はい皆様、1週間のご無沙汰でした。
いきなりですが、今回はまず最初に謝っときます。すいません、今回「ISS仕様ターボカスタム」完成しませんでした~! いやぁ、なんだかいろんな所に懲りすぎちゃってとてもじゃないけど完成しなかった。ただそれだけじゃなくて、ディテールや形状、イメージの確認のために「装甲騎兵ボトムズ ペールゼンファイルズ」の映像を見ちゃうのがまたいけない。もう通しで50回以上観てるのに観始めると止まらなくなっちゃうんですよね。おかげで制作時間が余計に圧迫されるという悪循環(笑)。しかも11月1日からバンダイチャンネルの月額見放題にペールゼンファイルズがラインナップされるというウレシイ情報も! まだ観たことのない方はチャンスです。今回制作のISS仕様のターボカスタムが出てきますからね。こりゃあ気をつけないといつまでたっても完成しないぞ!
てなワケで『WAVE 1/24 ボトムズプラキットで「ISS仕様ターボカスタム」を作る』その6回目。張り切ってまいりましょう!!
前回は全体の調整が終わってミッションパックもほぼ出来上がった状態でした。
「もうここまで来れば完成はすぐじゃない?」なんて思ってたワタシが甘かった(笑)。そんなに何をやっていたのかという事の顛末は今回の記事で語ってまいりましょう。
ではまず前回載せられなかった改装箇所の説明から。
これは脚部に収まるブースター&ローラー。普段はスネの中に納まっていてローラーダッシュの時に展開するターボカスタムの“ターボ部分”。キットのままだとセンターに合せ目が来てしまうので板ごと切り取ってプラバンに差替え。接着してから合せ目を消すよりシンプルに処理でき、塗装後に組み立てることも可能、という改造。
ついでにブースターのスラスラーの根元に2mmの穴を開けて2mmプラ棒を差し込みました。ここ、キットのままだと面で接着するだけなので強度的に少々不安。こうしてプラ棒で止めるようにすれば強度的にもバッチリです。
こんな感じに止まります。スラスターのフチはウスウス攻撃。
さて、ここからが長かった。
前回記事の最後にチョコッと書いた手首の新造。この手首ですが、劇中に登場するものはこれまでのものとはイメージが異なります。設定画で見るとこれまでのスコープドッグの手首に近い形状なんですが、どうも本編に登場するCGのスコープドッグのものとは感じが違う。そこで今回はこの劇中登場バージョンを再現してみよう、と思ったまではよかったんですが、これが一筋縄じゃいかなかった。
まずいけなかったのが「どうせなら指も稼動させちゃおうかな」なんて軽い気持ちで考えたこと。ちょうどいいバランスでなおかつ上手く可動させるのに何回も試作を繰り返す始末。こりゃあイカンということで図面を引くことにしました。
はい、これが設計図。数字はミリです。1mmプラバンの3枚重ねを基本に0.5mmプラバンでディテールを加えます。
では設計図にあわせてプラバンを切り出し。8×3mmのものを15枚、6×3mmのものを10枚で片手の関節部1個分です。
組上げた指を並べて動作確認。可動部には1mm真鍮線を使っています。うむ、ちゃんと握れるな。
続いては手の平部分の組立。瞬着で仮止めした1mmプラバン4枚をサイド面の形に切り出しました。
これをまた4枚に分けると手首2つ分のサイド面が出来上がり。
このパーツに指を取り付けると、おお、手首に見えてきたぞ! ただ困っちゃったのが親指をどうやって付けるか。親指って1軸じゃない可動をするんでここはボールジョイントで止めたいところです。ところが手元にちょうどいいサイズのボールジョイントがない。
無ければ作っちゃおうということでリューターに3mm丸棒を取り付けて旋盤加工。なんだかコケシみたいですけどね。
このパーツのセンターに1mm穴を開けて真鍮線を差込み、ボールジョイントの軸にします。
はい、こんな感じ。ボールの受けには3mm角棒と0.5mmプラバンを加工して作ったパーツを使います。
はい、こんな感じに出来上がり。しっかり可動します。
この親指をサイド面のパーツに切り欠きを入れて接着。
おお、ちゃんと手首。
ここまでできたら手首の上下面のプラバンを貼り付け。指の上面と側面には0.5mmプラバンを貼り付けて形状を再現。手の甲は若干盛り上がっているようなのでポリパテを盛り付けて再現します。
続いては手首のジョイントパーツ。8mmと5mmプラパイプにキットに付属している旧タカラ版の手首ジョイントパーツを使用して作りました。上面が丸いのは1mmプラバンを2枚貼り付けて削り出したもの。突き通しで1.5mmの穴をあけてあります。
出来上がった手首パーツにリュータで穴を空け、そこにジョイントパーツを差込み、1.5mmの真鍮線で止めます。これで手首の上下可動も可能。
ここで1回取り付けてみましたよ。おおう、なんか良い感じじゃないか?!
おっと忘れてた、指の根元に付くディテール。3mmの三角プラ棒を削り出して作ったものを貼り付け。
これが可動の状態。グーチョキパーはもちろん劇中でも見ることのできる1本指差しも再現できます。
さて、ここでちょっとご意見をいただいたので、お答えしておこうと思います。
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前回、ミッションパックの制作でプラバンの箱組み主体で作ったと書いたところ、箱組みの仕方を詳しく説明して欲しいというリクエストをいただきました。リクエストがあればお答えするのがこの連載の良いところ。いつもワタシがやっている箱組みの仕方をご紹介しましょう。
まず用意するのはプラバン。今回は1mmのものを用意しました。それから定規とカッター。定規は金属製のものを使っています。
そして重要なのがこの工具。スコヤといって昔からある直角を出すための工具です。正確な箱組みには、この「直角」がとても重要なんですね。
使い方は至ってシンプル。スコヤをプラバンにあて、ガイド線を引いてその通りに切断するだけ。切断にはよく切れる刃物を使うのがポイントです。
こういう作業に便利な道具をもうひとつ紹介しておきましょう。これはプロトラクターといって欲しい角度に設定したラインが取れるというもの。写真はWAVEから発売されているものです。これだと頭の部分が薄いのでプラバンに当てたままカッターが使えます。
この工具でもうひとつ便利なのは縦の定規面からの目盛りが付いているところ。いちいち寸法を取らなくてもこの目盛りに合わせれば欲しい幅で切り出せます。
じゃあ、このプロトラクターを使って実際に箱組みをしてみましょう。まずはプラバンを12mm幅と30mm幅に切り出します。
長さの切断にもプロトラクターの目盛りが活躍。30mm幅のプラバンを20mmに切り出しました。
こんな感じで30×20mmの上下になる2枚と12×30mm2枚、12×18mm1枚の側面用の素材を作ります。側面の板が3枚しかない理由はのちほど。
次に用意するのは三角や四角のプラ棒。写真のものは3mm角のものです。これをさっきのプラバンより少し短めに切り出しておきます。
これを接合部に接着して箱組みの強度を確保しようというわけです。これが無いと接着面が1mmしか取れませんからね。接着には瞬着じゃなく通常のプラ用接着剤が適しています。
プラ用の接着剤を使うのはこんなふうに接着するから。まず最初に補強材が少しはみ出すように付けておいて、スコヤを当てて面位置を出すんですね。こうするとキレイに直角を出すことができます。
はい、こんな感じ。これがズレていると補強材の役目を果たしません。
後はここに多面の板を接着していくだけ。板の接着もスコヤを当てて直角を確かめながら行います。
こんなふうにどんどん組み立てていって出来上がり! と思ったら一部にスキマができちゃいました。これは切断が直線でなかったためにおきたと思われます。普通なら「なんだよもう~」なんていいながら一旦板を剥がして新たな板を貼り付けるところですが、こんな方法でも解決できます。
できてしまったスキマにプラバンの切れ端を切り出したものを挟み込み、流し込み用の接着剤で止めたところ。
接着剤が乾いたらヤスリで面を整えればスキマがなくなります。これ、意外と簡単な方法。こういうところで時間を短縮してます、というネタバレ的な小技(笑)。
さて、残ったサイドの1面はこんな方法で作ります。取り付ける面をヤスリで整えておいて大き目のプラバンを当てて接着。
あとはサイズに合わせてプラバンを切断、それぞれの面を整えれば30×20×14mmの直方体の出来上がり。プラバンを直線に切ることとそれぞれの面の直角に注意すれば意外と簡単に出来上がります。ただこれだけじゃ面白くないので、この直方体を面取りしてみましょう。
出来上がった直方体にスコヤを使ってガイドを書き入れます。こういう作業には当てた時の安定性が高いのでスコヤのほうが使いやすいんですね。直角面同士の位置決めが終わったらそれぞれの線の端を繋いで斜めのラインを書いておきます。
ここで登場するのが切れ味抜群のハイパーカットソー。写真は0.2mm厚で背金がないもの。こういう切断には背金が無いほうが使いやすいんですね。もちろん他の薄刃ノコギリも使えます。
先ほどの罫書きラインに合わせてサイド面から切り込みを入れていきます。ここでも垂直に刃を入れていくのが重要。ノコギリを使う方よりもパーツを押さえる手に力を込め、ノコギリの方はなるべく弱い力でスムーズに動かすのがラインどおりに切断するコツです。
はい、切断終了。なんとかラインどうりに切断できました。まあ、多少曲がってもヤスリ等で成型すれば問題はありません。
後は切断面にプラバンを貼り付けて成型すればいいんですが、ちょっと注意したいのが写真右のように角の部分をはみ出して接着するというところ。これ、サイズピッタリに切り出して取り付けるとスキマができちゃいますからね。
はみ出した部分をヤスリで成型して面取りも完成! こんな手法を組み合わせることで複雑な形状を再現する事が可能です。
こんな感じでいかがでしょう? お分かりいただけましたでしょうか。まあ、箱組みは直線と直角が命ということがご理解いただければよろしいかと。
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閑話休題。
さて、作例に戻りましょう。
ええ、じつは手首をこの状態にするのに3日ほどかかっちゃいまして、スケジュールは火の車状態。この後必死になって各部の面の仕上げや消えてしまったディテールの再現などを行いました。
そして、「よし、サフ吹きだ!!」となった時点で締切りまで残り6時間。ううむ、特急で塗って特急で撮影すれば何とか収まる。
でもねぇ……、
やっぱりここまで来たらがっちり仕上げたい。特にペールゼンファイルズに登場するATは塗装が大きな見せ場だと思うんで、もう1回延長して次回完成ということにしたいと思います。今回の完成を楽しみにしていただいていた方、申し訳ないっ!
ということで今回の成果。
何といっても今回の成果は手首。というか今回は手首しか作っていない! 訳じゃなく、各部の仕上げ作業が大変なんですってば(笑)。
こんな感じのシーン、見覚えあるでしょ?
全身はこんな感じに仕上がっております。あ、左手はまだ仕上がってないのでキットのままです。
そして現在は各部の傷などを修正しつつ、独特のテクスチャーが使用されている劇中の雰囲気をどう再現するかを思案中。
というわけで今回はここまで。次までには絶対完成させるぞ!
ということで、次回も乞御期待!!
(C)サンライズ
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