線香亭無暗のやたら模型制作室
 はい皆様、1週間のご無沙汰でした。
 いやぁ、ラッシュですよ、ラッシュ。なにがラッシュかというと模型制作ラッシュ。今月に入ってすでに8キット、このあいだ完成したスコープドッグを含めると9キットの完成に加え、まだ3キットがスタンバっております。こんな事はこの連載で1/60ガンキャノンをつくりながらヤマトのメカコレ30個作ってたとき以来かもしれない。まあ、これだけラッシュになってくると「もう何でも来やがれっ!」って心持になって、だんだん楽しくなってきちゃいます。こういうのをモデラーズ・ハイって言うんでしょうね(笑)。まあ、ワタシばっかりじゃなく、業界周辺では同じように忙しく過ごしてらっしゃる方々の悲鳴が聞こえてくる昨今。せめてこの連載で取り上げる模型はのびのびと作りましょう。ってことで今回も張り切ってまいりましょう!

 さて、今回からは新ネタ。お題のキットはこれだ!
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 はい、ハセガワ1/32「川西 N1K2-J 局地戦闘機 紫電改」です。
 このキット今年の10月24日に発売されたニューキット。今回もハセガワさんにキットをご提供いただきました。いつもありがとうございます。

 さて、この紫電改。日本帝国海軍が終戦間際の1945年1月に実戦投入した局地戦闘機です。設計は川西航空機。元々は水上機を得意とするメーカーでしたが戦局の変化に伴って本格的な陸上機の開発に着手。水上戦闘機「強風」の設計思想を色濃く受け継いだ紫電が完成します。零式艦上戦闘機の後継機不足が深刻だった日本海軍は「紫電一一型」として採用しますが、発動機の不調や強風以来の自動空戦フラップの不調、主脚の動作不良や視界不良など、決して完成された形態ではなかったため芳しい評判は得られませんでした。
 紫電一一型は川西航空機にとっても満足のいく航空機ではなかったため、紫電の試作機試験飛行の5日後から大幅な改良を加えた機体の開発に着手。主翼を低翼化して機体を延長、部品数も紫電の2/3に抑えて生産性の向上を図る工夫がされました。武装も紫電が20mm機銃4丁を翼下のガンポッドに収納していたのに対し、同様の武装を翼内に収め、より洗練された空力を実現。自動空戦フラップもブラッシュアップしてより確実な動作を実現しました。零戦の弱点でもあった防弾装備は機内の燃料タンク全てに防弾装備と自動消火装置を取り付け、実戦配備となりました。性能的には大馬力の「誉」エンジンと零戦と比べて大幅に強化された機体強度により速度、急降下性能が大幅に向上しており、自動空戦フラップによる高い空戦性能を踏まえて高い実戦性能を発揮しました。

 運用面で見れば、やはり第二期「第343海軍航空隊」、通称「剣部隊」の活躍は欠かせないトピックです。
軍令部作戦課航空部員 源田 実大佐の着想によって創設、終戦間際に優秀な搭乗員を集めた部隊に最新鋭機紫電改が集中配備されました。練習用の燃料にさえ事欠く状況の中、航空管制と新たな航空戦略に基づく戦闘で終戦まで本土防衛に活躍しました。

 そしてこのハセガワの1/32紫電改。最新考証に基づき完全新金型で初期型の「N1K2-J」を再現。同シリーズの雷電や1/450の戦艦大和などと同様に、サポートリブを組み込むことで強度と組み立てやすさを両立させるという構造になっています。加えてパイロットフィギュアは竹 一郎氏の原型による存在感抜群のものが付属するというウレシイ内容。さて、これは楽しみだぞ。

 ということで、早速ランナーチェック!
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 まずはAランナー。機体と水平尾翼、フラップなどの枠です。
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 Bランナーは主翼。写真でみるとわかりにくいけど、でかいんだ、これが。
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 CとJ、Gランナーはくっ付いた状態で入っています。コクピット周りのパーツにカウルフラップなどですね。
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 Sランナーは各部に使用するリブや増層、パイロットフィギュアなど。
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 フィギュアは竹 一郎氏の原型による雰囲気満点のものが付属しています。フィギュア頭部も2種類が付属。
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 Nランナーと同じようにL、N、Qランナーはくっ付いたままで入ってます。エンジン回りや主脚のリンク、シート、プロペラなんかも見えますね。
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 こういう場合はあらかじめ枠ごとに切り離しておくと混乱が少なく、なおかつ作業スペースが小さくできてよろしいかと。
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 で、ちょっと注意点。Lランナーは2枚入っているんですが、1枚は他のランナーとくっ付いていますからね。実はワタシも「Lランナーが1枚無い!」って探しちゃったもんで(笑)。
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 これがLランナー単体。複数必要なパーツは同じものを2枚という構成ですね。
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 垂直尾翼はEランナー。ココが別パーツになっているということは後期型発売への伏線、というか対応を考えてのことだと思われます。紫電改の後期型はこのキットの前期型に比べて垂直尾翼が小さく、水平尾翼の位置が下になっているのが特徴ですから。
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 Tランナーはエンジンカウル。スライド金型を使った一体成形になっています。
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 透明パーツのRランナーとポリキャップ。ポリキャップはプロペラの固定に使います。
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 零戦なんかと比べてシンプルな構造のキャノピーも微妙な曲線をしっかりと再現。大きいだけあって塗分けはすいぶん楽そうです。
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 デカールはB5サイズほどの大きさがあります。
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 用意された機番は「343-15」第343海軍航空隊 戦闘代301飛行隊隊長 菅野 直大尉と、「343-03」第343海軍航空隊 戦闘代701飛行隊 大原広司飛曹長の2種。
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 メーターパネル用にはパネル全体に使用できるものと、メーター部に使用できるもの2種が用意されています。
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 大スケールならではなのがパイロット用のデカールが用意されているところ。小さいスケールでは省略されがちな部分です。
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 そして個人的に注目したのが「踏ムナ」の注意書き。零戦の初期には「ノルナ」「オスナ」であったものが、後に「踏ムナ」に統一、この頃になると漢字込みの表記になってるんですね。
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 そして後は大判の組立説明書。中綴じのものが付属します。これもまた大スケールならでは。

 という感じでキット紹介は終了。印象としてはハイディテールながら大分パーツ数を抑えた設計になっているという印象。そして、やっぱりデカイ!
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 これは以前制作した1/48の零戦21型と主翼パーツの比較。
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 エンジンカウルなんかものすごく大きく感じます。そしてこの後、組立ながらさらに大きさを実感することになるんですけどね(笑)。

 では早速制作に入りましょう。
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 説明書どおりの手順で最初に手を付けるのはフィギュア。1/32らしく細かくパーツ分けされています。
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 先にも書いたように頭部は2種類が付属します。写真左は301隊の菅野大尉、右は701隊の杉田庄一少尉といったイメージでしょうか?
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 組立はいたってシンプルなんですが、ちょっと注意点。フィギュアとはいえパーツ同士のすり合わせはしっかりやっておいたほうが良いでしょう。特に写真の上半身はピタッと合うように調整しておかないと、肩口に隙間ができてしまいます。
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 各パーツを接着成型したらフィギュアは出来上がり。今回は343-15の機番を作ろうと思うのでヘッドは耳当てを下ろした状態のものを使用することにしました。

 続いてはコクピットの組立。
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 普段作り慣れている1/72や1/48だと接着前に塗装を終えておくんですが、今回はとりあえずそのまま組んでみました。これはこのキットがある程度なら接着剤を使わずに仮組みができるのと、接着してしまってもこの大きさなら後から塗分けができるだろうと判断したため。組立自体は非常にスムーズ。スナップフィットのキットなどと比較すれればある手度スリ合わせや調整が必要な箇所もありますが、それさえできればなんの問題もなく組み上がります。
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 面白いのは1/32という大スケールならではの再現性。写真のようにシートの上のクッション部分なども別パーツで再現されています。他にも普段のスケールならディテールとして一体化されている部分も別パーツになってます。「ああ、そうか、これはこういうパーツだったんだな」なんてあらためて気付いたりして、非常に楽しいんですね。「普段は1/72しか作らない」なんて方もたまには大スケールを作ってみると新たな発見があるかもしれません。
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 フィギュアを乗せてみましたよ。先にフィギュアを組んじゃってたのでちょっと心配でしたが操縦棹もしっかり握ってくれて良かった。
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 両側のパネルを付けてみるとコクピット内は非常に手狭な事がわかります。このミチミチ感がいいんだよなぁ。ちなみにフロントやサイドパネルなどは組みつけただけで接着はしていません。それでも組めちゃうのがこのキットの良いところですな。これでコクピット周りは仮組み終了。

 コクピットが済んだら次は機体の仮組み。
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 特徴的なのは写真下に写っている3枚のリブ。
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 機体の組み立て時にこのリブを挟み込むことによって強度と組み立てやすさを両立させるという仕組みです。各パーツにアルファベットが振ってあるのも親切設計ですな。
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 こんなふうに機首側からB、C、Dと挟み込んでいけばOK。ただし切りっぱなしで組み立てると機体上面後部に若干隙間が開いてしまったので、スリ合わせをしてから組み立てました。
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 これが組み立てた状態。このキット胴体を組んでからコクピットが組み込める設計になっています。とりあえずと思ってハメてみたら何もせずにピッタリ。これも親切設計です。

 さて、機体の組み立ての際にちょっと面倒なのが「ディテールを削ってパネルラインを追加する」という作業。
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 この写真の赤で囲った部分のパネルは後期型に見られるもの。前期型を再現するには削り取るよう説明書にも指示されています。
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 キットのディテールを詳しく見ると、いかにも後付的な凸ディテール再現されています。これを削り取ればいいわけですね。
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 手法としてはヤスリでゴシゴシと削り取るという方法をとります。機体の曲面に合わせて、余計に削り過ぎないよう注意して作業します。この時に削り取る周辺のパネルラインを掘りなおしておくとヤスリガケでなくなっちゃって面倒くさい、なんてことがありません。
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 さて、削り取り終了。次は無くなったパネル部分にスジボリをします。
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 ハイ終了。直線なので定規を当てて彫りました。機体部分のスジボリは0.2mm位なのでサイズの明確な工具を使う方はご参考に。ワタシはニードルで彫っちゃいましたけど。

 さて、次は主翼。でかいんだまた、これが(笑)。
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 ね、デカイでしょ(笑)。ちなみに下になっている説明書がA4。それが見開きになっているのでA3サイズの上に置いてみてこの大きさ。
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 ここでも注目はリブパーツ。上手いなぁと思うのはリブパーツの一部がタイヤハウスの内壁を兼ねていて、ディテールが施されていること。効率的ですね。ちなみにこのリブパーツにはAがナンバリングされています。さっき胴体に使ったリブがB、C、DだったのはこれがAだったからなんですね。
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 続いてはフラップの組立。紫電改の大きな特徴である自動空戦フラップは空気抵抗と水銀筒を利用した機構で翼面荷重が欲しい時に自動的に展開するという装置。現在の旅客機等でも離陸時に主翼のフラップを大きく開いて離陸したりします。当時、これを自動的に行うという発想自体が素晴らしいと思いません? キットのパーツはフラップ部分は上下貼り合わせ、可動アームは別パーツとなります。このあたりは接着しないでおくほうが塗装が楽そうなので接着せずに組み付けの確認だけしておきます。
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 機体と主翼の組み付けにもリブが大活躍。写真のように櫛歯になった部分を組み合わせるとピッタリと頑丈に組みあがるという仕掛けです。
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 お次は尾翼付近の組立。ここでもリブが活躍します。
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 垂直尾翼内部にリブを挟み込むことで安定した組立を実現しています。こういう平たい部分の貼り合わせって、意外とズレやすいんですよね。
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 水平尾翼の取付けにも挟み込んだリブが一役買っています。センターにまで差込が届くのでしっかりとした組み上がりとなっています。
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 さぁて、尾翼もくっ付いた。
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 あとはエンジンカウルを付ければ紫電改の大まかなフォルムが確認できます。組み付けもピタリと決まって、ううん、キモチイイ。
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 サイドから見ると紫電改らしい頑丈なフォルム。この形が紫電改の大きな魅力のひとつ。
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 それからやはり迫力なのはその大きさ。やっぱりインパクトあるなぁ。

 てなところで今回はそろそろ終了。今回は全体のフォルムが確認できるまで作業してみました。次あたりから塗ったり組み立てたり、といった作業になるかな?

 ということで、次回も乞御期待!!

詳しくはハセガワホームページへ
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