線香亭無暗のやたら模型制作室
 はい皆様、1週間のご無沙汰でした。
 いやぁ、偶然っていうのは恐ろしいもんで、住んでいるところも全く違う知り合いに銀座でばったり出会ったり、なんて事があります。もっと凄いのは最近のワタシのくじ運。模型仲間のある方といろんな展示会でご一緒するんですが、どうもその方と縁がありすぎる(笑)。「作る模型を書いたくじを引いて、次回までにそのお題に即した模型を作ってくる」というイベントのある某模型コンペでは、その方が書いたお題を2回連続でひき、昨年末の忘年会ではクリスマスのプレゼント交換で、その方の持ってきたプレゼントが当たり、つい先日の上井草模型倶楽部の展示会ではその方が提供された、たった1個のプラモに当選するという、「奇跡の4回連続大当たり」という事態になっております。これ、参加人数の概算で計算してみたら1/189,000という確立。まわりからは「もう結婚しちゃえよ」なんて言われてるんですが、ひとつ残念なことに、その方男なんですよね……。
 てな具合に、妙なところで妙な具合にくじ運を使い果たしているワタクシ線香亭。今回からは新ネタ! 張り切ってまいりましょう!!

 さて、今回からのお題はコレ!!
a_001
 ファインモールド『1/35「ガールズ&パンツァー」アヒルさんチーム 八九式中戦車甲型』。言わずと知れた大ヒットアニメ、「ガールズ&パンツァー」に登場する戦車です。

 いやぁ、多いんですよ。「ガルパン戦車を作ってください!」というリクエストが。この連載の読者の方ばかりでなく、周りの人たちからも「作ったほうがいいよ」なんていわれたりして。中には「ガルパン嫌いなんでしょ」なんていう輩まで出てくる始末。別に避けてたわけじゃないんですよ。TV放映も楽しみに見てたし。ただ他に作るものがいっぱいあって手が回らなかっただけ(笑)。いよいよ満を辞して制作という運びです。

 さて、この「ガールズ&パンツァー」、TV本編は2012年10月から2013年3月までに全12話と総集編2話が放映され、つい先日、新作劇場版の制作とTV本編では放映されなかった「大洗女子学園vsアンツィオ高校」戦のOVA化が発表されました。
 ご存じない方(はいないんじゃないかと思いますが)のためにちょっと説明しておくと、華道や茶道と並ぶ女子のたしなみとして「戦車道」なる伝統文化が存在する世界、女子高に通う美少女たちが戦車を駆使して勝利を競うという、ミリタリーと美少女の2大“萌え”要素を兼ね備えた作品。ワタシも楽しみに拝見してましたが、いやいや、戦車戦が実に面白い! 非常に魅力的に描かれています。百聞は一見にしかず。まだご覧でない方は是非とも一度見てみてください。作品自体のヒットに加え、作品内でフューチャーされた茨城県大洗町のイベントなども例年にない来場者を数えるなど、まさに今が旬の大ブーム作品。模型業界的に見ても、たしかにAFV関連の棚の前がにぎわっている様子。ワタシの記憶ではこんなに戦車が盛り上がったのは子供の頃のタミヤさんのMM(ミリタリーミニチュア)ブーム以来じゃないかな?

 で、今回取り上げるファインモールド製「八九式中戦車甲型」は主人公が所属する県立大洗女子学園の一台。ガルパン関連キットとしては同じくファインモールドさんから「アリクイさんチーム 三式中戦車」が発売されている他、プラッツさんより「Ⅳ号戦車D型-あんこうチームver.-」「IV号戦車D型改(F2型仕様)-あんこうチームver.-」「IV号戦車D型(H型仕様)-あんこうチームver.-」「38(t)戦車-カメさんチームver.-」「38(t)戦車改 ヘッツァー-カメさんチームver.-」「Ⅲ号突撃砲F型-カバさんチームver.-」「ポルシェティーガー-レオポンさんチームver.-」「ティーガーI -黒森峰女学園ver.-」が発売となっており、非常に充実したラインナップとなっています。
え? なんで主人公が乗るⅣ号戦車を作らないのかって?? だってそれじゃ普通じゃん! この連載らしくない!! ということでファインモールド『1/35「ガールズ&パンツァー」アヒルさんチーム 八九式中戦車甲型』でしばらくお付き合いのほどを。

 この八九式中戦車、元はといえば旧日本陸軍が日中戦争勃発以前、世界経済恐慌が始まる1929年から生産され、太平洋戦争終結まで使用され続けた戦車です。搭載エンジンの違い(ガソリンorディーゼル)により甲型と乙型があり、劇中に登場するのは後期仕様でも最も後期の車体形状で、最近の分類では「甲後期型」と言われるタイプですね。中戦車といえどずいぶん小さいのが特徴。元々火力不足な大洗女子学園所属車両の中でも、特に貧弱な火力しか持ち合わせていません。考えてみれば他の大洗女子学園の戦車と比較しても大分古い設計ですからいたしかたありませんが。ただ劇中では、その軽快な機動性と小柄な車体を活かした大活躍も見せてくれます。そのあたりの躍動感がこの作品の大きな見せ場でもあります。

 あー、また解説がずいぶん長くなっちゃった。それでは早速恒例のランナーチェーック。

a_002
 まずはB枠とC枠。このキットA枠がありません。慌ててメーカーさんに問い合わせたりしないように(笑)。この2枠は主に車体部分のパーツですね。大分茶色っぽいオリーブドラブで成形されています。
a_003
 続いてはD、E、F枠。D枠は車体後部に付くスキッド、E枠は砲塔周りのパーツ。Fは枠じゃなくて砲塔パーツ自体のこと。これも「F枠はどこだ?」なんて探さないように。
a_004
 JとG枠は車体上面と足まわりのカバーですね。よく見ると車体各部のスジボリの太さが変えてあったりリベットの表現が非常に繊細だったりと、これぞファインモールドという成形です。
a_005
 H枠は同じものが2枚。戦車といえば転輪。この辺でしり込みしちゃう人も多いのかな? ただ、実際に組んでみるとそれほど苦労もしないんですけどねぇ。
a_006a_007
 履帯はプラモデル用接着剤での接着が可能な軟質樹脂製のものが付属します。アップで見るとなかなか立体的なディテール。
a_008
 そしてこのキットにはマフラーのカバー部分に使用するメッシュがエッチングで付属します。これも初心者の方にはハードル高いのかな? なんて思うなかれ。しっかり成形できる工夫がされています。まあ、そのあたりは後ほど。
a_009
 そして、未組み立ての状態でも“エンターミッション”な雰囲気を盛り上げてくれるのがデカール。
a_010
 左半分はチーム章や部隊章、初練習試合時のカラーリングが再現できるマーキングなど。このデカールで「車輌発見時」「練習試合時」「本試合時」3種のカラーリングが再現できるようになっています。
a_011
 右半分は“キャラ萌え”を満足させるアヒルさんチーム所属メンバーのサービスデカールとなっています。コレを使って「痛○○」を作るなんてこともできますな。
a_012
 そして、ちょいとビックリしたのがインスト。表紙に美少女漫画がっ!!
a_013
 でも中を開けばいつものファインモールドさんの説明書。なんだか安心した(笑)。

 で、「さあ組み立てるぞ!」と、意気込んで作ってみたら……、
a_014
 あら、できちゃった。転輪回りはまだですが、車体と砲塔は非常にスムーズに組みあがりました。じゃあ、続いて――なんて進んじゃうと、また「初心者に優しくない!」なんて言われちゃうので、組んでいて気になった所を解説していきましょう。

a_015
 まず車体内部の塗装なんですが、説明書の手順どおりに作っている場合、それぞれの組立工程に「ココは何色」って書いてあるんで、初心者の方はその段階で塗らなきゃいけないような気がしちゃうかもしれない。でも、上の写真のように車体上面だけ接着しないでおくというような工夫をすれば、組み立ててからでも内部塗装は可能です。それに加えてこのキットの場合、組みあがってしまえば中身が見えなくなるんで、気にならない方は塗らなくても全く問題なく仕上がります。
a_016
 こんな所もそう。車体前面に付く機関銃なんですが、これも取り付けてしまって後から塗っても問題ないところです。
a_017a_018
 車体の組み立ては若干のコツがいり、「ただ板と板を接着する」のではなく「組み付けミゾ同士を接着する」仕様なのでミゾの周りのゲート跡などはしっかりと処理しておきたいところ。これをやらないと「なんだか妙に組みつけが悪い」なんてことが起こります。
a_019a_020
 それから注意しておきたいのが前後のフェンダー部分。実写を見ても(現在、陸上自衛隊土浦駐屯地に修復された乙型が現存します)ドイツ戦車なんかのフェンダーの端っこの「ペナッ」とした感じではなく、それなりに頑丈なものが付いていますから、しっかりと接着したいところ。それぞれの面に使われている鋼鈑の厚さも若干異なるようなので、そのあたりを再現してみるのも面白いかもしれません。

a_021
 さて、続いては車体後部に付くスキッド(ソリ)。実車では塹壕を超えるために車体長を延ばす役割を持っています。劇中では幻の超巨大戦車「マウス」との対決で姿勢を立て直すなどの用途で活でかされていましたね。
a_022
 パーツ構成はいたってシンプルなんですが、気になるのはスキッド上面の突き出しピンの痕。
a_023
 ためしにサンドペーパーの400~600番でゴシゴシやってみたら、ことのほか簡単に消すことができました。ここは組みあがった後でも目立つ部分なので、しっかり処理をしておきたいところ。

a_024
 続いては砲塔部分。
a_025
 砲塔内部の主砲の後部や機銃の銃身などもしっかり再現されていますが、これも組みあがったら見えなくなる部分。面倒な方は主砲後部を組み立てなくてもいいと思います。まあ、いいディテールなんで組んでみると楽しいんですが(笑)。
a_026
 で、組んでみる方にちょっとアドバイス。下部のフレーム状のパーツは本体が組みあがってから接着した方が綺麗に組みあがりますんでね。チョコッと注意してください。まあ、組みあがったら見えなくなっちゃうんですけど、それでも「実車を組上げてるような楽しみ」は十分に味わえますからね。
a_027
 実際に砲塔内に組み付けた状態。この後底面のパーツを接着する構造になっています。
a_028
 続いては砲塔後部のハッチ。劇中でもこの窓を開けて「中戦車だし~」なんていってるシーンがありましたからハッチを開いた状態に改造し、中にフィギュアを仕込んでシーン再現なんていうのも楽しいかもしれません。
a_029a_030
 で、このハッチ部分。若干パーツの合いが悪い感じがしたので少々調整してハッチを接着しました。今回はフィギュアなしで行きます。でも誰かやってくれないかなぁ(笑)。

a_031
 続いて手を付けたのはマフラーの上面に付くカバー。ここは丸穴が空いているのでヤスリで削って薄く加工した後にそれぞれの穴を開口します。
a_032
 こういう時は木片に両面テープでパーツを止めて作業するとやりやすい。0.4mmのピンバイスで全ての穴を開口しました。
a_033
 車体に取り付けてみたところ。マフラーはこのパーツを接着した後からでも取り付けることができますから、塗装後に接着したいと思います。
a_034a_035
 じゃあ、ついでにマフラーにも手を入れときましょう。写真左はパーティングラインを消した作業途中の状態。写真右は排気管の後端を薄く加工し、マフラーを止める帯金の接合部にスジボリを入れて「別パーツ感」を強調したもの。これだけで十分見栄えがよくなります。
a_036
 どうでしょう? 結構イイ感じになったような気がするんですが。
a_037
 で、ここに付くのがエッチングのメッシュ。このメッシュ部分を切り取って丸く曲げることでマフラーのカバーを再現するわけですね。キット付属のエッチングパーツは戦争当時の実車と同じ形状です。ところが現存する車両では大きな丸穴がいくつも開いた形状となっています。これは戦後にレストアされたものでアニメ劇中ではこの丸穴タイプ(苦笑)。「どうしても気になる!」という方は丸穴タイプ改修に挑戦してもいいでしょう。今回はこのまま使用することにしました。
a_039
 で、親切設計なのがエッチングを曲げるための冶具が付属すること。写真の左側に写っているのがその冶具。ちなみにファインモールド製のエッチングパーツはデザインナイフなどで簡単に切り出すことができます。
a_040a_041
切り出したパーツを字具に沿って曲げ、端っこのベロを執着で止めたら――
a_042
 はい、マフラーのカバーネットの出来上がり。
a_043a_044
 車体に取り付けてみるとなかなかの充実感。この繊細なディテールがエッチングパーツの魅力です。

 はてさて、そんな感じでできちゃった車体と砲塔。
a_045a_046
 ここまでは非常に組みやすく、初心者の方にもお勧めできるキット。
a_047
 ジャッキやツルハシ、プッシュロッド等の装備品は塗装後に取り付ける予定なので、成形だけして保存しておきます。
a_048
 こういう部品を無くさないために小ぶりのタッパなんかがあると便利。100均で4個セットなどで売られています。

a_049
 実はまだ車体の一部は接着していないのでこんな状態にバラすこともできます。いやぁ、見えなくなるんだけど一応中身も塗っておこうかなぁ、なんて思ってるんで。
a_050
 で、残すは戦車制作最大の難関といわれる足まわり。ってところで今回はここまで。

 ここまでは実にスムーズに組めた八九式中戦車。次回は足まわりの制作に取り掛かりたいと思います。足まわりに関してはディテールアップパーツも用意してますんでね。次回も楽しみにお待ちください。

 それではそろそろこの辺で。
 次回も、乞御期待!!

(C)GiRLS und PANZER Projekt


詳しくはファインモールドHPへ
<前の記事へ ◆ 後の記事へ>


Leave a Reply

CAPTCHA


This blog is kept spam free by WP-SpamFree.