線香亭無暗のやたら模型制作室
 はい皆様、1週間のご無沙汰でした。
 この原稿が公開されるのは静岡ホビーショーまであと2週間を切った頃。ワタクシ線香亭も年に2回の制作ラッシュを迎えておりまして、もう大きなものから小さなものまで、色んなものを同時進行で作っている真っ最中です。前にもちょっと書いたんですが、実はそういう状態、それほど嫌いじゃない(笑)。何せラッシュですから、悩む間もなく次から次へと作業をしながら、どんどん模型が仕上がっていくというのは悪い気はしないもんです。世間ではそれを愛と呼ばずに「モデラーズ・ハイ」と呼ぶんだぜ! というのは自己認識済みなのでツッコミはいらない(笑)。
 てな感じで今回もしっかり模型を作りましょう!!


 さて、今回はコトブキヤ 1/35「タチコマWith草薙素子&バトー」その3回目。早速張り切ってまいりましょう!

 前回はチョコッとした加工を残して、大体のところの工作が済んだところで終わってました。
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 今回は残った部分の工作から。

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 残った部分の工作は、搭乗ポッドの裏側のワイヤーリキッド発射装置の加工。搭乗ポッドの裏側に計4箇所あります。
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 まずはサイド部分の発射装置と同様に、抜きの関係で省略されてしまっている発射口を0.6mmピンバイスで再現します。
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 それから、スナップフィットゆえの取付け強度の関係でしょうか、グレーのパーツがブルーのボディ側に食い込んだようになっている後部側のパーツの工作。劇中では反対側と同じように、リキッドワイヤー発射口がボディにペタッとくっ付いているような構造になっています。加工は単純。ハイパーカットソーでボディの端の長さでグレーのパーツを切りはなし、ボディ側に残ったパーツを接着整形することで解決しました。取付けダボの部分が細くなってしまうので取付けには注意が必要ですが、これでもちゃんとくっ付けられます。

 さて、本体の加工はこれでホントに終り。キットが良く出来てるんで、シンプルな改修で止めておいて、あとは塗装に凝りましょう。
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 ということで、まずは搭乗ポッドの内部から。
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 コンソール部分は細かいディテールが施されていますが、塗り分けはわりとシンプル。まあ、公安9課の皆さんは、視覚の中に直接インフォメーションが表示されちゃうような仕様の方々が殆んどですからね。余計な色彩が施されたコンソールはかえって視界の妨げになるのかもしれませんね。
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 で、塗装前にチョコッと追加加工。写真の黒いパーツ(上のほうに写っているピンボケのパーツも含めて)ですが、付き位置をみると搭乗者保護用のパッドじゃないかと思うので角をヤスリで丸めておきました。手前に写っているのはWAVEのヤスリスティックSOFT。曲面の加工に威力を発揮します。
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 はい、加工済みとキットのままのパーツの比較。右側が加工済みです。スケール考えるとキットのままでも十分なんですが、保護パッドの柔らかさを出そうという演出です。普通に仕上げた左側のパーツよりも柔らかそうに見えるでしょ。
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 ついでといっちゃぁ何ですが、高密度スポンジっぽい質感を出すために溶きパテで梨目を作ってみました。まあ、ほんの遊び心です。
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 内装側はコンソールの塗り分けをズンズン進めていきます。基本的には説明書の塗装指定に則りながら、多少アレンジを加えています。
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 ポッド内部は基本的にウォーム系のグレーで塗り分けられています。本編の映像を見た感じではしっかりとしたフラット仕上げになっている雰囲気。全体に指定よりも1段明るい感じに仕上げてみました。
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 この写真だとわかりやすいかな? 一番暗いグレーがガイアノーツのジャーマングレー。他の色もそれに準じて明るめです。これは完成後にメリハリ良く搭乗ポッドの中身を見せるための工夫です。
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 丸っぽく加工したパッドもジャーマングレーで塗装。これで角があると鋳造みたいに見えるんですけどね。不思議とこんな丸っこい形状のものに梨地加工をすると柔らかく見えるんですよね。
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 塗装が乾いたら内部だけ先にスミイレします。内部だけ先に仕上げておこうという魂胆です。

 さて、ここからは本体の塗装。今回は劇中のイメージを重視してピカピカのグロスで仕上げてみたいと思います。
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 青い部分の基本色として決めたのはガイアノーツ、ボトムズカラーのAT-6 ブルー。こんな感じの青です。
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 ただそれだけだとちょっと明るい感じがしたので純色シアンを少し足しました。うむ、いいんじゃないか。上下で見比べていただけると違いがわかっていただけるかと。

 パーツの方はどうなってるかというと、サフを吹き終わった状態。
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 まずはサーフェイサー エヴォのグレーを吹きました。グロス仕上げの場合、この下地の作り方が重要になってきます。
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 グロス仕上げをより美しく仕上げるため、サフを吹いた後に3Mのスポンジヤスリマイクロファインで仕上げました。いくら粒子が細かいガイアノーツのサーフェイサーとはいえ、通常塗料よりも粒子は粗めです。このまま上塗りをすると、サフのデコボコがそのまま出てしまうので細かい目のヤスリでサフの表面を均しておきます。上塗りをしてから研ぎ出しをするという手法もありますが、塗膜が丈夫なサフの方を均した方が効率がよろしいんですな。
 これが済んだらいよいよ本塗装。

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 今回はグロス仕上げのため、いつもの溶剤ではなくブラシマスターを使います。この溶剤はあらかじめ塗料の乾きを遅くするリターダーが含まれていて、塗料の平滑性をより高めてくれ、均一で美しい塗膜を作ることができるため、グロス仕上げに威力を発揮します。また、乾きが若干遅くなるために、湿度の高い塗装環境でもカブリが起こりにくいという効果もあります。
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 まずは1回目の塗装。この塗料が乾ききる一歩手前で2回目を吹くと……、
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 こんな感じに仕上がります。フラットで仕上げるよりも若干厚塗り気味になるので、しっかり乾燥時間をとって、お次はトップコート。
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 ありゃ、脚の方が若干ピンボケだ。でもまあ、こんな感じに仕上がりました。トップコートにはEx-クリアーを使用。塗料が濃いと、この時点で梨目になってしまうので、いつもよりも薄めに希釈して2~3回吹き重ねると上手く仕上がります。
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 はい、これが仕上がり。なかなか理想的なグロス具合です。
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 仕上がったパーツは汚れが付かないようにタッパに保存します。この後も別の色の塗装が控えてますからね。万が一に備えます。

 さて、お次はグレー部分の塗装。
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 調色したのはこんな色。Ex-ホワイトをベースにEx-ブラック、極少量のナチュラルブラウンを使いました。説明書の塗装指定では複数のグレーが指定されているんですが、今回はちょっと変わった手法で色の異なりを再現してみたいと思います。
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 ということで、指定は無視してグレーっぽい部分は全部この色で塗っちゃいます。
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 ちょっと白っぽく写っちゃってるケド、アップで見るとこんな感じ。この上にある塗料を塗り重ねて色と質感の違いを再現したいと思います。

 その塗り重ねる塗料はコチラ。
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 雲母堂本舗のビスマスパール。雲母堂本舗のパール素材は通常パール単体で販売されていて、クリアー塗料などに混ぜて使用するんですが、このビスマスパールは販売されている状態のままエアブラシで吹けるというもの。一般的なホワイトのパール仕上げに最適なパール塗料です。今回はこれに、さらにクリアーを足して「パール分が薄いパール塗料」を作り、それを重ねて塗ることで色調と質感の仕上げを変えてみようという挑戦です。
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 なんて、いくら理屈をこねてもしょうがない。百聞は一見にしかず、ということでビスマスパールとEx-クリアーを1:1で混ぜたものを1回吹き重ねた状態。パールの粒子が見えますね。感じとしては「なんとなくメタリック」な感じ。
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 こっちは上の写真と同じ塗料を2回吹き重ねた状態。よりメタリック感が強くなっているのがわかります。
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 センサー部分は4~5回ほど吹き重ねました。こうなるともう、殆んど白? という仕上がりになります。こんなふうに各パーツで吹き重ねる厚さを変えることで仕上がりが変えられるというのがパール塗装の面白いところでもあります。
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 パール仕上げのもうひとつの特徴は、メタリック系の塗料でありながらクリアーでコーティングできるということ。通常のメタリック塗料、例えばシルバーとかゴールドなんていうのは、クリアーを重ねると発色や輝きを損ねてしまいますが、パール塗料の場合、極小の影響でクリアーコートする事ができます。使うクリアーも特別なものではなく、普通のEx-クリアー。今回はグロス仕上げなので通常のクリアーを使っていますが、フラットクリアーでコートするとアルマイトみたいな質感に仕上がって面白い効果が得られたりします。
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 トップコートが乾いたらタミヤエナメルのフラットブラックでスミイレ。ざっと見て元が同じグレーだとは思えない仕上がり。パール素材は使い様、ということで余は満足じゃ(笑)。
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 アップで見るとこんな感じ。しっかり違う感じに仕上がってますね。
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 グレー部分のスミイレが乾くのを待つ間、ブルーのパーツにもスミイレ。グロス仕上げの場合、拭き取りがしやすいので残したいスミまで拭き取ってしまうことがよくあります。そんな時は濃い目のエナメル塗料を面相筆で塗っておくと上手くいきます。

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 さあ、スミイレの拭き取りが終わったらチャキチャキ組立。仕上がったパーツに傷が付かないように注意しながら組み立てていきます。
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 と思ったら忘れてたぁい! 搭乗ポッド上部、前後にあるオレンジのランプ。ここを塗り分けしなきゃならないんだった。うむ、普通に塗り分けてもいいんだけど、もっと面白い方法は無いものか……。
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 ということで登場するのがハセガワTFシート。ミラーフィニッシュの上にクリアーオレンジを重ね貼りしたものを用意しました。これを貼っちゃえば塗装しなくてもいいじゃないか。ただ問題なのは、その切り抜きサイズ。小さい方の円は1mm、大きい方は1.4mmほどに切り抜かなきゃいけない。
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 そんな時に活躍するのがポンチ。写真のものは先端が交換できるようになっている布や皮を加工するためのもの。これなら極小の円でも簡単に抜くことができます。
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 はい、こんな感じ。ちなみにシートに空いてるのは1mmの円。これ、デザインカッターで抜こうと思ったら一苦労ですからね。
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切り抜いたTFシートを貼り付けてみました。ちょっと曲がってるなぁ(笑)。でも後からでも貼り位置を調整できるのもこの手法の良いところ。
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 これだけでは若干寂しい感じがしたので、市販のUV硬化樹脂を使ってレンズを再現してみました。よーく見ないとわからないんですが若干盛り上がった感じになっています。このUV硬化樹脂、クリアーのゲルを盛り付けておいてUVライトを照射すると固まるというもので、今では色んな所で販売されています。検索すると沢山でてきますからね。気になる方は探してみてください。

 てな按配でタチコマちゃん、出来ちゃった。
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 最小の手間で作ったのにこの充実感。これはやっぱりキットの出来がいいからですな。
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 前後から見てもこの充実感。しかも小さくてカワイイ!!
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 登場ポッド内部もこの充実感。あ、いけねぇ、頭部の保護パッドが外れてらぁ。これは後で接着するとして、後は付属のフィギュアや天然オイルなどを塗装すれば完成?

 いやいやいや、それじゃあ淡白すぎるでしょ。そんなんじゃこの連載らしくない(笑)。
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 ということで、どーんと登場しました、あと2機分のキット。これ実はコトブキヤさんにお願いして、無理して用意していただいたもの。どうもありがとうございます。迷惑かけてスイマセン。
 次回からはこの2キットを使ってタチコマ・バリエーションを制作したいと思います。やっぱりタチコマは複数いないと盛り上がりませんからね。ワタクシ線香亭、静岡ホビーショーまで色んなものの制作ラッシュが続く中、果たしてどうなることやら、どうぞ期待してお待ち下さい(笑)。

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 てなところで今回はここまで。
 次回も、乞御期待!!

(C)士郎正宗・Production I.G/講談社・攻殻機動隊製作委員会

詳しくはコトブキヤホームページへ
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3 Responses to “コトブキヤ 1/35 タチコマWith草薙素子&バトー その3”

  • クマー:

    ご無沙汰しております。クマーです。
    今回の記事で
    「このビスマスパールは販売されている状態のままエアブラシで吹けるというもの」とあります。
    記事の画像の物は全体が白くパールが沈澱していないのでしっかり撹拌してある物かと思いますが
    雲母堂のビスマスパールは市販状態の沈澱分離時でクリアー分がかなり黄色がかっているものしか見たことがありません。
    そこで質問なのですが
    1:生産されたばかりの物のクリアーは黄色がかっていない
    2:クリアーは黄色がかっているが塗装には(ほぼ)影響しない
    3:黄色がかったクリアーは若干影響するが気にしない
    4:黄色がかったクリアーを捨て改めて無色クリアーを作っている
    のどれでしょうか?
    少々値の張る物のため(1が正解なら不良品かもしれない物を)購入して試すのもはばかられるので教えていただけると助かります。

    • 線香亭 無暗:

      クマーさん
      いつもご愛顧いただきありがとうございます。

      ご質問の件ですが、簡単にお答えすると「2」です。

      雲母堂本舗のビスマスパールに使われているのは、化粧などに使われることの多い「オキシ塩化ビスマス」というパール顔料ですが、この顔料の特性として若干の黄色成分を含むので、その影響があるのだと思います。他のパール塗料に使われる雲母チタンと比較しても、一際明るい塗面が出来上がるので非常に重宝しています。
      使用に際しては他のパール顔料と同様、よく攪拌して使用すれば、作例で使用しているように仕上がりが黄色くなることはありません。

      ご参考になりましたでしょうか?

      このコメントは、あくまでワタクシ線香亭が思うところですので、もしかしたら違う秘密があるかもしれません。
      今度雲母堂のご主人にお会いした時にでも聞いてみますね。

  • クマー:

    線香亭様

    クマーです。
    回答ありがとうございます!これで安心して購入することができます。

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