線香亭無暗のやたら模型制作室
 はい皆様、明けましておめでとうございます。
 一年の計は元旦にあり、なんてことをいいますが、今年は何をやっていたかというと、大晦日から続けて模型を作ってまして、じゃあ、去年の元日は何をやってたかというと、これもやっぱり模型を作ってた。じゃあ、一昨年はと思い返すと、やっぱり模型を作ってる。結局、ここ数年、年末年始はずっと模型を作ってるんですね。考えたら一年中模型を作っているわけですから、これこそ一年の計は元旦にあり(笑)。今年も一年、元気に模型を作り続けますんで、皆さんも飽きずにお付き合いくださいませ。
 てなわけで2013年第1回目の「やたら模型制作室」、今回はハセガワ 1/72「タチアナのヴァンシップ&ファムのヴェスパ」その2回目。今年も張り切ってまいりましょう!!

 さて、前回はヴァンシップのボディラインを整えつつ、各部の組み立て作業を粛々と進めていたハセガワ「タチアナのヴァンシップ&ファムのヴェスパ」。最後は全体を仮組みしたところで終わってました。
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 今回は気になるところにチョコチョコと手を入れて完成に近づけて行きたいと思います。

 で、その前に、読者の方から2通ばかりメールを頂いたので、それにお答えしておきましょう。

 お二方とも掲載許可を取っているわけではないので要約してご紹介しますね。まず最初の方。
 前回の記事でキット付属の設計図の手順を変えて組立てをご紹介したことに対して、「初心者にとっては非常にわかりにくい手順で、メーカーの意思を尊重していない。もっと初心者にもわかりやすい記事を心がけるべきだ」というご意見。
 もうひと方はやはり同じようなご意見で「簡単に組めるキットなのに余計なことをして難しくしている。もっと簡単に組めるような作り方をするべきだ」というご意見。

 ええ~、このお二方、いわゆる「誰でも簡単に完成する」といったような作例を期待していただいていたのなら申し訳ありません。今回の作例ではそういった作り方はしません。
 最初のご質問の方が普段どのような作り方をされているのかわかりませんが、説明書の手順を変えて組み立てるというのは実によくあること。初心者の方にはとっつきにくいかもしれませんが、それなりの経験を積んだモデラーは皆自分の作りやすいような手順で組み立てています。実はそのあたりが『あまり表に出ない作り方のコツ』だったりすることもあります。別にメーカーさんの意思を尊重していないわけではありません。一応この記事もメーカーさんにもご確認いただいていますんでね、そのあたりをご理解ください。

 そして二人目の方。もしかしたらこの方は手順と目的を履き違えていらっしゃるかもしれない。「簡単に作れるほうがいい」あるいは「徹底的に手を入れたほうがいい」っていうのは制作手順の問題です。目的というのは「こういう仕上がりにしたい」という理想像。そして、その「理想像」は実に人それぞれ。いわゆるパチ組みで満足な方もいれば、パッケージに掲載された完成見本のように作りたい方もいる。他にも精密にディテールを再現したい方、塗装に懲りたい方、中には自分のオリジナル要素を投入しないと気が済まない、なんて方もいる。その目的によって制作手順も手法も様々なんですね。そうやって色んな作り方ができるというのが「キットである意味」だと思っています。もちろん「簡単に作れる」というのが悪いことだとは思いませんが、この連載では「こういう仕上がりが欲しいからこういう手法で作っている」という事を、なるべく明確にお伝えしてきたつもり。キットを仮組みしてみて「ここはこうなってたほうが良いな」とか「ここはこうじゃない?」なんて思ったことを、どう形にするかをご覧頂いています。これはどんなキットでもいえることですが、一番簡単に完成させたいなら何も考えずに説明書のまま組み立てる以上に簡単な制作方法はありません。でもそれじゃあちょっと寂しくないですか? せっかく良くできたキットをもうちょっと自分好みにしてみたいと思いません? だから、素組みで組むのの何倍、何十倍もの手間をかけて弄くりまわしちゃうんですね。これは何度も書いてきたことですが、この記事で書いてあることを全部そのままやらなくちゃいけないなんてことは一度も言っていません。素組みで満足ならばそれで良し。キット付属の説明書と塗装図、後はパッケージのイラストと写真があれば十分な制作資料でしょう。ただ、それでだけは満足できない方、もうちょっと色んなことをやってみたい読者の方が、それぞれに「これはいいんじゃない」とか「これはやってみたい」と思ったところだけをチョイスしていただければと思います。
 まあ、かねてから「初心者に優しくない」といわれがちなこの連載。書いてる本人は全くそのつもりはないんですが(笑)、そんな按配で2013年も続けて行きたいと思っています。どうかそのあたりをご理解いただいてお付き合いいただければ幸いです。

 さて、それでは制作に取り掛かりましょう。
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 はい、いきなりサフ吹いてます。今回のヴァンシップ、仕上がりイメージはツヤツヤのグロス仕上げ。磨き上げられたクラシックカーのような仕上がりを目指しています。そのためにはしっかり下地を整えておきたいところ。見逃したキズやヒケ等をチェックします。
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 そうやって下地を整えるために、サフで埋まってしまいそうな繊細なスジボリなどはあらかじめ深くしておきます。これ、繊細なディテールが多い現用航空機や小スケールのカーモデルなんかでも良くやる手法ですね。サフは毎度お馴染みサーフェイサーエヴォ。薄く吹けるので、こういった作業にも重宝します。
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 で、サフを吹き終わったボディを見てて思いついちゃったのがエンジンフードの排熱スリット、いわゆるルーバーの部分。
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 本物があったら後方に向かって開口しているところなんですが、これは構造的にインジェクションパーツで再現するのはなかなか難しい。だったらスジボリの要領で後ろ側に溝を彫れば良いんじゃない? ってことでやってみたのが一番下の段。
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 で、全部スジボリを終えたところ。仕上がりでどれだけ効果があるか未知数ですが、やらないよりやった方がいいんじゃないか、と思いたい(笑)。これ、本来ならサフを吹く前にやっとくべき所なんですが、サフを吹いた後に気がついちゃったんでしょうがない(笑)。まあ、他にも修正箇所があったんで、この後、もう1回サフ吹きしましたけどね。

 で、続いて手を付けたのがこちら。
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 コクピット横の丸いディテールに2.8mmの穴を空けました。写真奥に写っているのがキットのまま。ここは下方確認用(おそらく)の丸窓になっている部分。キットのままだと窓枠ごとデカールで再現するようになっていますが、窓はやっぱり透明パーツにしたい、ということで開口しちゃいました。
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 アップで見るとこんな感じ。各ディテールはこの後の塗装で埋まることを考えてスジボリを深くしてあります。で、白状するとこの窓のガラス部分をどうやって再現するか、まるで考えてなかった(笑)。
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 何か使えるものはないかと色々探してみて見つけたのがキットのFランナー。写真の切り離してある部分を切り取ってパーティングラインを整えたら、ちょうど2.8mm位になることを発見!
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 これが切り出して成形したランナー。写真では見えにくいんですが、手前の断面を400→600→800→1000→1200とヤスリで研磨してウェーブのヤスリスティック フィニッシュで仕上げたた状態。これの輪切りをボディに空けた穴にはめ込めば窓ガラスができるんじゃないか? いや、他にもね、この手の窓ガラスの再現には色んな手法があるんですよ。例えば透明プラバンをポンチで抜くとかクリアーボンドを充填するとか光硬化樹脂を使うとか。ただ、2.8mmのポンチはみつからないし、窓のサイズが大きめなんでボンドや樹脂だと気泡が入りやすくなっちゃう。そこで、今回はこんな手法に挑戦してみようという試みです。さて、上手くいくや否や。
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 まずはハイパーカットソーで1.5mmほどの輪切りを制作。
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 切り出した輪切りのパーツは両面テープで板に貼り付けて切断面を研磨。上に書いたのと同じ工程でヤスリとヤスリスティック フィニッシュを使って研磨しました。ここがガラス面になるのでなるべくきれいに仕上げます。
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 これをはめ込んでみたら……、おお! 窓ガラスに見えるじゃないか!! やればできるもんだ。ちょっと斜めになってるけど(笑)。これははめ込み具合を調整すれば修正できます。

 窓ガラスも透明になったんだし、せっかくだからと手を付けたのがここ。
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 テールランプです。どうせならここもクリアーパーツ化しちゃおう。写真右はキットのまま、左はランプ部を削り落とした状態です。
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 このテールランプの基部に1.4mmの穴を開けました。普通だと平たい基部にレンズとして紡錘形のクリアーパーツを貼り付ける事が多いんですが、こういう「出っぱったはじっこ」に付いているパーツはいつの間にか取れてどっかに行っちゃっうなんて事も多いので、しっかりと止めてやろうという魂胆です。そうなると次に必要なのはレンズ部分のパーツ。
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 ということでキットのクリアーパーツのランナーを利用して、お得意のリューター旋盤加工。今回はキットのクリアパーツのランナー大活躍。ノギスで直径を測りながら彫刻等などで形状を加工したら、ヤスリスティックを使って研磨します。相変わらずのリューター酷使具合ですが、愛機WAVEのハンディルーターMk.1はしっかりと働いてくれております。
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 で、使う部分だけを切放せばテールランプのレンズは完成。今回は3機一挙制作なので、これを3回やるわけですね。「こんなことできねえよ!」とか「面倒くせえよっ!」って方は、貼り付けるタイプになっちゃいますが、1/32や1/48の小スケールのカーモデル用のディテールアップパーツなんかを物色してみると良いかもしれません。最近、国内ではあんまり見かけなくなっちゃいましたが、海外のサイトなどを見ると、こんなもんまで売ってるのかっていうくらい色んなパーツが揃ってます。ご参考までに。
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 さて、出来上がったレンズパーツをボディに差し込んでみましたよ。中々いい感じ。
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 裏側はこんなふうになっています。今はとりあえず差し込んであるだけ。塗装が済んだら最後に接着します。

 さて、そんなこんなで、下ごしらえが大まかに済んだボディ上部。
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 この後、もう1回サフ吹きして、全体をチェック、いよいよ塗装に入ります。

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 はい、いきなり白を吹いた状態の2機。写真左はガイアノーツのアルティメットホワイト。右はアルティメットホワイトにほんの一滴ナチュラルブラウンとサンシャインイエローを足したもので塗装。
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 結構微妙な違いなんですけどね、わかっていただけますでしょうか? これ奥の方のアルティメットホワイトそのままの方は赤い機体色の下地。機体中央の白いラインをマスキングしてから赤を重ねます。手前の色身を足したほうは白い機体色として仕上げます。これは1/43や1/32のカーモデルキットなどで昔よく使われた手法。純白でフィニッシュするよりもニュアンスを豊かにしようという魂胆です。同じ白でも、こうしてほんのちょっと色身を付けておくと仕上がった後に陰影がでやすくなるという効果も望めます。

 さて、1機は白。残った2機の機体色はどんな塗料で塗ろう。
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 まず、赤い機体色の候補として引っ張り出してきたのがガイアノーツの跳ね馬スペシャルセット/2009。60年代のロードカーから90年代のF1に至るまで、跳ね馬的な6色をセットにしたもの。残念ながら現在では絶版になっていますが、たまに店頭などで見かける事があります。赤の選択肢が少なめなガイアノーツユーザーにとっては貴重なセットなので、揃えておくと良いかもしれません。今回使用する候補として考えているのは、60年代ロードカー用か近代ロードカー用のカラー。どちらにしろちょっと明るい感じがするので、メタリックのコーティングに使うコーティングレッドを重ねようと思っています。このコーティングレッドもセットに入ってるんで非常に重宝します。
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 そして、残る一機はこのブリティッシュグリーンで塗装しようと思っています。劇中に登場するグリーンのヴァンシップはシルヴィウスに搭載された一般パイロット用の機体なんですが、もっと明るくて淡い色。今回はあえて濃いグリーンでフィニッシュしようかと。イメージとしては赤い機体はイタリアン・クラシックで、グリーンの機体はイングランド・クラシックカーといった所でしょうか。他にもF1風とか、アメリカン・レーシングカー風とか、スチームパンク風なんていう仕上げも面白そう。アイディア次第で色んなフィニッシュができそうなキットです。そのあたりも大きな魅力。

 さあて、この辺で機体の組み立て工程も考えておかねば。
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 ということで、先に塗っておかなきゃならないコクピット回りを仕上げました。写真左は基本塗装の状態。右はスミイレと軽い汚しを入れた状態。慣れないと忘れがちなんですが、こういったところにもそれなりの汚しを入れてやると充実感がアップします。
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 続いてはパイロットフィギュア。タチアナとアリスティアですね。
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 シートに座らせてみて、着座姿勢がおかしくないかを確認。あ、これ、グリーンの一般機や白いディーオ専用機のフィギュアはどうすればいいんだ? まあいいや、後で考えよう。
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 ついでにパイロットを乗せた状態でコクピットに収まるかもチェック。どうやら完成後でもフィギュアが乗せられそうなので、フィギュアのフィニッシュは後回しにすることにしました。
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 そんでもって、3機分のコクピット完成。今回みたいに3キット分いっぺんに作業をしてると、机の上がヴァンシップ工場みたいになって楽しいやら、狭くて大変やら(笑)。

 じゃあ、赤い機体色の塗装をしようかな。
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 まずは先ほどアルティメットホワイトを塗った上にブリリアントピンクに少し白を混ぜたものをエアブラシ塗装。機体中央の白いラインやタイヤハウスの外側、翼(?)端の白い部分などはホワイトを残すためにあらかじめマスキングしておきます。下地にピンクを塗ったのは赤の発色を助けるため。このあたりもカーモデル的な手法です。赤はそれ自体発色しにくい色なんで、そうやって下地で発色を助けてやるんですね。ちなみに同じ赤い塗料を使っても、下地が白だとピンクっぽく、下地が黄色だと朱色っぽく仕上がります。
 そして、その上から跳ね馬スペシャルセット/2009の60年代のロードカー用カラーを塗装。う~ん、やっぱりちょっと明るかったかな? と思ったんですが、
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 当初の予定通り、跳ね馬スペシャルセット/2009のメタリックレッド用コーティングレッドを上塗りしたら、何とか落ち着いたな。
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 ということで、他のパーツも同じ手順で塗装。これで赤い機体の完成も見えてきた。ヴァンシップ3機分、残る塗装はグリーンだけとなりました。

 さて、それではそろそろ……、って言うと「おい! ヴェスパはどうした!!」って声が聞こえてきそうなので、チョコッと進捗をご紹介。
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 実はもう一機分塗装まで済んじゃってます。次回は残ったグリーンのヴァンシップと残り2機のヴェスパにとりかかりたいと思います。

 それではそろそろこの辺で、
 次回も、乞御期待!!

(C)2011 GONZO/ファムパートナーズ


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