんですが、そこで活躍するのがキットに付属するホイルシール。これを透明プラバンに直接貼って型紙とします。
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 ちょっと話が前後しますが、こういったプラバンを切り出す際に便利なのが金属製のT定規。しっかり直角で切り出したプラバンに、これまたT定規を使って直角に型紙を貼り付けておくと切り出す際に楽に精度を出すことができます。
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 はい、こんな感じ。5角形の部分はちと無理がありますが、正方形や長方形に切り出す場合はずいぶんラクチン。ちなみに、キット付属のホイルシールは貼り付ける底面にフィットするようになっているので、ほんのわずか外側から斜めに切り込むと、切り出したプラバンがレンズ部分に上手くハマります。まあ、断面の加工は最終的にはヤスリを使って調整するんですけどね。
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 で、切取る前にもうひと手間。両肩のセンサーと5角形のカメラ部分用のパーツには細かいラインのディテールを入れておきます。これだけで仕上がりがそれっぽくなるから不思議。
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 切り取ってフチを処理した自作パーツをあてがってみましたよ。結構それっぽくできてますね。これなら透明プラバンさえあればレンズパーツの自作ができます。
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 出来上がったパーツはクリアーグリーンとクリアーレッドで先に塗っておきます。こういう細かい透明パーツは何かと行方不明になりがち。先に色を塗っておくと「あれ、あのパーツどこ行った?」率がグッと下がります。仲間内では取っておいたはずのパーツが異世界に行ってしまうのを防ぐ、別名「オーラロード封じ」などとも呼ばれております(笑)。

 なんて馬鹿なことを言ってないで、本体の方も塗装しないと。
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 [PS版]の方はグレーのサフを吹いた後にミッドナイトブルーを吹き、その後からボトムズカラーのブルーを重ねましたが、この[ST版]の方はサーフェイサー エヴォ ブラックを吹いて下地にしちゃおうと思います。
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 そのブラックの上に直接本体色を吹いた状態がこれ。写真の都合でブルーが大分濃くなっちゃってますが、濃いほうのブルーはあえてボトムズカラーを使わず、ガイアノーツのコバルトブルーに白を混ぜたもの、フトモモなどの白っぽい部分は[PS版]で使った調整済みのボトムズカラーのライトブルーの上に、さらに白を混ぜたライトブルーを重ねたもの。
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 仕上がりはこんな按配です。一見ボトムズカラーで塗ったのと変わらないように見えますが……、
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 並べてみると結構違います。
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 写真左がボトムズカラーで仕上げた[PS版]、右側がコバルトブルーで仕上げた[ST版]。実はこれ、ちょっと思うところがありまして、あえてコバルトブルーで塗ってみました。

 ガイアノーツのボトムズカラーの設定を見ると「スナッピングタートル」「ストライクドッグ」「ラビドリードッグ」は全てボトムズカラーの「AT-06 ブルー」ということになっています。でも今、画面で見ると、これ3機とも違うブルーに見えます。特にこのラビドリーは他の2機に比べてだいぶん明るい色に見えます。
 ただ、このカラーシリーズはサンライズさんの協力、監修の元、当時の色指定(の絵具の色)を忠実に再現したもの。今見る映像で3機の色が違う原因は、まあいくつか考えられるんですが、模型的には「専用色がこれなんだからこれで塗ればいいんだよ」ってのは、個人的にもしっくり来ない。そこで、この[ST版]は「例えばストライクドッグと同じ色で塗られていたラビドリードッグが、今見る劇中のようなブルーに見える訳」というのを考えたフィニッシュにしてみたいと思います。なんか複雑でわかりにくい説明ですが、要は「同じ色のはずのATの色が違って見える訳」っていうのを模型的に考えてみようという趣向です。まあ、ちょっとした遊び心、あるいはイタズラ心とでも言いましょうか。
 あ、勘違いのないように言っておきますが、「このボトムズカラー、色がオカシイから使わない!」って言ってるんじゃありませんからね。元々このカラーシリーズは「そのまま模型に塗ってオシマイ」って塗料じゃなく、「当時の色指定に則って、当時使われていた絵具の色を再現したカラー」ですから、画面に映っているATの色と違って然りなんです。それを踏まえて“自分なりのATの色”を作るための忠実なる基本、ベーシックとなるカラーシリーズですから、どうぞ誤解のないように。

 閑話休題。

 さて、本体が塗り上がったら改めてベースに乗せてレイアウトの確認。
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 ベースに表情が付くと、こんな小さなベースなのに途端に意味が出てくるのが面白い。こういうのがジオラマの面白さですね。
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 足の下はこんな感じになっていますが、ここはしっかりと接着してしまいます。
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 接着には高粘度の瞬間接着剤と硬化剤を使っています。本来ならエポキシ系接着剤やスーパーXなどを使うと頑丈でいいんですが、今回は時間短縮のため瞬着選択しました。ここはしっかりと止めておかないと、後で塗装ごとバリっと剥がれてきたりしますから注意が必要です。
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 足を接着したらヒザ関節の形を決めるため、しっかりとポーズを決めておきます。まあ、立体のレイアウトを決めてるようなもんですね。
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 ポーズが決まったらヒザ関節に低粘度の瞬間接着剤を流し込んで固定しちゃいます。これで下半身のポージングが決まりました。
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 そして、ここで再登場するのがベースの形を整える際に出た石膏の切れ端。
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 これを、方向を考えながら足の周りに貼り付けていきます。ここで使うのは低粘度の瞬着。「陶器用」なんて書いてあるものが使いやすい。瞬着も数種類揃えておいて、用途に合わせて使い分けると非常に効率がよろしい。
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 角度を変えながら気が済むまで破片をくっ付けていきます。これは老朽化して脆くなった床面に重いATが乗っかって、さらにローラーダッシュ(ラビドリーはサンドリッパーだけどね)なんかしたら床面が砕けちゃうんじゃないか? という想像から。欠片を中に浮かせるような形にすることで止まった状態の模型に動きが出せるんじゃないかという試みです。
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 そういった「動き」の演出としてもうひとつ。腰やヒザ裏の装甲を跳ね上がった状態で固定しています。こういうのを考えてる時って楽しいんですよね。
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 さて、そんな追加加工をした状態のラビドリードッグ。
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 足元の「バリバリ感」、ずいぶん出てます。
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 後ろから見るとサンドリッパーに跳ね飛ばされた欠片が待っているように(見えるかな?)。
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 終端のほうの欠片は接着面積をなるべく小さくすることで「飛んでる」雰囲気が出ます。じゃあ、新しく付けた破片も塗装しておきましょう。
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 まず足首を残してスネから上を外しておいてマスキング。ベースと同じように黒サフを吹いてからグレーを重ねます。グレーを重ねる時も欠片の形状にあわせてトーンを変えるとより表情が豊かになります。で、ついでにタミヤのウェザリングマスターの「サンド」や「マッド」などをエナメル溶剤でといて塗りつけると粉っぽさが出てよりイイ感じになります。
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 マスキングを剥がしてスネから上をつけたらタミヤのエナメル「サンドイエロー」をエアブラシで吹き付けて砂で汚れた状態を作ります。TV版のラビドリードッグはここに至るまで、砂漠の中をだいぶん通り抜けていますからね。
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 様子を見ながら少しずつ砂埃を足していきます。
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 前側に比べて後ろ側は汚れ多め。サンドリッパーが跳ね上げた砂埃がくっ付くんじゃないかな、という演出。最終的には上半身も乗せた上体でかるーく全体を汚してラビドリードッグ ビネット風仕上げの完成!
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 彩色の目的としては「濃いブルーの機体が砂漠を走破したために砂埃で白っぽく見える」というところ。これでストライクドッグっぽい色味が明るいブルーに見えるんじゃないか? という自分なりの模型的回答です。どうでしょう。ちょっとイイ感じになってますでしょうか?
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 見る角度や方向を変えると、また違った面白さが見えるのが、こういった仕上げの良いところ。1/35 ATだとサイズ的にわりと気軽にできるフィニッシュでもあります。

 てな訳で、WAVE 1/35 ラビドリードッグ[PS版][ST版]、2つ揃って完成です!!
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 いやぁ、実はここの所ずっと「ATといえば1/24」な感じで作業してたもんですから、キットの箱を開けた時に「小っちゃいなぁ……」なんて不安もあったんですが、1/35のATって、実際に作ってみると実に面白いということがわかりました。完成してもそれほど場所をとらないし、塗装も改造もそれほど手間がかからないサイズ。コレクションには最適ですね。今回はノーマルに単体で仕上げたものとビネット風のふた通りの仕上げをしてみましたが、1/35だとAFVのアクセサリなんかも流用できそうだし、シリーズが揃ってきたら大き目のジオラマなんか作ったら盛り上がるだろうなぁ。是非ともシリーズ次回作も期待大です。

 といった所でラビドリードッグも無事完成。
 次回は何を作ろうかな? ってところで、お後がよろしいようで。

(C)サンライズ

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