はい皆様、1週間のご無沙汰でした。
台風やら雨やら、荒れた天気が続くかと思えば急に暑さが戻ってくるという耐久テスト的な天候が続く今日この頃、皆さん元気に過ごしてますか? こんな風に天候が変わりやすいと塗装のタイミングがずれちゃったりして困る事があります。いくら頑張ってみても天気ばっかりは調整が効かないので、天気予報を見ながら「塗装はこの日だな」なんて決めるんですが、どうもスケジュールや天気予報が狂ってきて、結局雨の日に塗装してたりして。まあ、常に締切りがある職業モデラーなんで仕方ないっちゃぁ仕方ない。たまには余裕を持って、好きなだけ時間をかけて模型を作りたいなぁ、なんて思ってみたりすることもあるんですが、そうなるとたぶん完成しないんだろうなぁ、なんて思ったりもします。まあ締切りがあっても模型作りは面白い! と割り切って今回も張り切って模型を作りますよ!
さて、今回はWAVE 装甲騎兵ボトムズ「1/35 ラビドリードッグ[PS版]」その4回目。早速張り切ってまいりましょう!
前回までで[PS版]の下塗りから青い部分のテスト塗りが終わってました。
このままフィニッシュしちゃってもいいんだけど、比較用に作った[ST版]も一緒に仕上げちゃおう、というところで終わってました。
こちら未だ素組みの[ST版]。はてさて、今回で両方フィニッシュ、果たしてできるのかできないのか!
それじゃあまず[PS版]から仕上げちゃいましょう。
まずはコクピットの中身から、ということで用意したのがガイアノーツのボトムスカラー第5弾、レザーブラウン、オレンジ、コバルトグリーンの3色。これは耐圧服やヘルメットなど搭乗員のフィギュアに使用するカラーです。
まずは改造したフィギュア全体をサーフェイサー エヴォのオキサイドレッドで塗装。これを下地色にします。
はい、塗ってみました。オレンジはエアブラシで、その他の部分は筆塗りで仕上げました。先に紹介した3色の他にもゴーグルはフォグブルー、耳の部分のグレーはブルーグレーなどを調整して塗っています。足を延長したのと肩幅を広げ、シートに収まるように調整しただけで基本的な着座姿勢は変えていません。
シートも先に塗装しておきます。シート部分は複数色のグラデーションで柔らかい感じに、その他の部分はソリッドカラーでまさに“ソリッド”な感じに仕上げました。この他コクピットの中も先に塗っておきます。
中身の塗装が済んだら外側の塗装。実は前回テストで塗ったブルーは瓶そのままの色だったため今ひとつ気にいらなかったので、若干調整して塗りなおすために下地のミッドナイトブルーを塗りなおしておきました。バイザーの部分の穴は塗装に備えてマスキングテープで塞いでおきます。
ミッションパックの中身もしっかり先に塗っておき、カバーを閉じた状態で上塗りをします。
さて、それではいよいよ本塗装。
まずは1色目のブルー。これはボトムズカラーのブルーにほんの少し純色シアンを足したもの。ボディの青い部分に加えて、二の腕やフトモモ、腹などの白っぽい部分の下塗りにも使用します。
2色目はライトブルーにEx-ホワイトを足したもの。コチラは大分白めに調整しました。
これがブルーを下地に調整したライトブルーを塗った状態。瓶のままでは大分青い印象になるので、こんな具合に塗装してみました。
少し違う手順で塗装したのが左手のクロー。まずはサーフェイサー エヴォのブラックで下塗りします。
その上からスターブライトシルバーを塗り重ねると深みのあるシルバーが出来上がります。ついでに真鍮パイプに差換えたマシンガンの銃口はスターブライトアイアンを筆塗りしておきました。
たまに、ガイアノーツのブライトシルバーとスターブライトシルバーの違いはなんですか? なんて聞かれるんですが、これはメタリック粒子の大きさと質が異なっているメタリック塗料です。ブライトシルバーは滑らかな塗装面ができる細かいメタリック粒子が、スターブライトではより輝度が高い大き目のメタリック粒子が使われています。スケールやジャンル、欲しい効果にあわせて使い分けるとシルバー塗装の幅がグッと広がりますんで、皆さんも色々試してみてくださいね。
さて、次は塗装後に行う追加加工。
作業中にも結構気になっていたのが各部のカメラ部分。
キットではメインカメラの四角い部分だけカバーレンズが付属していますが、その他の部分は付属のホイルシールで再現するようになっています。でもそれじゃあちょっと寂しいなぁ。
これ、センサーのレンズカバーを自作するには透明プラバンなどを使用して自作するしかありません。さて、どうやって作ってやろうかと考えていた所、面白いものをいただきました。
それがこれ。1mmの透明プラバンに切削機でレンズの形を削り出したもの。「どうしようかなぁ……」なんて言ってたら、知り合いの本職で切削加工をしている方から「面白いもの作ったよ」なんて譲っていただきました。これなら削った溝にあわせて切り取って、断面を加工すればレンズパーツとして使えます。よし、早速使ってみよう!
まずはいただいたパーツに若干のディテールを追加。ディテールって言ったってメインカメラの5角形のパーツと肩口の四角いレンズにスジボリでラインを入れただけ。このあたりは最低野郎のコダワリということで。
まずは5角形のレンズを切り取って断面を斜めに削り、カメラの部分にはめ込んでみました。おお、良いじゃないか。
それでは、ということで肩口のカメラレンズもはめ込んでみましたよ。このパーツのおかげで大分楽ができました。どうもありがとう。
で、このレンズパーツの色なんですが、普通ならクリアーカラーで塗装するところですが、今回はハセガワのTFシートのクリアーレッドとクリアーグリーンを使います。この辺はこの連載をごらんの方々にはお馴染みの手法ですな。
本体パーツのカメラの底面には同じくTFシートのミラーフィニッシュを貼っておきます。これでレンズをはめ込んだ後もピカッと光ってくれるはず。
メインカメラの小さい円の部分にはWAVEのH-アイズ ミニの1.2mmを使用。
1.2mmのレンズパーツはTFシートのミラーフィニッシュに貼り付けた後に切り取ってカメラ部分に貼り付けます。上側がオレンジなのは、この連載で作ったタチコマのレンズ部分に使ったメタリックオレンジの残り。使えるものは何度でも使うというエコモデリング(笑)。
てな訳で出来上がったメインカメラ部。H-アイズにはイエローグリーンをチョイと筆塗りしておきました。うん、良いんじゃないの! 他の部分は後ほどお見せしましょう。
ということで塗装や加工が終わったパーツにスミイレ。
スミイレはタミヤのスミ入れ塗料を使っていました。ただしブラック、グレー、ダークブラウンなど数色を使って部分によって変化が出るように工夫しています。
ということでWAVE 1/35 ラビドリードッグ[PS版]とりあえず完成!
ウェザリングについてはチョイと考え中。
ミッションパックはカバーの開閉と連動して機雷の射出レールが可動します。
[PS版]ならではのコクピット内部もしっかりと仕上げました。やっぱりATはパイロットがあると盛り上がるなぁ!
[PS版]もうひとつの特徴、降着ポーズも決まります。
真横から見ると降着の感じが良くわかります。
こういうポーズがね、盛り上がるんですよATは!
各部のカメラ部分は知り合いからいただいたレンズパーツと市販パーツを使用して再現。メインカメラの四角いレンズはキットのものを使用しています。
というわけで[PS版]は無事完成!
さて、じゃあ残りはコイツ。[ST版]のラビドリードッグ。
基本的な作業は[PS版]とほとんど同じ。
ただし、コクピットやミッションパックの開閉はオミット。接着整形しておきます。
で、ここでご質問をいただいたのでお答えしておきましょう。
いただいたご質問は「1/35 ラビドリードッグのサンドリッパーの履帯部分の塗装を簡単にしたいんですが、良い方法はないでしょうか?」ということです。
確かにキットでは足首のパーツに挟み込むようになっていますから、接着成型しようとするとマスキングして塗り分けるしかありません。
これがサンドリッパーの履帯部分。うむ、工夫すればアトハメ加工ができそうだぞ。
ハメコミの部分をノコギリで切り取り、足首の取り付け軸にあわせて加工。これでアトハメができるようになります。
これなら足首の接着跡も思う存分消すことができます。とはいえマスキングで処理するにしても直線ですから、どっちが楽かは定かではありません(笑)。まあ、このあたりはお好みで。
じゃあ〔ST版〕制作に戻りましょう。と思ったら、ずいぶん長くなっちゃった。この[ST版]はビネット風に仕上げようと思うので、この後もう一山あるんですよね。実は既に出来上がってるんですが、そのあたりもじっくりとご覧いただきたいんで、もう1回やりましょうか。
てなわけで、ATを作り始めると中々終わらないワタクシ線香亭。これだけじゃなんなので、[PS版]と違う加工をしたところを見て頂きましょう。
基本的には同じ加工をしている2機。
こうしてみると塗装だけでも十分見栄えが違って見えるのがわかっていただけるかと。
特に異なった加工をしたのは左手のクロー部分。[PS版]ではキットのままの形状としましたが、[ST版]ではクローを一旦切断し、プラバンを挟み込んで左右に開いた形としました。
正面から見ると違いがわかります。これは劇中に登場するイメージを再現したもの。加工箇所もわかっていただけると思います。前に作ったWAVE 1/24 レジンキャストキットのラビドリードッグ[スペシャル版]では開いた状態のクローがオプションとして付属してましたね。
横からみるとこんな感じ。下側のクローはガッツリと開いた状態を再現するため、可動ではなく、一旦切り取ってプラバンで延長、成型して接着してあります。
そんなこんなで今回はここまで。最後はこんな写真で。
これは加工前のベースの素材写真。これを使って[ST版]ビネット風仕上げ、次回まで楽しみにお待ちくださいね。
てな訳で今回はここまで。
次回、いよいよ本当に完成編。乞御期待!!
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