線香亭無暗のやたら模型制作室
 はい皆様、1週間のご無沙汰でした。
 いやぁ、どうしたことか最近身の回りのものがやけに壊れます。そうは言っても大きなものが壊れるというわけではなく、微妙なものが壊れるんですよね。例えば料理に使う皮むき、いわゆるピーラーというヤツ。よく考えてみたらもう10年も使っているプラスチック製の物なので壊れても不思議じゃありません。それからカードリーダー。これもどうにも調子が悪い。それから最も微妙なのがPCの光学ドライブ。ついこのあいだまでちゃんと動いていたのに、今は読み込みはできないのに書き込みはできるという変な状態となっております。これはあれだな、もういいかげんブルーレイドライブに変えろということだな。なんてちょっとワクワクしたりして(笑)。人間万事塞翁が馬的な心持になっております。
 さて、話変わって今回からは新ネタ。今回も張り切って模型をつくりましょう!

 さて、今回のお題はこれだ! と普段ならキットのパッケージアートが出てくるところなんですが、今回はそうはいかない。なんたって今回のお題は『WAVE 1/24 ボトムズプラキットで「ISS仕様ターボカスタム」を作る』。もちろんそんなインジェクションキットは発売されていません。あえてパッケージを撮ったならこんな感じ。
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 この写真の他にも3箱ばかりあるんですが、これ、WAVEさんのトランスキットやこの連載で装備だけ使って胴体だけ残ってるとか、そんなキットを集めたもの。このあいだちょっと整頓しようと思って中身を確かめてみたら、1機といわず2、3機作れそうな位のパーツが余ってました。そこで「これを使ってスコープドッグ作ろうかな」と考えたというわけです。

 実はいくつかメールでリクエストをいただいておりまして、例えば「レジンを使用したトランスキットは敷居が高いけれど、おなじプラキットを持っているので、その作例をやってくれないか」とか「線香亭なりのスコープドッグを作ってくれ」とかね。そんなリクエストにもお答えするのがこの連載の良いところ。
 それにあれですよ。とうとう発表になったWAVEの1/35ボトムズインジェクションキットの新シリーズ。今月の模型誌に第一報が載ってましたね。詳しくは10月12、13日に幕張メッセでおこなわれる第53回全日本模型ホビーショーの会場で、ということらしいんですが、どうやら完全新設計の様子。こりゃあもうテンション上がるじゃありませんか!
 そんなわけでニューキットリリース前の前哨戦、というか練習試合代りにやってみようかと。

 まあ、ただ作っても面白くないんで今回はOVA『ペールゼン・ファイルズ』に登場した「ISS仕様ターボカスタム」を作ってみたいと思います。もちろん気になる所はできるだけ手を入れて自分のイメージに近づける方向で行こうと思います。皆様の模型制作の参考になるのやらどうなのやら。まあ、しばらくは『WAVE 1/24 ボトムズプラキットで「ISS仕様ターボカスタム」を作る』でお付き合いのほどを。

 制作に当たってまず最初に引っ張り出してきたのがこのキット。
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 「WAVE 1/24 スコープドッグ ターボカスタム」です。OVA「野望のルーツ」に登場した仕様のターボカスタムをキット化したもの。これはこの連載で「WAVE「スコープドッグ・アップデートパーツセット」を作った時に装備だけ使われて胴体だけ残っていたもの。ISS仕仕様のターボカスタムはレッドショルダー装備の代わりに「ATU-MP-88」というマルチ運用が可能なタイプのミッションパックが付いています。これなら比較的簡単に再現できるんじゃないかと。それじゃあ早速制作に入りましょうか。
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 まずはWAVEの1/24スコタコキット定番の処理を始めにやっておきます。ワタシがWAVEのスコープドッグのキットを作る際に一番最初に手をつけるのが頭部や肩アーマーなどの張り合わせ部分の処理。このキット、スナップフィットではなく基本的に接着剤を使って組み立てるので、こういったところは最初に処理しておいた方が後々都合がいいんです。接着面には突き出しピンの痕などがみられるので、きっちりヤスリをかけて均しておくとキレイに接着することができます。
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 肩アーマーや肩口の関節部分なども同じように処理します。よく「張り合わせは合せ目の処理が大変で」なんて話を聞くことが多いんですが、よくよく聞いてみるとこういうスリ合わせをしないで接着している場合が多いようです。接着面に凸凹があると微妙な隙間ができて、いくらパテで埋めてもなかなか接着線が消えない、なんてことが起こりがちです。で、パーツの処理がすんだら通常のプラ用の接着剤で接着、成型します。
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 はい、これがおおよその成型が済んだ状態。合わせ目は金ヤスリやWAVEのヤスリスティックSOFTとHARD、スポンジヤスリなどを使って消し、ついでに肩アーマーのリベットのディテールなども削り取っています。この部分、リベットのディテールを残して成型しようとすると余計に手間がかかるので、一旦削り取ってしまってから再生したほうが簡単に仕上がるんです。

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 で、まあ、こんなことをやりながらこの後の手順を考えたりしています。接着剤が乾くまでの間は資料としてDVDを見たり、この後に手を付けるパーツを切り出したり。写真はコクピット部分のパーツを仮組みして頭を乗せてみたところ。手前に見えるのは碗部のパーツですね。で、資料のDVDを見てたらちょっと気になった所があったんで、前に作例で作ったスコープドッグを引っ張り出してきました。
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 はいこれ。これは同じくWAVEの1/24「スコープドッグ レッドショルダーカスタム」の回で作ったもの。武装などは外してあります。
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 3面で見るとこんな塩梅。この時は腕を短くした以外は足首に新たな関節を設けたくらいで、大幅な改修は行っていません。なんだか上半身、コクピットの横幅が広いような気がする。

 設定画で見るボトムズに登場するドッグ系ATのプロポーションは時代と共に変わってきていて、初代TV版では確かにこれくらいのボリュームがあるように見えます。その後のOVA「ザ・ラストレッドショルダー」のターボカスタムでは少し上下に潰れたような形状となり、鳩尾の出っ張りも小さくなったように見えます。その後の「野望のルーツ」では上半身がやや縦長となり、「赫奕たる異端」に登場したバーグラリードッグでは鳩尾の出っ張りに向かってコクピットハッチが大きくアール描く、最も縦長な上半身となっているように見えます。その後の「ペールゼン・ファイルズ」では作画がCGとなり、プロポーション的にもTV版に先祖帰りしたかのような印象を受けます。
 まあ、このあたりはワタシが設定画を見て考えた勝手な感想なんで、「違うんだよわかってねえなぁ」なんて方もいらっしゃるかもしれません。

 そんなことを踏まえて自分で作った作例を見てみると結構違います。コクピットの幅。
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 これは直近のボトムズ作例、WAVEの「スコープドッグ アップデートセット」を使った作例。上半身はレジン製の新造されたパーツなんですが、随分思い切ったシェイプがなされています。
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 ちなみにこちらは同じく作例で作ったストライクドッグバーグラリードッグ。それぞれにいろんな解釈でプロポーションが取られていることがわかって非常に面白い。こうしてみても上半身の横幅が最も広いのはプラキット、一番細いのはアップデートキットだということがわかります。
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 比べてみるとこんなふう。一目でわかりますね。
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 上から見るともっとよくわかる。

 こういったプロポーションに関して、よく「オレの思う○○はこうじゃない」的な意見を言ったりする人がいますが、個人的にはあながち好みだけでは語れない所があると感じています。例えばコクピット幅が一番狭いアップデートキットですが、確かにこうしてみると随分狭い。でもそのかわり、斜め前から見た時のボリュームのメリハリや、全体のシャープな印象などはこの作例の中でも断トツ。一方プラキットの方は設定画と見比べて「なるほどこうだよなぁ」という説得力に満ちています。

 こういった「印象の違い」に関しては、これらのメカの元がアニメーションであるということが重要なファクターじゃないかと思っています。よくよく画面を見ているとわかりますが、アニメに登場するメカは場面によって伸びたり縮んだり、あるは巨大化したり小さくなったりしています。じつはこれがアニメの最もアニメらしいところ。
 実写で映像を撮る場合は基本的に物の形は同じ。伸びたり縮んだりすることはありません。実写では迫力や臨場感、スペースの狭さや広さなどを表すためにレンズを換えて撮影したりします。例えば同じ部屋を撮影する場合でも標準と望遠では仕上がりの画角が変わり、望遠レンズで撮った方の画像の方が部屋が狭く見えます。同じ模型を撮影していても標準レンズよりもワイドレンズで撮った時のほうが往々にして物が大きく見えたりします。
 ところがアニメーションにはレンズによる画角の制限がありません。つまり理屈を超えた自由な表現ができる、印象を直接画で表すことができるんですね。したがって場面によってはメカのバランスや各部のサイズなんかが意図的に変えられていることが多々あります。得てしてそういったシーンは印象に残りやすいので、いわゆる設定画とは異なったバランスでイメージ付けられていることも多いんですね。つまり、「アニメメカのバランスに正解はない」というのが正解だと思っているんですが、いかがでしょう。
 あ、ちなみに余談ですが、実写物のSFや特撮などではあらかじめバランスを買えたプロップを制作することがあります。過剰にパースをつけた宇宙船を作ったりヒーローが持っている剣が普段より大分大きかったり。これはレンズの画角を越えたイメージを作るためにしている作業。昔の映像などではよく使われた手法なのでよく見てみると面白いかもしれません。

 さて、閑話休題。

 アニメメカのバランスに正解はないけれど、それでも気になるこんなところ。
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 それはプラキットのコクピットハッチのフチの太さ。これ、設定がどうこうじゃなく、機械としてこんなに幅はいらないような気がします。たぶんこの幅が上半身をより大きく見せちゃうんじゃないかと。まあ違う完成品見てアレコレ言っても始まらないので仮組み仮組み。
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 ハイ、ターボカスタムの大雑把な仮組みです。あれ? わりとカッコいいんじゃないか、これで。
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 そこで通常のスコープドッグと並べてみました。おう、ターボカスタムってノーマルのスコープドッグより大きいんだな。ということで調べてみたら40cmくらい大きい設定なんですね。結構違うな。
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 それだけじゃわからないということで、腕を付けてみました。
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 使ったのは「レッドショルダー カスタム」の腕。赤丸の付いたキットですね。ペールゼン・ファイルズに登場するスコープドッグの腕はこのデザインですからね。
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 うーん、こうしてみると上半身もあんまり気にならないような……。
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 で、違う角度から見てて気が付いちゃった。これ、先端にマスキングテープ張って仮止めしてるから終端が曖昧になって目がごまかされてるんだ! だって、この角度から見るとやっぱり幅がありすぎに見えるもんな。だまされるな俺の目!
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 後ろから見るともっとよくわかります。やっぱりコクピットの横幅は改修しよう。
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 腕の長さは改修するかしないか微妙なところ。ノーマルのスコープドッグなら迷わず短縮する所なんですが、ターボカスタムだと足が長くなったぶん、それなりに収まっちゃってるんですよね。まあいいや。後から考えよう。

 ということで今回はそろそろお仕舞い。
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 次回は上半身の加工を中心にお送りしようと思っています。はてさて、どんなスコープドッグが出来上がりますやら。

 それではそろそろこの辺で。
 次回も、乞御期待!!

(C)サンライズ


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