線香亭無暗のやたら模型制作室
 はい皆様、1週間のご無沙汰でした。
 こうして模型関連のお仕事を請け負って早幾年月の生活を送るワタクシ線香亭。なんだか最近、模型制作に関する感覚がおかしくなってまして、普通なら「こりゃどう考えても無理だろ」っていう状況でも、平気でやろうとしちゃう傾向が顕著になっております。例えば今回のタチコマ。シルバーの背負っている部分は全てフルスクラッチなんですが、スケジュールを考えると1~2日で仕上げなきゃならない。後は、誰も見たことないような巨大モデルを10日ばかりで仕上げるとか。冷静に考えれば自分でも「そりゃキビシイだろ」って思うんですが、なんか出来る様な気がしちゃうんですね。結果としてホントにギリギリのスケジュールになって、関係各位の皆様には心臓に悪い思いをさせたりして、もうホントに大変申し訳ない。ちゃんと大人になろう。と、ひとしきり反省した所で、今回も張り切ってまいりましょう!!


 さて、今回はコトブキヤ 1/35「タチコマWith草薙素子&バトー」もいよいよ完成編。

 3機のタチコマをバージョン違いで一気に完成させようという今回の試み。前回はブルーに続いて黄色タチコマも出来上がり、残すはシルバー・タチコマのみという状態でした。
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 それではシルバー・タチコマ、略して銀コマの制作に取り掛かります。

 まず本体の制作ですが、これは前に完成している2機と全く同じ加工をしています。脚部の合せ目消しや先端パーツのアトハメ、マニュピレーターの自作など、興味のある方は今回の作例記事の最初の方からご覧いただければと思います。

 で、問題なのがこの銀コマちゃんのお尻に付いているユニット。他の2機のように搭乗ポッドが付いているわけではなく、全く別物のユニットが付いています。劇中で本人が言っているように「構造解析の途中でコード引きちぎってラボから逃げてきた」のが銀コマですから、計測用の機器を備えたダミーユニットなのかも知れませんね。搭乗ポッドとは形が全く違うので、当然フルスクラッチということになるんですが、形がちょっと複雑なので図面を引くことにしました。
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 ハイこんな感じ。イラストレーターというソフトを使って、PCで制作した図面にあわせてプラバンを切り出し、組み立てていきます。
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 こんなふうにノギスで寸法を写しながらパーツを作っていく作業をはじめとして、
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 図面の裏に貼り剥がしのできる糊を塗って切り出したり、といった手法で進めていきます。
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 まずはこんな形になりました。丸くなっているところはバルジ状に膨らんだラインのお尻の部分。
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 バルジ自体はプラパイプを斜めに切ったものをベースにパテで仕上げます。これは全部パテで作るより軽く仕上げるため。元々お尻の重いタチコマですからね。今回はWAVEのプラ=パイプを使いましたが、これ、非常に使い勝手がよろしい。3mmから8mmまで0.5mm刻みで用意されている上、肉厚と肉薄の2タイプがあるという充実ぶり。大変重宝しました。
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 そんな作業を積み重ねて、まずはプラ細工の出来上がり。ここにパテを盛って形を整えていきます。
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 ポリパテを盛り付けて硬化を待っているところ。全部プラバンで作ればもっと軽量化できるんですけど、上面の曲面の再現に手間取りそうだったのでお得意のポリパテ作業を選択しました。エポパテ派の方は軽量タイプのものを使ったほうがいいと思います。
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 ざっくりと形を出してみました。本体との接続には搭乗ポッドを繋ぐキットパーツを使います。
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 で、とりあえず出来上がっているブルーのタチコマ、略して青コマに取付けてみました。うう~む、ちょっとデカイか……。
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 しばし葛藤した後、やっぱり小型化することに決めました。といっても全体に小さくするわけではなく、部分的に絞り込んで小さく見せようという作戦。ノコギリやリューターなどで写真のように切り込みを入れました。
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 あいた隙間を瞬着で強引に接着。これだけで大分小さく見えるはず。
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 おお、いいんじゃないの。大分小さく見えるようになりました。胴体側だけを幅詰めしただけなのに、面白いもんです。
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 ポリパテで再修正して背負モノの本体部分は完成。続いてはこれにくっつくパーツの制作。
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 基本的にはプラバンの箱組みで済むんですが、それで済まないのが後部にあるノズル状のパーツ。写真上はWAVEのプラ=パイプを加工したもの。下はコトブキヤの丸ディテールからチョイスしたもの。基本的には「家にあるもので何とかする」的なエコモデリングになっております(笑)。
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 ちょっと厄介だったのは上部に付くエアダクト的なディテール。基本は0.5mmプラバンの箱組みで作りました。
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 どうしようか迷ったのはダクトの噴出し口(的な部分)。手元の資料では、どうもルーバーがあるみたい。プラバンを切り出して貼る? それ、結構面倒そうだなぁ……。
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 そこで考えたのがこんな作業。ますは1mmプラ棒を適当な長さに切り出します。
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 そうしたら、それを筏状にして接着。バックが白いのはペーパーパレットの上で作業をしているため。これなら流し込み用の接着剤を使っても机にくっついちゃうことがありません。
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 接着剤が乾いたらダクト内側に丁度いい長さに切り取って接着。
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 はみ出した部分を切り取れば、なんとなく不思議な丸いルーバーの完成。取付け前には本体の曲面に馴染むようにリューターで削って調整して接着します。
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 そんなこんなで銀コマの背負モノ、一応完成。この後ポリパテの気泡埋めやらキズの修正やらをしてから塗装に入ります。
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 おっと忘れてた。こんなパーツも作りましたよ。市販の赤いリード線の先端に真鍮パイプと真鍮線を差込んで接着。シルバーで塗っておきます。これは何に使うかというと……、
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 こんなふうに使います。銀コマちゃんがラボから逃げ出す際に、引きちぎってきたコードです。

 続いては後回しにしていた左右のマニピュレーター2機分の制作。特に面倒なのは左側の爪の制作。同じ形の爪をプラバンの切り出しで6本作らなきゃなりませんからね。
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 そこで一計を案じて1mmプラバンの6枚重ねのブロックを制作。それぞれは瞬着の点止めで止まっています。帯状に切り出したプラバンを6枚重ねて止めた後に、ピンバイスやリューターで大きな穴を空けました。
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 そうしたらハイパーカットソーで、こんなふうに切断。使うのは小さい方の切れ端です。
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 このブロックを6枚に分割すれば、左マニピュレーターの指部分の原型が出来上がります。細かいディテールはこの後入れなきゃなりませんが、とりあえず同じ平面形の指が6本出来上がります。
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 これをキットパーツのマニュピレーターと差換えて接着。しっかり接着してからヤスリでディテールやフォルムを整えます。写真左がキットのまま、右が改修後。
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 右側は真鍮パイプの組み合わせですから作業は比較的楽です。写真上の二つは最初に作ったもの。新たに作った下の4つは、ちょっとした遊び心で全部閉じた状態と全開に開いた状態にしてみました。これで本体の工作は全て終り。塗装に取り掛かります。

 銀コマのボディーの基本色はガイアノーツのミディアムブルーEx-ブラックを混ぜて暗く調整したもの。
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 こんな感じの色で塗りました。もちろんこれは下地色。ボディ部分以外は前回に塗装を終えていますから、ボディ部分の下地色ということですね。
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 ここで登場するのは、もうお馴染み。雲母堂本舗のビスマスパール。これを使ってシルバーのボディーを再現したいと思います。
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 これが下地色を塗り終えた状態。メタリック感は全くない、やや濃い目のブルーグレーです。
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 ここにビスマスパールを軽く1回乗せた状態がこれ。なんとなくメタリックな質感になりました。このままビスマスパールを重ねていくと……、
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 こんな感じになります。自分で塗っていても、ちょっと面白い感覚になります。パール塗料と普通にシルバーで塗った場合との違いは、下地の塗装色が仕上がりに影響する割合。パールの場合は下地の影響が大きく出ます。つまり今回の場合は「ブルーグレーっぽいシルバー」になっているというワケ。パールの塗料が乾いたらEx-クリアーでトップコートし、スミイレを終えたら本体の塗装は終了。

 本体の塗装が乾く間にキット付属のフィギュアも塗っておきます。
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 はい、こんな感じ。パーティングラインなどを処理した後、チマチマと筆塗りで塗っています。今回は基本的にラッカー塗料で塗っておいて、部分的にアクリル塗料を使いました。
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 で、ちょっとした課題だったのが目をどう再現するか。この手のごく細かい塗装は苦手なワタクシ線香亭。筆塗りで1/35のアニメ目玉を書くのは到底不可能です。
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 そこで活躍するのが、前回の黄色コマの時に作っておいた1/35目玉デカール。ガイアノーツの「おウチでデカール」を使ったんですが、これは分厚い台紙を付けたまま貼り付け位置を決めなきゃならないというのが問題。瞳のように微妙な張り位置の調整が必要な場合には向いていません。
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 そこで本来ならそのまま貼り付けるところを、一旦クリアーのデカールに貼り付けて、それを切り出してはどうか、と考えました。写真中央のブルーのヤツがクリアーデカール。レーザープリンターや昇華型プリンターなどで自作デカールを作るためのものです。そこに印刷した瞳デカールを貼り付け。何事も実験です。
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 ごく少量の水でおウチでデカールの方の台紙を取り除いたら、なんとか形になっている! ということでクリアーデカールに残った印刷面を切り出しました。
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 これを貼ってみたのが上の写真。ううむ、完璧とはいえないまでも、まあ良かろうという雰囲気。少なくともワタシが筆で塗るよりはマシ、ということで納得します(笑)。
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 ついでといっちゃぁ何ですが、キット付属の天然オイルにもそれらしいロゴを付けておきました。手法は瞳デカールと同じ。このあたりの大きさになるとプリンターの解像度の限界に近いのでカチッとした仕上がりにはならないんですが、まあ、雰囲気があればよろしい。
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 フラットクリアーで全体のツヤを整え、スミイレを終えたらフィギュアも完成!
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 塗装後の少佐もちゃんとポッド内に納まりました。
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 天然オイルのほうもこんな感じ。うむ、中々よろしい。


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 そんなことをやっている間にシルバーのパーツもすっかり乾燥しました。さあ組立だ!
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 写真だとフラッシュ焚いちゃってるんでわかりにくいんですが、微妙に質感の違うシルバーで構成されているところがミソ。

ということで、タチコマ、シルバー・バージョンも完成!!
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 いかがでしょう? ちゃんと銀コマちゃんに見えますでしょうか?

 そ・し・て……

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 うひゃー! ようやく3機勢揃い!! これがやりたかったんです。
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 お尻もキュートなタチコマンズ。やっぱりこの模型、1個だけ飾っておくのでは勿体ない。複数並べると威力倍増! 是非とも複数買いをオススメしちゃう!!

 てなわけで、長期連載になっちゃった「コトブキヤ 1/35 タチコマWith草薙素子&バトー」もようやく完成! 後はギャラリーでお楽しみ下さい。


 書きたいコト、やりたいコトは今回の作例記事で全部放出しちゃったんで、あんまり書くこともないんですが、このキット、手軽に作れて満足度が高い非常に良いキットです。割り切りながらもこだわりの設計で、そのあたりを両立させているんですね。今回はバリエーションで作ってみましたが、とりあえず9機まで買っても劇中の設定とは異ならないわけですから、ぜひ複数買いをオススメします。この後に続く9月発売予定のロジコマの発売も楽しみです。それまでは皆さん、タチコマを作って待ってましょうね!!

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 ということで、タチコマンズも無事完成!! 次回は何を作ろうかな?
 ってことで、お後がよろしいようで。

(C)士郎正宗・Production I.G/講談社・攻殻機動隊製作委員会

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