線香亭無暗のやたら模型制作室
 はい皆様、1週間のご無沙汰でした。
 世間では静岡ホビーショーも終り、各社力の入ったニューモデルに期待高まる今日この頃。驚きのニューアイテムやら待ち望んだ模型の初お目見えなど、またしても積みプラを増やしてしまいそうな雰囲気満々です。これだけ模型を作っていてまだ造りたいと思うんだから、モデラーの欲望は際限がないなぁ、なんて我ながら業の深さに気が付いたりして。まあ、まだまだ模型的には枯れていない自分を再確認した所でこの「やたら模型制作室」、あいも変わらず頑張って模型を作ります。

 さて、今回はファインモールド『1/35「ガールズ&パンツァー」アヒルさんチーム 八九式中戦車甲型』3回目にして完成編。はてさてどんな仕上がりになることやら。早速張り切ってまいりましょう!!

 さて、前回まででサフ吹きまでが終わった八九式。
b_041b_042
 ガイアノーツのサーフェイサー エヴォ オキサトレッドで塗ったら、なんだかレストア中の実車みたいな雰囲気で面白い。ということでこんなイタズラをしてみました。
c_006c_007
 サフを塗った上にチョコッとクリアーブラックでシャドウを吹いたもの。これだけでずいぶんと雰囲気が違う。より立体的に見えますね。なんてことをやってる場合じゃない! どんなフィニッシュにするか良く考えておかないと!!

 この八九式中戦車、「ガールズ&パンツァー」劇中での目立った活躍といって最初に思い出すのは黒森峰女学園との試合で見せた「対マウス戦略」。この八九式の特長を活かした、実に面白い演出がされていました。そして、もうひとつ思い出すのは対プラウダ高校戦でフラッグ車として登場したシーン。T-34/76や85といった高性能戦車の攻撃をかわしながら脱兎の如く(チーム名はアヒルさんだけどね)雪上を駆け回る姿に非常に感心した思いがあります。火力も非力、速力もあまりない八九式ですが、足場の悪い雪上では車重が軽い方が圧倒的に機動性に勝るんですね。車重はT-34のおよそ半分程度ですから、この八九式をフラッグ車に指定した(であろう)西住隊長殿の戦車道センスの高さが伺えます。ということで、今回のフィニッシュは「対プラウダ高校戦に登場したフラッグ車の八九式」で行こうと思います。

 そうなるとあれだ、フラッグ車のフラッグって、どこにどうやって付いてるんだ?? 生憎、手元の資料を見てもそんな情報は載ってない。じゃあ本編を見て確かめようと8話、9話を見直すこと約3回。ありましたよ。どうやってフラッグが付いているのかわかるカットが1カットだけ。どうやら前方斜めに付いている小さなハッチが開いていて、そこからアンテナの基部が出ている様子。
b_009c
 う……、じゃあこれ、ハッチを開口しなきゃいけないってことか……。
c_002
 まあ悩んでいてもしょうがないんで、開口するハッチ部分を潔く切り取ります。手法としてはピンバイスで穴を開けておいてデザインナイフで切り取るという感じ。この写真の後にヤスリで切り口を整えておきました。本当は最初に仕様を決めておいてサフ吹く前にやっておく作業なんですけどね(泣)。
c_001
 で、スクラッチしなきゃいけないのがアンテナの基部と切り取ってしまったハッチ。それぞれプラバンとプラ棒から作っています。ハッチの表側は取り付け後には見えなくなるので作っていません。裏側は手元の実車資料写真を参考にディテールを入れてあります。アンテナがハッチから出てるって事は車内にある何らかの機器と繋がってるんでしょうね。
c_003c_004
 出来上がったパーツを取り付けてみました。こんな感じでくっ付いてるんですよ、フラッグ。フラッグの付くシャフトは0.4mmのピアノ線、根元には0.1mmの金属線を巻きつけてスプリングを再現しました。
c_005
 さて、ここまでできたらいよいよ塗装だ。修正したハッチの部分にサフを吹き直しているのが涙ぐましいでしょ。まあ自分が悪いんですけど(笑)。
c_008
 最初に用意したのはこの2色。左側の茶色っぽい方はキットの成形色に合わせ、それよりも暗めに調色したもの。右はそれより明るめに、やや緑味を強くしたもの。
c_009
 この2色は基本的にガイアノーツのオリーブグリーンとナチュラルブラウンを使っています。この他にEx-ホワイトとEx-ブラックをほんの少量、必要に応じて混ぜています。
c_010
 まずは茶色っぽい方をふんわりと重ねていきます。下地のオキサイドレッドを活かしながら、完全なベタ塗りにならないよう気をつけています。仕上がった時はほとんど目立たなくなる下地色ですが、こうやって意識して塗ると微妙なニュアンスを残す事ができます。要は「単純な単色で仕上げないため」の手法ですね。
c_012
 はい全体に1色目を吹き終えた状態。なんとなく下地の赤みが残っているのがいわかりいただけますでしょうか?
c_013
 で、車体の塗料が乾くまで装備品の塗装も終えておきましょう。このあたりのパーツは全部筆塗り。金属部分はジャーマングレーの塗装指定になっていますが、ちょっと金属感を出したかったのでスターブライトアイアンを塗った上にアクリルのジャーマングレーをドラブラシ気味に塗り、その上からエナメルニュートラルグレーでドライブラシという仕上げにしました。
c_014
 ちょっと凝ったのがマフラー。まずスターブライトアイアンを塗った上にニュートラルグレーを筆塗り。
c_015c_016
 その上からクリアーオレンジ、クリアーブルーで焼け表現。マフラーを止める帯金を車体色で塗ったら……、
c_017
 はい、マフラーの出来上がり。しかし、このあたり、組んでしまうとほとんど見えない! いいんです。こういうことをやるのが楽しいんだから。
c_018
 ほぉらほらほら、車体にくっ付けたらいい感じじゃないか(でも見えなくなるけど)。
c_019
 新しく取り付けたフラッグの基部もしっかり塗装。
c_020
 全体で見るとこんな感じです。
c_021
 さて、じゃあ2色目を重ねてみましょうか。
c_022
 あ、しまった。暗すぎた……。塗ってる時はそれほど感じなかったんだけど、塗りあがってみるとイメージよりはるかに暗い色になっちゃった。ううむ……、こういう時は悩んでいてもしょうがない。修正じゃ。
c_023
 そこで1色目に塗った色にホワイトを加えて塗り直し。
c_024c_025
 それでもベタ塗りしないでシャドウを残すように塗るところが、転んでもただでは起きないワタクシ線香亭(笑)。
c_026
 そして今度は慎重に2色目を塗り重ねます。ややテクスチャー感を残すように重ねた所がポイント。うむ、これならよかろう。
c_027
 ということで車体全体を塗装しました。これで基本的な塗装は終り。

 さあ、ここまで来れば残りはウェザリングです。今回は雪上戦で使用された戦車の再現ということで、こんなものを用意しました。
c_028c_029
 タミヤさんの「ウェザリングスティック(スノー)」。中身はうんと柔らかいパステルのような素材で、塗装で表現できない凸凹が表現できるのが特徴です。
c_030
 ためしに履帯をを付ける前のフェンダー内部に塗ってみました。これだけだと、いかにも「塗りましたっ!」って感じになっちゃうんで、
c_031
 エナメル溶剤を付けた筆で馴染ませます。
c_032
 そうするとこんな感じに仕上がります。このこういう時に単色でウェザリングを行うと、「いかにもウェザリングしました」という仕上がりになってしまうので、この後にサンドイエローやブラウンなどを加えておくと、よりそれっぽい仕上がりになります。
c_033
 フェンダー内部が仕上がったら履帯や転輪カバーを取り付けます。履帯はあらかじめジャーマングレーで塗っておき、取り付け後にちょうどいい位置になるように流し込み用接着剤で固定してあります。
c_034
 そうしたらお次は履帯に付いた雪の表現。ウェザリングスティックをちょっと削ってペーパーパレットなどに出しておき、スパチュラなどで履帯にこすり付けていきます。ウェザリングスティックって、結構いろんな使い方ができるんですよね。
c_035
 こんな感じで履帯に付いた雪を表現することができます。このあたりも単色で仕上げずに、後で茶色っぽい色を足しておくといい雰囲気に仕上がります。さて、じゃあ今度は全体のウェザリング。
c_036
 今回は基本的にウェザリングスティックのみを使って体裁を整えてみました。薄く白がかかっているところはエナメル溶剤で溶いたウェザリングスティックをドライブラシの要領でこすり付けています。
c_037
 この八九式の汚しのポイントは上部転輪の下側にあるカバー部。実車が走行した後などを見ると、必ずといっていいほどこの部分が汚れています。雪上戦に限らず、八九式にウェザリングをほどこす時には注意しておきたいポイントです。
c_038
 スキッドにはもっとたくさん雪が積もっても良いような……、とも思ったんですが、本編を見るとかなり凹凸のある路面をすっ飛ばしている印象があるので、雪もそれなりに吹き飛ばされているんじゃないかと、この程度でとどめておきました。
c_039
 というところで、えらいことに気が付いちゃった。なんと、デカール貼り忘れとる!! いかんいかん、ということでデカールを貼る部分のウェザリングをエナメル溶剤を付けた綿棒で拭き取り、デカールを貼り付けました。
c_040
 はい、ココと、
c_041
 ココ。今回制作するのは本試合時の仕様なので「バレー部復活!!」のデカールは使用しません。よかった、貼るデカールが少なくて。そして、これくらいのタイミングで気が付いて(笑)。
c_042
 デカールを貼った後、もう一度部分的にウェザリングのやり直し。
c_043c_046
 こういった付属品の部分も違和感が無いよう雪をかぶった表現をしておきます。こういうところだけピカピカだと違和感がありますからね。
c_048c_049
 そして最後はタミヤのウェザリングマスター《Bセット》を使って粉っぽさを追加。新雪が付着した雰囲気を再現します。《Bセット》には錆色も入っていますが、今回錆表現はしません。だって試合毎に自動車部の皆さんがきちんと整備してるでしょうからね。この後は時間が許す限り全体を見ながら汚し表現を加えていきます。全体的な雰囲気は、劇中の様子を見ると極端に強い雪ではないようなので車体に積もった雪は控えめ。走行時に前面に付着していく雪、という感じで汚しています。
c_053
 そして、最後の最後にエンジン周辺やマフラーの熱などで溶けた雪を表現するため、エナメルのクリアーを筆塗り、水で濡れた感じを控えめに入れてやります。

 ということでファインモールド『1/35「ガールズ&パンツァー」アヒルさんチーム 八九式中戦車甲型』、無事完成です。
c_054
 出来上がりの詳細は作例ギャラリーでお楽しみください。

 いやー、面白かった。
 この八九式中戦車は実際に存在した戦車ですが、それが登場した「ガールス&パンツァー」は当然フィクション。この「フィクションとノンフィクションが入り混じったような面白さ」がガルパン戦車の大きな魅力なんだなぁと気が付きました。キット自体も元々スケールキットとして開発されているものを利用しているので、いわゆるキャラクターモデルにありがちな“ユルさ”を感じることもなく、実に楽しんで制作することができました。なんだか他の車輌も作りたくなってきちゃった。思い切って大洗女子学園の全車揃えちゃおうかな。この楽しさは、やはり作ってみないことにはわかりません。興味のある方は今すぐエンターミッションだ!

 さて、今回はそろそろこの辺で、
 次回は何を作ろうかなってところで「パンツァー・フォー!!」

 じゃなくて、お後がよろしいようで。

(C)GiRLS und PANZER Projekt


詳しくはファインモールドHPへ
ギャラリーへ
<前の記事へ ◆ 後の記事へ>


Leave a Reply

CAPTCHA


This blog is kept spam free by WP-SpamFree.