線香亭無暗のやたら模型制作室
 はい皆様、1週間のご無沙汰でした。
 師走ということで何かと慌しい日々を過ごしていたワタクシ線香亭。ここにきてようやくスケジュールもひと段落して、やっと落ち着いて今年一年を振り返る余裕が出てきました。まあ、今年は良く模型を作った。もう何十年も模型を作ってますが、こんなに数を作った年はありません。一体どれだけ作ったんだろうということで、よくよく取りまとめてみたら、プライベート、お仕事含めて、キット数で100キット!! 3日に1つは完成品を作っていたことになります。中には同じキットを素組みで3個づつ、8種類納品なんていうのもあるんで、全部が塗装済み完成品というわけじゃないんですが、いや、それにしてもよく作った(笑)。いったいどうやってそんな数を完成させたんだか、自分でもよく思い出せないんですけどね。そして、今回の「やたら模型制作室」で取り上げる作例で101キット目。めでたく100キット越えを果たしました。あ、まだ完成してないけどね。忙しいことは良いことなんですが、来年はもうちょっと落ち着いて模型を作りたいなぁ、なんて贅沢なことを思ったりして(笑)。まあ、来年のことをいうと鬼が笑うっていうんで、このあたりで101回目のプロポーズならぬ101個目の作例に取り掛かりましょうか。
さて今回からは新しいお題。それでは張り切ってまいりましょう!!

 今回からのお題はこれ!
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 ハセガワ クリエイター ワークスの最新作、1/72「タチアナのヴァンシップ&ファムのヴェスパ」
 この機体が登場するアニメ、『LASTEXILE-銀翼のファム-』は、GONZO創立10周年記念アニメとして制作された『LASTEXILE』の2年後を描いた作品。なんともいい難い独特の世界観が漂う中、その世界の中心に位置しながらも、ただまわりの人々のために心を砕き、互いにかかわりを深めながら成長していく3人の少女たちの姿が心に残る作品です。村田蓮爾氏のキャラクターも非常に魅力的。とはいえ、模型好きとしてやっぱり気になるのは小林 誠氏のデザインによる自動車とも飛行機ともつかない美しいフォルムの飛行機械が繰り広げる大空中活劇。この世界では「クラウディア・ユニット」と呼ばれる独自の装置で、大型戦艦から中、小型機械、バイクのような超小型機械までもが空を飛びます。そんな魅力的なデザインの飛行機械が縦横無尽に繰り広げる空中活劇が、この作品のひとつの見所にもなっています。

 で、この「タチアナのヴァンシップ&ファムのヴェスパ」「タチアナのヴァンシップ」は赤くて大きい方。前作『LASTEXILE』で優秀なパイロットぶりを披露したタチアナ・ヴィスラが駆る、少し小さ目の戦闘用飛行機械。物語の中では比較的小型の飛行機械はヴァンシップと呼ばれています。
 「ファムのヴェスパ」は主人公ファム・ファン・ファンとジゼル・コレットの乗る小型の飛行機械で、ヴェスパというのはヴァンシップの中でも特に小型の飛行機械の総称として扱われています。たしかに小型バイクの雰囲気ですもんね。劇中にこの2機が揃って登場するのは第4話「Dubious move」。空族であるファムが、謎の戦艦「シルヴィウス」を捕獲しようとしたところへ、艦長を務めるタチアナが単機応酬に出るというシチュエーション。そしてその結果! なんていうネタバレはいたしません。皆さん本編をご覧になってゆっくりお楽しみください。

 実は今回の作例、2012年10月のホビーショーで見て、ハセガワさんのご担当の方に作例として取り上げさせていただけるよう、自らその場でお願いしたという曰くつき。作品自体は前から見てたんですが、その時は「ああ、面白いデザインだなぁ」位にしか感じてなかったものが、模型として目の前で見た瞬間「これ作りてぇ……」になっちゃった。まず魅力的だったのはその密度感。優れたデザインなのは言うまでもありませんが、全てが繊細にまとまっていて「精密キャラクターモデル」という言葉が頭の中に浮かびました。いうなれば非常に“ハセガワ”らしい模型。見た瞬間に完成のイメージが浮かんだんで、これはやらせていただくほかあるまい。ということで恒例のランナーチェックから。

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 まずはAランナー。タチアナ機の赤いパーツですね。ボディは上面2分割、下面は一体成形で機首部分は別パーツ。このあたりをきちんと処理すると美しいボディのラインが映えそうです。
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 続いてBランナー。タチアナ機の下面に付く機械部分がメインとなっています、成型色はやや茶色味がかったグレー。クラウディア機関の球状のパーツは左右合わせですね。合せ目消しをしっかりとしておきたい所。
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 続いてC、D、Eランナー。キットにはくっついた状態で入ってます。C枠はファムのヴェスパ用のパーツ。仕上がりで45mmほどのヴェスパですが、クリアーパーツを含めて16パーツで構成されるという力の入りよう。D枠はタチアナとアリスティア・アグリューのフィギュア、E枠はファムとジゼルのフィギュアが収まっています。そう、この『LASTEXILE』シリーズに登場する小型の飛行機械は基本的に副座。パイロットとナビゲーターが搭乗する仕様になっています。実はこれが作品のテーマにも関わっているんですね。
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 じゃあ、ちょっとアップで。ファムのヴェスパのクラウディア管と呼ばれるパイプ状のパーツなんか非常に繊細。ワタシの苦手なフィギュアは全高15ミリほど。塗れるのか、このオレに!
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 F枠はクリアーパーツ。ヘッドライトのレンズや風防の他、ヴェスパ用のスタンドやヴァンシップ用のスタンド取り付けパーツなども含まれます。
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 続いてはヴァンシップに使用するスタンド。基本的には震電Ⅱに付属していたものと同型です。汎用性が高いな。
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 お次はデカール。シルクスクリーン製で複雑な紋章や文字なども繊細に再現されています。タチアナ機のボディやタイヤハウスの白い塗り分け部のデカールも見えますね。
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 説明書は片面カラー。塗装指示を見るとヴァンシップ、ヴェスパとも、3種のカラーバリエーションが掲載されています。これ、ちょっと楽しいんじゃない?
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 そして嬉しい特典がこちら。表は村田蓮爾氏によるファム、ジゼル、タチアナ、アリスティアの書き下ろしイラスト、中面には小林 誠氏による描き起こしイラストと工作ガイドが掲載されたボーナスリーフレットが入っています。村田氏のイラストはやっぱりカワイイし、小林氏の記事やイラストは意外な事実も判明したりして読み応えアリ。これは嬉しい。

 これで、キットの中身は全部。気が付いた方もいると思いますが、このキット、パーツ数は非常に少なめ。ヴァンシップやヴェスパの複雑な構造を、最も効率のいい分割にしたという感じ。初心者の方でも、しっかりと取り組めばちゃんと完成する模型です。

 じゃあ、いよいよ制作に取り掛かりましょう。
 まずはヴァンシップから。
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 ご覧のようにヴァンシップのボディは大まかに4パーツで構成されます。このヴァンシップ、まず第一の見せ場はボディだと思うんで、しっかりと組上げたい所です。
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 特に上面のこの3パーツ。プラモデルの場合、左右合わせのパーツはきれいに収まっても、三次曲面がつながる機首のようなパーツは、ラインがきれいに繋がらないということがよくあります。じゃあそういう時はどうするのか。
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 まずは双方のパーツの接合面を平らにすることからはじめます。写真左を見ると、このままくっ付けてもいいんじゃないかと思っちゃうんですが、よく見ると写真右のように凸凹があるんですね。これを解消するためにヤスリで接着面を平らにします。ヤスリがけといってもゴシゴシやるわけではなく、面が整う程度にかる~くヤスります。大きな面積の平面を作るにはヤスリスティックの大きなサイズを使うと上手くいきやすい。
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 接着面を整えたパーツを接着してみました。この時点で満足であればこれでOKですが、もっときれいにボディラインを作りたい場合は、接着したパーツをヤスリがけしてラインを整えます。
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 はい、こんな感じ。劇中のタチアナのヴァンシップを見ると、機首部分は別パーツになっているような雰囲気だったので、パーツの接合部にスジボリをしています。
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 で、実は説明書の手順だと先にコクピットを組み込んで、機体下面のパーツを接着してから機首のパーツを接着するよう指示されてるんですが、それだと塗装を終えたコクピット部分を組み込んでからヤスリをかけなくちゃならないんで、あえて機首部分を先に接着、成形しました。この手順でも写真のように斜めに差し込めば機体下面のパーツが取り付けられるので大丈夫です。
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 機体で、もう一箇所組み立てに工夫をした箇所があります。それが上の写真。翼の上面に付くラジエター(多分)のようなパーツです。キットではしっかりと組みつけられるよう大き目のダボでボディの組立てと同時に組み込むようになっています。確かにこの方が組みやすいんですが、この部分は明らかにボディとは質感の違う部分。できれば別に塗装してアトハメにしたいなぁ。
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 ということで、あっさりとキットのダボを切り飛ばして、塗装後に接着することにしました。これならボディを塗装し終わってからでも取り付けられます。マスキングもしなくていいし。
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 この後はボディの下地を整えるためにヤスリガケをするという工程。スポンジヤスリ等を使って地道に作業します。意外とね、上の写真みたいにヒケが見つかったりするんです。あ、ついでに書いておきますと、絶対スポンジヤスリじゃなきゃダメって事じゃないですからね。普通の紙ヤスリでも同じような作業が可能です。ただ経験上、こういう曲面を整えるにはスポンジヤスリの方が綺麗にいくなぁってことが多いので。必ずいらっしゃるんですよ、「どうしてもスポンジヤスリじゃないとダメですか?」って言う人が。その辺りはそれぞれの環境に合わせて工夫してくださいね。それも模型の楽しみですから。
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 そ・し・て、そんなふうに無心に作業をしていたらやっちまいましたよ。ちょっとだけ。リアのコクピットのすぐ後あたり。
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 ふと気になってもうひとつのキットのほうをを見たら、こんな所にディテールがあった! すっかりきれいにしちゃった。こういうところは最初にスジボリを深くしておいてから作業すれば、なんてことはないところなんですけどね。ほらもう、勢いで作業しちゃうから(笑)。でもなんとなく気になったってことは、頭のどっかにあったんだろうな「ここに何かがあるぞ」みたいなことが。
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 こうなってからの解決方法はただひとつ。スジボリを彫りなおす。ただ、三次曲面の上の極小の楕円形ですからね。やや難易度が高い。そこで、ちょうどいい形に切り抜いた0.3mmプラバンを瞬着で仮止めしてスジボリをすることにしました。後で引っぺがしてヤスリで馴らせば良いというわけですね。

 さて、ここからは機体下面のクラウディア・ユニットを作りましょう。
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 まずはパーツを切り出すときの注意点。このキットはあちこちにアンダーゲートが設けられています。特にこのクラウディア・ユニットの中央部は接合面になるのでしっかりと処理をしておかなけりゃなりません。
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 アップで見るとこんな感じ。曲面にゲート跡が残らないようにという配慮ですね。通常の手順でランナーから切放した後、デザインナイフやよく切れるニッパーなどでパーツに残った部分を切り落とします。
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 ゲート跡を切り取ったら接着面にヤスリをかけて接着面を整えておきましょう。
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 はい、こんな状態。これくらいまで接着面を整えておけば、接着してからスキマができて泣く、なんて事がなくなります。
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 で、これが左右の外装部を取り付けた状態。2個あるのは2キットぶん、いっぺんに組んでいるから。一機に1個ずつですからね。で、写真の左側はザックリと接着しただけの状態。右側は表面をヤスリで整えた状態。この部分は外装が3パーツ構成になっているので、こうして整えることで飛行機械らしい滑らかな曲線を表現しようという魂胆です。
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 これは後部から見たところ。写真左の接着しただけの状態に比べて、右側のフチが滑らかに繋がっているのがわかっていただけるでしょうか。ここも接着後にリューターやデザインナイフなどでフチを薄く、ラインが繋がるように加工しました。
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 ちょっと面倒なのが後端のクラウディア管に繋がる球状のパーツ。アンダーゲートの左右合わせになっていいるんですが、この合せ目がなかなか綺麗に消せない。球状のパーツは綺麗な球にしたいですからね。もうちょっと頑張ろう。
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 そしてこれがクラウディア管。クラウディア鉱石を液状にした物を加熱循環させて浮力や推進力にするというヴァンシップにはなくてはならない部分。キットパーツは1体成形されており、非常に繊細な出来となっております。
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 一体成形ですから当然上下にパーティングラインが出ます。そのライン消しに大活躍したのがこれ。ガイアノーツのスーパースティック砥石。太目のシャーペンに研磨素材を入れてヤスリとして使うというものなんですが、これが大変重宝しました。クラウディア管っていうくらいだから、やっぱりパイプを加工してできてると思うんで、パーティングラインはきれいに消しておきたいですからね。
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 先端はこんなふうに四角くなっていて、400、800、1200番の3種の砥石が付属しています。あるのは知ってたんですけどね。なんとなく使ったことが無かった。ただこのクラウディア管みたいに隙間がないところをヤスるのは非常に便利だということがわかりました。なんでもとりあえず使ってみないことにはわからないもんですなぁ。

 さてさて、それでは今回はこの辺で終了。ただこのままじゃ寂しいので仮組みの写真を載せておきましょう。
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 もうお気付きの方もいると思いますが、今回の作例ではヴァンシップとヴェスパ、それぞれ3機づつ、カラーリング違いで完成させようと思っています。はてさてどうなることやら、次回も楽しみにお待ちください。

 そして、よく考えてみると2012年の「やたら模型制作室」も今回が最後。諸般の事情で1月4日の回は1回休みを頂いて、2013年1月11日よりこの続きをご覧頂こうと思っております。なにはともあれ本年もご愛顧頂きありがとうございました。来年もモデラーズ・プレス・ジャパン共々宜しくお願いいたします。
皆様、どうぞよいお年を! さぁて、年末年始は何を作ろうかなっ!

 ってところで来年も、乞御期待!!

(C)2011 GONZO/ファムパートナーズ


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