線香亭無暗のやたら模型制作室
 はい皆様、2週間のご無沙汰でした。
 先週は更新日の前に腹痛と眩暈でダウンいたしまして、これは今話題のノロか? ノロの呪いか?! なんて戦々恐々としていたんですが、どうやら違ったらしく、ちょっと休ませていただいて回復いたしました。先週の更新を楽しみにしていただいていた皆様、申し訳ありませんでした。今回は先週の休みの分も加えていつもより長くお送りしますんでね、どうぞご勘弁下さい。
 ということで今回はWAVE 1/24 レジンキャストキット「ラビドリードッグ」 その4 完成編。早速張り切ってまいりましょう!!

 前回までの制作では、足を残して上半身が組みあがった状態でした。
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 じゃあ今回は足の組立から。
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 ますは足のパーツ構成から。比較的シンプルで組み立てやすい構成となっております。
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 フトモモはこんな感じ。ケースのように本体とフタのようになっているところが面白いですね。組み立てるとほとんど見えない股間軸とのジョイントパーツにも、しっかりディテールが入っています。
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 組立の時の注意点はケースとフタとの接合面をしっかりとすり合わせておくこと。レジンパーツは歪んでいることも多いので、ちゃんと見極めておかないと接着後に隙間が空いたりします。歪みがひどい場合にはドライヤーなどでパーツを修正しておきます。
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 接着が済んだらパーツの接合部にスジボリします。いや、内側にも入ってるんでお揃いにということで。スジボリが若干ずれていますが、これは角の部分にスジボリをするのは非常に難しいため、わざと平面ギリギリの所にスジボリをしています。このあとでパーツの角の方を修正すれば左右同じように仕上がります。
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 膝部分はジョイントパーツで繋ぐようになっています。膝裏の装甲もこのパーツのミゾに差込むようになっています。
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 で、ちょっと問題なのが赤丸で囲った部分。最初から欠けてしまっていて修正が必要です。膝関節を曲げた時に目立ちそうなところですからね。
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 そこで、欠けた部分を大胆に切り取ってキットのランナーを切り出したものを瞬着でくっつけました。本当は同じ色のランナーを使うといいんですが、丁度いい大きさのものがなかったんで違う色のものを使いました。
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 ランナーを接着したらデザインナイフやニッパーなどで大まかな形に加工します。
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 大体の形になったら後はヤスリで修正。今回は塗装で仕上げるので色が違っていも問題はありません。レジンキットの制作はこんな作業があっちこっちで出てきます。色が違うとわかりやすいんじゃないかと思ってチョコッと紹介してみました。
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 続いては膝の関節パーツに付く膝裏アーマーの修正。
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 仮組みしてみたところ、関節パーツとのジョイント部の出っ張りが小さく、組みつけた後にポロリしてしまうので、1.5mmの真鍮線に差換えました。
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 組みつけて確認。これでポロリがなくなりました。見えている真鍮線の頭は、このあとで目隠しとディテールアップを兼ねてWAVEの角リベットを貼り付けます。

 続いてはスネ部分。
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 膝と足首のジョイントにポリキャップを挟み込んで左右から止めるスタンダードな構造。
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 整形時にちょっと戸惑ったのがヒザの上面部。パーツ整形の都合で大きなバリが残っているのでどこまでがパーツなのか判別が付きにくいんですね。ここは結局、スネ前面に付くパーツを仮止めしてみてバランスを見て整形しました。
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 ヒザ裏はいつもの如く合せ目消し。レジン、インジェクションを問わず、ドッグ系のATでは必ずといっていいほど合せ目が出てくる部分。しっかりと処理しておきましょう。
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 他のパーツも含めて表面処理をしたらスネ部分は終了。お次は足首。
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 はい、こんな感じのパーツ構成。足首の関節部分とその基部は接着が必要ですから予め接着整形しておきました。
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 もう一箇所、この段階で接着整形したのはサンドトリッパーの上部と履帯。本当なら塗装後に接着できると楽なんですが、上部の青いパーツが若干歪んでいて、きっちり正確に修正するよりも強引に接着整形してからマスキングで対応した方が楽だと判断しました。まあ、マスキングも直線ですからこの方が良いのではないかと。
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 サンドトリッパー後部のカバーパーツはこの段階では接着せず、塗装後に接着することにして、この段階ではスリ合わせをしっかりとやっておきます。
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 これで足首の加工も終了。これで本体部分の加工は大体終了です。

 さてお次は武器類。
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 まずはラビドリードッグの標準装備、ハンディ・ソリッドシューター。同色のパーツは整形・接着した状態です。ストライクドッグがバズーカのようなソリッドシューターを装備していたのに対して随分小型です。キットパーツはしっかり色分けされていて、塗装が楽チン。
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 チョコッと手を入れたのはグリップ部分の接続に真鍮線を通したことくらい。グリップはたぶんポロリしやすい部分だと思うので予め補強しておこうという魂胆です。
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 こっちはスペシャル版のキットに付属するベルゼルガDT用のライフル。劇中ではラビドリードッグを追うフィアナのベルゼルガDTからキリコが奪って使用します。こっちのライフルもグリップ部分は真鍮線で補強しておきました。
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 スペシャル版に付属する壊れた碗部もしっかり組立。ラビドリードッグ3回目の記事で紹介したエフェクトのかかったクローパーツも仕上げておきました。

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 さて、これでずべてのパーツの加工は終了。塗装に備えて全てのパーツを洗浄、乾燥させます。これが乾いたらいよいよ塗装開始。
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 ますはそれぞれのパーツに持ち手を付けてプライマーを吹きます。使用したのはガイアマルチプライマー。溶剤がプラスチック表面を浅く溶かして密着するプラキットと溶剤系塗料の場合と違い、レジンキットは、いかにしっかりとプライマーが乗っているかが丈夫な塗装膜を作る条件となります。ガイアマルチプライマーは乾燥してもちょっと表面がべたつくのが特徴。たまにこのべたつきが完全になくなるまで待ってる人がいますが、それだと本来の性能を発揮しません。ちょこっとベタつきが残っているうちに次の塗装に入るのが正しい使い方です。
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 ということでプライマーを塗って2時間くらい経ったところでサーフェイサー エヴォ ブラックを塗装。今回は全塗装で仕上げますんでこんな感じですが、成形色で仕上げる場合はここでフラットクリアーなどを塗装すればOK。これで塗装の下ごしらえは完了。

 じゃあいよいよ本格的に塗装。
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 まず引っ張り出してきたのはガイアノーツのレーサーブルー80’s。限定色なので今では手に入りにくいんですが中々良い青です。
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 これを本体のブルーの部分に何も考えずにベタ塗り。読者の皆さんの中には「あれ? ガイアのボトムズカラーじゃないの?!」なんて思うっている方もいるかもしれません。
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 はいはい、わかってますとも。ちゃんと使いますよガイアノーツのボトムズカラー。今回使うのはこの5色。それじゃあビンの中身を見てみましょうか。
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 まずは「ブルー」。ストライクドッグやスナッピングタートル、そしてもちろん今回のラビドリードッグにも対応するブルーです。ただこれ、イメージよりも大分空色っぽい。と・こ・ろ・が、です。このあと「なるほどぉ~」となる事態が起こるんですが、それはまた後ほど。
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 続いては「ペールグリーン」。極薄い黄緑色です。これはラビドリードッグの白く見える部分に使用する色とのことですが、こっちは若干色が濃いように思います。
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 お次は「パープルグレー」。ラビドリーに限らずスコープドッグの関節部やターレットなどに使われる色。だいぶん紫なんで「こんな色だっけ?」と思うんですが、実際の映像を確認してみるとちゃんとこれっぽい色になってるんですよね。
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 これは「フォグブルー」。ストライクドッグの武器、といったらソリッドシューターなんですが、設定画を見るとストライクのソリッドシューターは2色で塗り分けられているように見えます。ううむ、どういうこっちゃ? まあ、色的には最もスタンダードなグレー系統の色なんであちらこちらに流用されているようです。
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 最期は「ダークブルー」。スコープドッグ等の武器本体に使用されている色とのことなんですが、こちらもだいぶん紫色っぽい。ただ設定画で見るとこんな色なんですよね、たしかに。これ、たぶんツヴァークの本体の色と同じかな?

 というわけでこれまでの印象とは結構違うガイアノーツのボトムズカラー。この大きな要因は、このカラーシリーズが「画面で見た場合」や「模型の成形色」に合わせたものではなく、「セルに塗る絵具の色」を再現したものだから。

 お若い方はご存じないかもしれませんが、アニメ動画を制作する手順として、昔は透明なセルロイドに線画をトレス、裏から絵具で彩色し、それを撮影してフィルムにしていました。1990年代後半からはアニメの製作現場もデジタル化が進み、実際にセルに着彩することは少なくなってきましたが、現場ではいまだに「セル」なんて言い方をされていたりします。
 問題はこの製作工程で、「セルに裏から着彩する」というところと「着彩されたセルを撮影する」というところ。裏側からセルに塗られた絵具を表側から見た場合、セル自体の色にもよりますが(透明といっても実際には極僅かに色味があり、メーカーやロットの違いによってちょっとづつ色が異なっていたりします)、赤系や青系(いわゆる原色系の色)の絵具は若干彩度が高く見え、中間色では明度が高く見えます。そして撮影の時もセッティングや撮影師さんの特性、環境やフィルムの種類などにより色味に変化が生じます。一概には言えませんが、撮影されたセル画は元の色味よりほんの少し赤みが強くなり、赤はより赤く、青は濃く鮮やかになる印象があります。中間色は全体的に明度が高くなるのはセルに色を塗った時と同様です。その頃の色設定はそういった要素を考慮して決められているのが特徴です。
 そして、この「装甲騎兵ボトムズ」は歴とした80年代アニメ。デジタルなんて影も形もない頃の作品です。つまり、その頃の「絵具の色」を再現したガイアノーツのボトムズカラーシリーズは、作品中の「仕上がりの色」ではなく「仕上がりを考慮した元の色」になっているということなんですね。そう考えるとイメージと違っているのは当然です。

 こんなことを書くと「なんだよ、メンドクサイから仕上がりの色を出してくれよ!」なんてユーザーの方も多いのかもしれません。でも、ちょ~っと考えてみてください。せっかく苦労して塗装して完成したスコープドッグが、世の中にあるスコープドッグとみ~んな同じ色だったら、ちょっと寂しくありませんか? 自分で調色して仕上げた模型の「色」は、それこそ「オレのスコープドッグ」の証。といって、何も指標がないのも困っちゃうという方も多いでしょう。そういった意味でガイアノーツのボトムズカラーや、その後に発売されているダグラムカラーなどは非常にありがたい指標となっているんじゃないかと思います。実は「○○専用カラー」が大嫌いなワタクシ線香亭も、そういった意味でこのカラーシリーズは支持します。「ただこれを塗ればいい」のではなく「自分専用の『専用色』を作る元となる専用色」。面白いと思いませんか?

 つうか、いいのかオレ。○○専用カラー大嫌いとか言って。なんか、どっかから怒られそうな気がするけどホントのことだからしょうがないもんね(笑)。

 ということで、能書きはこれくらいにして塗装に戻りましょう。
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 そんなボトムズカラーから、最初に塗るのはフォグブルー。ここはあえて何も手を加えないで、そのままの塗料を使います。ミッションパックの爆雷投下ギミックのレール部分や腰のサイドアーマーに付くボックスなどはこの色で塗装します。ただし、下地に濃いブルーが塗ってあるので仕上がりの色味は若干異なります。これが模型塗装の妙で、塗料の色味自体を変えなくても下地や塗り方の工夫でいろんな色が再現できるんですね。特にグレイッシュな色味の場合、厳密な差が認識されにくい傾向がありますから、この色はこのまま使ってみようという実験的な要素でもあります。
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 ちなみにミッションパックのレール部分は黒いサフ→マスキング→グレー塗装→塗装した部分をマスキング、という手法をとっています。これはブルー部分とのさを明確に出したいがため。下地色の違いを最大限に利用する工夫です。まあ、出来上がっちゃうとあんまり見えなんですけどね。
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 もひとつ小技を投入したのが関節のメカ部分。ヒザや肩関節に加え、バイザー部分をEx-シルバーで塗装。
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 その上に塗るのはパープルグレーとEx-クリアーを足したもの。パープルグレー6に対してクリアー4くらいの割合で調合した、いうなればクリアーカラー気味のパープルグレー。
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 これを塗り重ねたのが上の写真。普通に考えるよりもずっとグレイッシュに仕上がっているのがおわかりいただけますでしょうか? 実は肉眼で見るともっとパープルグレーなんですが、写真に撮るとこんな色味に写るんです。これ、何かに似てませんか? そう、上に書いた「セル画を撮影した時の状況」と同じ事が起こっているんですね。実は今回の塗装のコンセプトはそのあたりにあります。
 この連載で皆さんにお届けするのは模型の写真。じゃあ仕上がりの写真から逆算して塗ればいい、ということになるんですが、それだと肉眼で見た時が違う色に見えて非常に寂しい。なんとかそのあたりのギャップを埋める方法はないものか? ということで下地色の発色を活かして上に塗り重ねる塗料の厚さで仕上がりを調節しようという魂胆です。模型に塗る塗料の厚みは数ミクロン。実はこれ、強い光が当たれば当たるほど下地の色味が影響して見た目の色が変わっていきます。フラッシュ撮影した時と自然光で撮影した模型の色味が違って見えるのはそのせいなんですね。じゃあ、そういう特性を利用して撮影した写真と肉眼で見た時の色味の調整ができないだろうか? という、読者の皆様には非常にわかりにくい努力をしてみました。
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 ということで下地の上に乗る塗料の厚さを微妙にコントロールしながら仕上げていきます。この作業に大活躍したのがアネスト岩田の新型カスタムマイクロン。
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 言わずと知れた世界最高級エアブラシCM-C Plus。ミストが細かく低圧でも安定した吹きつけが可能なカスタムマイクロンは微妙な吹付けの厚さのコントロールがしやすく、今回の仕上げに大活躍しました。定価で4万オーバーと、ちょっと手が出にくい価格ですがこれじゃないとできないテクニックがあるので手放せません。モデルチェンジしたCM-C Plusは改良部分が非常に有効に動作していて、さらに使いやすくなっています。このあたりいつか詳細に書いてみたいと思っていますので、興味のある方はお楽しみに。
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 さて、上塗りの塗装が終わったらバラバラに仕上げていたパーツ同士を組み立てます。上塗りのブルーはボトムズカラーのブルーそのまま。上塗りの厚さを調節して仕上がりの色を調整しています。せっかく仕上げた塗装に接着剤がはみ出さないよう慎重に。
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 この段階で追加加工したのが腰アーマーの取り付け部。アーマーのヒンジを1mm真鍮線で止める使用に改造したので、取り付けた後にWAVE 角リベットの1.2mmで目隠しします。リベットは接着した後に筆塗りでブルーを塗っておきました。この後はEx-フラットクリアーでトップコート。タミヤエナメルのロイヤルブルーとクリアーブルーを混ぜたもの(部分的にフラットブラック)でスミイレ、基本部分は完成です。

 で、またしてもちょこっと小技のご紹介。
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 キットに付属するクリアーカラー整形のレンズパーツですが、キットのままではフラットカラーになっています。これを何とかしようとひと手間加えたのが写真右側のレンズパーツ。こっち側だけクリアーに見えるのがわかっていただけますでしょうか?
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 これはキットパーツをWAVEのヤスリスティック フィニッシュで磨いたもの。これならレンズパーツの奥のディテールもよく見えます。
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 メインカメラもこんな按配になります。やっぱりこっちの方が見栄えがいいな。
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 ちょいとした追加加工でメインカメラをバイザーの取り付けた後に裏から1mmの穴を空け、市販の4mm金属リベットパーツを接着しました。これでカメラの可動を維持しながらポロリがなくなります。
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 金属パーツの使用ついでに左手のクローを展開して出てくる11mmマシンガンの銃身を市販パーツに差替え。ちょっとしたアクセントになります。
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 オプションパーツ類もしっかり仕上げ。さあ、全体を組み立てて見ましょう!
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 はい、いかがでしょう? プレーンに仕上がったラビドリードッグ。
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 前にこの連載で作ったストライクドッグと並べてみました。そうか、ストライクドッグの時は軽めにウェザリングしたんだったな。じゃあコイツにもやるか、ウェザリング。
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 ということでタミヤエナメルのサンドイエローをエアブラシで吹きつけて砂汚れ表現。劇中ではおニューで実戦投入されたものの、2500機を超える敵ATを掻い潜ってワイズマンの元にたどり着いたラビドリードッグですから、ストライクの時よりも若干派手目に汚します。
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 はい、汚れラビドッグの出来上がり。汚れは足元を中心に。今回はチッピングなどは行っていません。
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 オプションの手首や武器類などもしっかりウェザリング。意外とあるんですよ、全部終わったと思っててオプション類にウェザリングをしてないってことが(笑)。

 ということでWAVE 1/24 レジンキャストキット「ラビドリードッグ」完成です!
 完成写真と解説はギャラリーでお楽しみ下さい。
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 いやぁ、このラビドッグ、非常によくできたキットで、各部の補強やレジンキットに付き物の修正などを行っただけ。組立もストレス無く行えました。8色の多色整形ですから簡単組立で塗装しなくても満足いく仕上がりになるんじゃないかと思います。ただ、模型は塗装するともっと楽しい! 今回も塗装ですっかり楽しんじゃった。3月には同じくWAVEさんからプラキットの1/35ラビドリードッグが発売予定になっていますが、この1/24レジンキットシリーズも是非とも続けて欲しいなぁ、と切に願う次第であります。

 さて、それでは今回はここまで。次回は何を作ろうかな?
ってことで、お後がよろしいようで。

 

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