線香亭無暗のやたら模型制作室
 はい皆様、1週間のご無沙汰でした。
 最近、暑いのに加えてやけに微妙な仕事が重なっておりまして、どうにもスケジュールのやりくりがつきにくい線香亭です。ご存知の方はご存知なんですが、ワタクシモデラー業の他にもライターやらグラフィックやら音楽なんかも営業品目でして、現在の所、それぞれの業界からそれぞれのお仕事をちょっとずついただくという事態となっております。普段ならそういうことはほとんどないんですけれどね。なんだかそういうことになっちゃった。いくら器用といわれているワタクシでも1時間ごとに全然違うことをやっていると多少混乱が生じてまいります(笑)。そんな時には模型作りが一番。やっぱり一番集中しているのかもしれません。やっぱりボケ防止に有効だな、模型は。

 さて、今回はバンダイHGUC 1/144「MS-21C ドラッツェ」完成編。ボケる暇など己に与える間もなく張り切ってまいりましょう!!

 前回は脚部のスラスターを除いて、基本的な加工が終わった状態でした。
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 今回は残ったパーツの加工に加え、ディテールアップなんかもしながら塗装、フィニッシュまで持って行きましょう。

 じゃあまずは脚部スラスターの加工から。
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 まあ、加工といってもきっちり合せ目を消してスジボリを追加したくらい。パーツ自体が大きい上、平面の面積が広いのでなにか一味加えてやることで存在感がグッと引き立ちます。
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 もうひとつやっておいたのはスラスターの後端、左右のパーツに挟まれる噴射口のパーツの塗装とマスキング。このパーツ、接着してしまってからでは塗り分けるのに苦労しそうなので先にスラーブライトアイアンで塗っておいて、塗装面を残したい部分だけマスキングしてから組み付けました。こうしておけばこんな場所でも塗り分けすることができます。

 スラスターの次はバックパック左右に付くスタビライザー?をちょいとディテールアップ。
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 これも表面積が高めのパーツなのでヒケが残らないようにしっかりとヤスリガケした後、尻尾の部分の突起を切り取りました。
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 そして登場するのがウェーブの「C-LINE」0.5mmと「C-PIPE」No.1.これを使って切り取った突起を作り直そうと思います。
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 なんて書くと大層なことをやるみたいですが、必要な長さに切ったC-LINEとC-PIPEを差込んで接着するだけ。C-PIPEのNo.1は外径0.9mm、内径0.73mm。0.5mの真鍮線ではやや細めですが、このサイズで0.23mmの違いはほとんど気にならないのでこれで良しとします。
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 切り取った突起の後には0.5mmのピンバイスで穴を開けておき、
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 先に0.5mmの真鍮線を差込んで接着。その上からパイプを差込んで接着すれば、ホラこのとおり。ただの棒とはチョコッと違った突起物の完成です。それほど力がかかる場所でもないので、接着には瞬間接着剤を使っています。パーツ全体のバランスを考えて元の長さより少々長めにしておきました。

 さて、次はここに至るまで忘れていたシールドの取り付け基部。
 ドラッツェのキットに付属するシールドはヒジ部分に穴が空いていて、そこに取り付けるようになっていますが、今回はF2ザクの腕を使うため、そのままでは装着できません。
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 そこでチョイト頭を悩ませて用意したのがこんなパーツ。HiQパーツのネオジム磁石。平面形は2×1mm、暑さmmながら強力な保持力を発揮します、これを使ってシールドを脱着式にしてみましょう。
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 最初に行ったのはキットパーツのヒジ部分に磁石がはまる穴を空けること。開口はピンバイスとデザインナイフを使っています。ただそれだけじゃなくて、ヒジ部分の表面を0.3mmほど削っておきました。
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 磁石を取り付けるとこうなります。なるべくピッタリに収まるように穴を開けておいて、面位置に収めたら裏側から瞬着で接着。そして、その上から0.3mmプラバンを貼り、成形すれば見た目にも美しく仕上がります。ネオジム磁石は強力なので0.3mm位のプラバンを挟んでも強力に保持してくれます。

 じゃあ今度はシールドの取り付けパーツの方を加工しましょう。
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 これがキットのままのパーツ。ドラッツェの腕パーツはF2ザクのものより細いので、このままでは幅が狭くて使えません。そこでまず、写真の赤線の部分で切放します。
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 パーツを切放したらキットパーツに合わせて1mmと0.3mmのプラバンを切り出し、ヒジに穴を空けたのと同じ要領で磁石を埋め込みます。
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 あとはF2ザクのウでの幅に合わせて切放したキットパーツを接着、成形してシールドのジョイントパーツの完成。
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 こんな感じに仕上がりました。ヒジの方の仕上げもおわかりいただけるかな? 間に0.3mmプラバン2枚を挟んでいるわけですが、予想以上に“カチッ”とはまります。

 さてこれで残りのパーツの加工も済んだ。と思ったらまだ残ってましたよ。このパーツ。
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 はい、ガットリング・ガン。この装備はドラッツェ初登場となった『機動戦士ガンダム 0083』には登場していませんが、やっぱりあるものは作っておかないとねぇ。

 ということで早速作業開始。
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 まず行ったのはグリップ部分のアトハメ加工。写真の赤枠で囲んだ部分を切り取ると、銃身のパーツを接着してからでも取り付けることができます。銃身部分は左右合わせの分割となっているためこうしておいた方が作業が楽なんですね。
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 そんな作業の合間に手を付けたのがガトリング・ガンのスコープ部分。後端は本体のほうのディテールを利用し、目からはめ込むという、なかなか上手い作りになっています。じゃあそれを利用してディテールアップを図っちゃおう。
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 ということでスコープのレンズ部分に穴を空けました。一つ前の写真を見てもらうとおわかりいただけると思いますが、こうやって開口しても底面は本体のほうにあるんですね。あとは塗装後に市販のレンズパーツなどを取り付ければディテールアップ完了! となるわけです。
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 仮組みのドラッツェに持たせてみましたよ。ううむ、これはこれでなかなか格好いい。

 じゃあ、続いてのディテールアップ。
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 機体の各所に0.3mmプラバンで作ったディテールを貼り付けてみました。普段、こういったディテールアップはあまりやらないんですが、この機体の特徴は「ありのもののパーツを組み合わせて出来上がっている」というところ。そういう来歴をイメージさせるような「なんとなくちぐはぐな感じ」を演出してみようという魂胆です。あ、ちなみに写真左の胴体の両サイドですが、あえて外装パーツの表現は行わず「フレーム丸出し」的な表現をしてみました。これも“違和感”の演出。
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 なーんてことをやってたらバックパックにつけるアンテナのパーツがどっかへいっちゃった(泣)。作業の合間に掃除機をかけたのがいけなかったんだな。仕方がないので急遽作ったのが写真のパーツ。3mmプラ棒と真鍮線、真鍮パイプで制作しました。スタビライザーの尻尾と同じ手法ですね。全く予想外のディテールアップとなりました(笑)。

 さあ、ここまで来たらいよいよ塗装。の前にやっておかなきゃいけない事があったんだ。
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 それは今回自作した動力パイプの塗装準備。こういう持ち手がつけられないパーツの塗装って皆さん結構悩まれているようで、「パイプはどうやって塗ってるの?」なんて質問をいただいたので紹介しておきます。ワタシの場合、それなりの太さの針金に両面テープを貼り付けて、そこに止めるようにしています。まあ、針金じゃなくてもかまわないんですけどね。ちょうどいい棒状のものであれば何でもかまいません。

 さて、じゃあいよいよ塗装!
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 今回用意した最初の塗料はこの3色。写真左はガイアノーツのニュートラルグレーⅡに純色マゼンタとスカーレット、Ex-ホワイトを足した色。イメージはFSカラーの317番あたりのウォームグレーです。写真中央はニュートラルグレーⅢに純色シアン、Ex-ホワイトを足したもの。クールグレーですね。この2色のグレーを使って「完全にフレームや内装である部分」と「外力に対して加工された部分」の差を表してみようという魂胆です。で、写真右は本体色の下塗り用。ブルーイッシュブラックとウルトラブルー、Ex-ブラックを混色しています。イメージとしてはストライクガンダムの暗いブルーって感じかな?

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 というわけで早速塗装。それぞれのパーツに塗ってみましたよ。
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 まずはブルー。今回の下地は「なるべく発色を落とさず」ということを意識しました。その理由は後ほど詳しくご説明しましょう。
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 つづいてウォームグレーで塗った部分。「ここはフレームが出てますよ」という記号のように感じていただければ成功なんですが。
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 こちらはクールグレーで塗ったパーツ。ウォームグレーよりも硬質に見せることで、力のかかる場所やコーティングがされている雰囲気が表せればなぁ、と。

 そんじゃあお次は本体色の2色目。
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 はい、こんな色です。ベースにしたのはガイアノーツのウィリアムブルー14。これにEx-ホワイト、Ex-ブラックを足して明度と彩度を調整、さらにウルトラマリンブルーを足した色。「一見鮮やかに見えるけど、塗ってみるとそれほどでもない」というところを目指しました。写真では結構鮮やかな発色になってますが、下塗りの上に重ねるとちょうど良く発色が抑えられると思います。
 そんなふうに調色した理由は、「ドラッツェの色ってそんなに鮮やかじゃないほうがそれっぽくないか?」と考えたため。いろんな機体のパーツを再設計して作られたドラッツェですから、凄く鮮やかなブルーというのがどうしても似合うとは思えなかったんですね。きっと「美しい仕上がり」を目指したんじゃyなくて「とりあえずこの色で塗っとけ」みたいな感じゃないのかなぁ、なんて想像しまして。そんなふうに考えながら塗装するのも非常に楽しい作業なんですね。

 さて、それじゃあ本体2色目の塗装。
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 下地の色を残しながらのグラデーションをかけてみました。
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 アップでみるとこんな感じ。あんまり繊細にやりすぎると、逆にスケール感がなくなっちゃいますから、“それなりのグラデーション”に留めておくのがいいところ。発色は予想通り。イメージどおりに事が運ぶと大変気分がよろしい(笑)。1/144のガンプラなどでグラデーション塗装をするときには、やっぱりアネスト岩田のカスタムマイクロンが力を発揮します。
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 2色目の塗料が換装したら塗り分けの塗装。まずはマスキングです。脚部スラスターの中身はウォームホワイトで。肩口のスラスター・ポッドは一旦白で塗ってから赤く塗装します。ガトリング・ガンは金属部分をスターブライトアイアンで塗装した後にマスキング。この上から先ほど作ったクールグレーを重ねます。
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 でーきたー! ということで塗料が乾くのを待ってデカールを貼ってみました。
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 今回は「1/144というスケールも考えて若干控えめなデカール。じゃあ早速組み立ててみましょうか。
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 うん、できた。できたけどなんだか物足りない。スミイレやトップコートをしていないとはいえ、やっぱり物足りない……。

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 そこで一計を案じて作ったのがこんな色。ライトグリーンとダークグリーンを足して作った「オレ的ザクの胴体色」。普通にザクに塗るときよりも若干明るめにしてあります。これをどうするかというと……、
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 はい、写真赤丸の中のように胴体部分にチッピング塗装。「この機体の胴体は元々ザク用に用意されていたもので、ドラッツェに使用される際に上から青く塗りつぶされた」という設定。じゃあ他の部分とチッピングの色を変えたら「新品で使われたパーツ」と「流用されたパーツ」っていう表現ができるなぁ。ということで胴体以外はジャーマングレーでチッピングしました。こういう解釈も面白いでしょ。

 さて、ひととおり汚しを終えたら全体をEx-フラットクリアーでコーティング。ツヤを統一します。そしたらスミイレして完成!!

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 どうでしょう。イイ感じに仕上がってますでしょうか?
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 これはキット素組みの状態。見比べていただけると、ちょっとは努力が伝わるのでは? というさもしい根性(笑)。
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 背面はこんな感じで仕上がってます。
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 各部の黒い点々状の汚れはスポンジを使ったスタンピングによるものです。
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 そしてガトリング・ガンを構えた姿。こうして見るとビルダーズパーツの手首の効果は大きいですね。

 てな感じで後はギャラリーでお楽しみください。

 いやぁ、久々のガンプラ作例、中々楽しんで制作できました。HGシリーズってキットを組んだだけで「これで完璧!」っていうんじゃなくて、モデラーの趣味趣向を反映させやすいのが大きな魅力のひとつだと再認識しました。なんだか続けてHGシリーズ作りたくなってきた(笑)。だけど、次回の作例はもう決定しております。一部では「まだやらねえのか線香亭!」などとお叱りを受けたりしている例の模型、次回から作りますからね。期待してお待ちください。

 それでは今回はそろそろこの辺で。
 お後がよろしいようで。

(C)(C)創通・サンライズ


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