はい皆様、一週間のご無沙汰でした。
正月もすっかり終わって通常営業。なれど休暇気分はいまだに抜けず、四苦八苦して仕事に勤しんでる、なんて方も多いと思います。ワタシの場合、昨年末から四苦八苦し続けでそのまま新年を迎え、今に至っているので全く通常営業のままです。でもまあ、模型的にいうならばこの「四苦八苦」というのは結構重要で、苦労した部分が多いほど出来上がった時の満足感はひとしお。しかも苦労をした分だけノウハウが身に付きます。こんなこと書くと、「またジジイが説教臭いこと言ってヤガル」なんて言われそうですが、振り返ってみると、ひどい目にあって何とか模型を組上げた時の経験のほうが役に立っていたりするよなぁ、なんて考えたりして。まあ、何でも無駄なことはないんだなぁ、なんて思います。てなワケで今回も張り切って模型をつくりましょう!
今回はWAVE 1/24 レジンキャストキット「ラビドリードッグ」その2回目。早速張り切ってまいりましょう!!
さて、前回は頭部から上半身を組んだところで終わってました。
キットパーツに大きな手は加えず、基本的なパーツ整形と頭部アンテナを金属線に差換えた程度の工作。それでここまでできちゃう好キットです、ってところで終わってました。
今回はまず腰部の工作から。
これが腰まわりのパーツ。同じキットをお持ちの方はわかるかと思いますが、今回の作例は説明書の手順に沿って制作を進めています。パーツ構成としては至ってシンプル。ドッグ系ATの基本的なスタイルになっています。
それぞれのパーツはアンダーゲート化が進んで、より「パーツを切って組んだだけでイメージに近い仕上がり」になるよう考えられています。
それでも出てきちゃうのが、こういった注型用のガイド。これはもうレジンキットの宿命みたいなもんで、避けては通れません。この手のキットに不慣れな方は、こういったパーツ表面に影響する処理にドキドキしちゃうかもしれないので、こういった所を同処理しているのか、ちょっと解説しておきましょう。
まず最初はランナーからパーツを切放し、残ったゲートを大まかに短くしておきます。この時に、面倒だからパーツギリギリで切取ろうとすると事故の原因。急がば回れ戦法でいきましょう。
そうしたら、さらにパーツに近いところまでゲート跡を切取ります。この作業はデザインナイフを使ってもかまいませんし、よく切れるニッパーを使用してもかまいません。要はパーツの仕上がり面を傷つけることなくゲートが短く出きればOKということです。
続いては問題の表に出る部分の処理。この部分は幾分慎重に、パーツの仕上がり面を切取らないようゲート跡を切取ります。ちょびっとだけゲート後を残しておくのがポイント。
そうしたらあとはヤスリの出番。使うのは金ヤスリでもディスポーザブル・タイプのものでも、紙ヤスリでもかまいません。成形色を生かした仕上げにする場合は最終的に1000~1200番位まで磨いて仕上げ。塗装するなら600~1000番位で整えておけば良いと思います。
お次は股間部分の工作。
フンドシ部分と腰の水平板をT字に組み合わせるだけなんで楽勝、なんて思って、紙ヤスリで表面をざっと均していたら、やっかいなところを発見!
こんなトコロに注型ガイドがっ! 組んでしまえば見えないところなので、気にならない方はそのままでもいいんですが、気が付いたからにはしょうがない。ちゃんと処理しておきましょう。
まずはデザインナイフでトライ。っていっても刃物の形状的にちゃんと処理するのは不可能。デザインナイフでできるだけの処理をした、という状態です。
そこで投入した新兵器。WAVEの「HG細幅彫刻刀」の1mm。このシリーズ、1.0、1.6、2.0、2.4、3.0、3.5mmという細めの平刀の彫刻等。このクラスのサイズのものは意外とバリエーションが少なく、いざ探そうとすると大変だったのでWAVEさんが発売してくれて大変ありがたい。しかもサイズごとにカラーリングが違っていて、全部そろえると机の上がちょっとオシャレな感じにもなるというオマケつき(笑)。
で、この新兵器を使って問題の箇所をサクサクと削ります。切れ味は非常に良好。レジン相手ならスイスイ削れますし、PS樹脂も問題なくきれいに削れました。
はい削り終わったところ。このあと紙ヤスリでキレイに仕上げておきました。
各パーツの成形が終わったところで組立作業に移ります。
まずは大物、股間のフンドシの接着から。接着面の処理をきちんとしておけば問題なく組めますが、念のためスコヤを使用して直角に気をつけて接着しました。このパーツ同士は接着面が大きいので接着には瞬間接着剤を使用しています。
続いては腰の装甲の取付け。U字型のヒンジで止める、スタンダードな形式です。このU字型のようなパーツはメクレや歪みなどが起こりやすい形なので、しっかりと整形しておきましょう。
こちらはヒンジを止める方の様子。この溝にはめ込む形式となっています。
腰を回転させるとフロントの装甲の付け根も露出します。ううむ、ここに板が止まってるだけというのもチト寂しい気がする。ということで、チョイと手を加えることにしました。
まずはヒンジパーツにアタリをとります。
続いてアタリに沿って1mmピンバイスで下のパーツまで突き通しの穴を空け、1mm真鍮線を差し込みます。
差し込む真鍮線の長さは3mm。これでヒンジパーツを突き通して裏側までしっかり止めることができます。
はい、こんな感じ。ヒンジ部分の接着強度アップと仮組み時の取り外しができるようになりました。完成時には真鍮線の頭の目隠しも兼ねてボルトのディテールを貼り付けようという魂胆。ディテールと強度アップの一石二鳥工作。
同じ加工を5つのヒンジ全部に行いました。これでいつでも付け外しが自由。
各部の装甲を取り付けてみましたよ。両サイドのグレーのパーツは塗装後に接着する予定なのでマスキングテープで仮止め。今回のキットでは、色分けされているパーツはなるべく塗装後に接着する方針で行きたいと思います。
上半身とくっ付けたところ。ううむ、ここまで非常にシンプルにできてしまった……。なんか手抜きしているような心持(笑)。
さて続いてはミッションパック。
接着できるところは接着してしまった状態。グレーのパーツは色分けで整形されているものを瞬着の点付けで止めています。椅子の背もたれみたいなパーツは爆雷散布用のレール。
ここでも成形色色分けが炸裂。こういうダクト様の部分も塗装後に接着すればいいので、マスキングの手間が要りません。
爆雷散布の機構は、こんな構造で再現しています。グレーのレール状のパーツは組み込み時に若干がたつくような感じがしますが、これは組立後でも組み込めるようにという配慮。ちゃんと組んでしまえば問題なく動作します。
仮組みの状態。これが展開して、
爆雷散布、となるわけですね。
ちなみにキットの説明書では可動部の軸に3mmのポリランナーを使用するように指示されていますが、今回は3mmプラ棒を使っています。試してみたところ、この方がしっかりと可動するようなので。
これは可動軸の目隠しパーツ。写真右はキットのまま。左はディテールを入れたもの。丸いまんまじゃちと寂しいかな、ということで、先ほど登場したHG彫刻刀の1mmで掘り込みを入れてみました。
上面のパーツはチョイと修正が必要。左脇の下側(写真の右端の部分)に段が付いていて、ヤスるだけでは解消できそうもないのでパテを盛ることにしました。
はい、ポリパテモリモリ。レジンキットにポリパテを使う時にはパーツのエッジなどが剥がれ落ちやすいので、完全硬化後にエッジ部分に低粘度の瞬着を流し込んでから削ると比較的安全に作業することができます。ということでここは硬化待ち。
続いてはミッションパック底面のパーツ。薄い板状のパーツなんで、やっぱり歪みが出ちゃってます。こういった形状のレジンパーツは熱で平たく戻しても組んでいるうちにまた歪んじゃう、なんてことがよくあります。
そんな状況を簡単に改善するのは、やっぱり“補強”。写真は3mm三角プラ棒を接着した状態。これなら簡単にゆがみを修正するばかりでなく、接着時の強度アップにもなります。
上から見るとこんな感じ。組み上がってしまえば見えない位置になるので、この補強はオススメです。
さて、お次はミッションパックの取手。前回も書きましたがドッグ系ATが組み上がった後の破損率が最も高いのが腹の取手です。今回はそれがミッションパックにもあるので、ここも真鍮線で補強しておきます。
手法はいたってシンプル。まずはキットパーツのダボの中心にアタリをとっておき、そこに1mmピンバイスで穴空けておきます。
穴が空いたら1mm真鍮線を差込んで接着。ミッションパック側にも1mm穴を空けておき、
そこに取手を止めれば完了。簡単に強度アップ、完成後の“ポッキリ”を最小限に止める小技です。
そんなこんなでミッションパックの仮組みも終了。じゃあここまでで出来てるところを組んでみましょうか。
はい、こんな感じ。なんだか本当にスムーズに作業が進みすぎて、申し訳ない感じ。いや、この連載ではワタシがいろんなことで四苦八苦する姿が“いいねっ!”っていう意見も多いもんで(笑)。このキットはそういうのが少ないんで、期待していただいている方、どうもすみません。
てなところで今回はここまで。次回は手足の工作に進みましょう。
それではそろそろこの辺で。
次回も、乞御期待!!
詳しくはWAVEホームページへ
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はじめまして。毎週ここで勉強させていただいておりますクマーと申します。
次回はいよいよ手足に入るとのことで質問なのですが、
以前ストライクドッグを作られた時肩などねじれの力がかかるパーツにはセメダインスーパーXを使用、とありましたので私も試してみた所、粘度が高く硬化後はゴムの様な弾力のある接着剤という特性がわかりました。
しかしねじれ強度のある半面上記特性のため薄塗りがしづらく、また少しでも多いといわゆる「ムニュ接着」の様に合わせ目からはみ出し、それを削り落としてもその弾力のために合わせ目の処理に難義しストライクドッグの肩の様に綺麗にはいきません。
ちゃんと接着面のすり合わせをし、出来る限り薄塗りをして硬化までクランプする…の他にコツがあれば、またそれでも合わせ目表面にスーパーXが残った場合は少し掘りこみパテ等で処理しているのか、など経験を御教授いただけると幸いです。
クマーさん
投稿ありがとうございます。
ご質問の件ですが、スーパーXを使用する際に、ご質問のような特別な作業は特にしていません。
ただできるだけ薄く塗り、パーツを張り合わせる際にはできるだけ隙間が無いよう圧着しています。
接着剤がはみ出した際には硬化前にエナメル用の溶剤などで拭き取ります。
パーツのすり合わせの時に表に出ない側に向かって、ほんの気持ちだけテーパーを付けるなどすると上手くいくかもしれません。
あんまり答えになってませんが色々と試してみてください。