線香亭無暗のやたら模型制作室
 はい皆様、1週間のご無沙汰でした。
 最近ね、ずーっとアニメばっかり見てます。自分でもよく飽きないなぁと思うんですが、中々飽きないんですねぇ、これが。もちろん昔見たものをもう一度っていうのもあるんですが、一時期は他のことに凝ってて見ない時期があったりして、その時期のものを見直したりするのが非常に興味深い。妙に感心したり、感動したり、時代性と対比して評価しちゃったりして。中にはこれこそ名作! というものもあったりして侮れません。特に最近は歳をとったせいか、昔だったら食指が動かなかったような作品でも、あらためてじっくり見直すことで再評価できるなんてこともあって、人生長く生きているといろんなことがあるなぁ、なんて思ったりして。今回のお題もそんなふうに再評価した作品のうちのひとつ。作品が面白かったら、そこに登場する物を作りたくなる、というのがモデラーの性。そんな按配で「やたら模型制作室」、今回も張り切ってまいりましょう!

 さて、今回からのお題はこれ!

 アオシマ 1/24 「サイバーフォーミュラ スーパーアスラーダ-AKF-11(ダブルワン)」です。
 「新世紀GPX サイバーフォーミュラ」は元々1991年に放映されたTVシリーズ。TV放映時に大人になっちゃってた年代の方には少々馴染みが薄いかもしれません。

 「サイバーフォーミュラ」とは劇中に登場する、無公害エンジンとナビゲーション用の人工知能「サイバーシステム」を積んだ近未来マシンで行うカーレースのこと。このレースを通じて主人公 風見ハヤトを初めとする様々な登場人物がぶつかり合い、挫折し、成長していく姿が描かれています。レースシーンは見所・迫力満点で、サンライズアニメならではの疾走感。福田己津央監督の面目躍如という所でしょうか。マシンデザインは河森正治氏。基本構造は当時のフォーミュラマシンなどをしっかりと踏襲しながらも、「ブースト」や「エフェクトファン」「変形」、果ては「流体金属マシン」なんていうとんでもないものまで登場したりして、かなり“フューチャー”な感じ。シリーズ構成は星山博之氏。主人公とライバルたちのドラマを主軸に、主役マシン搭載のAI「アスラーダ」(車名もAIの名前もアスラーダなんです)とハヤトの関係性や、ピットクルー、スタッフなどが織成すドラマにぐっと来たりして、さすがだなぁと感心させられます。
 TV放映後も人気は衰えず、「新世紀GPX サイバーフォーミュラ 11(ダブルワン)」、「新世紀GPX サイバーフォーミュラ ZERO」、「新世紀GPX サイバーフォーミュラ SAGA」、「新世紀GPX サイバーフォーミュラ SIN」と、4作のOVAシリーズが発表されました。ちなみに「新世紀GPX」と書いて「フューチャーグランプリ」と読みます。この「夜露死苦!」みたいなサブタイトルにも妙に年代を感じたりして。
 そして、昨年12月に発売されたTV版BDボックス「新世紀GPX サイバーフォーミュラ BD ALL ROUNDS COLLECTION ~TV Period~」に続き、本年2012年11月21日にはOVA全作品を収録した「新世紀GPX サイバーフォーミュラ BD ALL ROUNDS COLLECTION ~OVA Series~」が発売! 詳しくはこちらをご覧頂いて、つい先日もイベントが行われたりして、今だ衰えない人気のサイバーフォーミュラ。その魅力については追々語っていこうと思います。まあ正直、このアニメを見たことのない方にとってはなんじゃこりゃ? というアイテム選択かもしれません。いいんです。こういうのもやっちゃうのが、この「やたら模型制作室」のいいところ。それではアオシマ 1/24 「サイバーフォーミュラ スーパーアスラーダ-AKF-11」でしばらくお付き合いのほどを。


 今回のお題「スーパーアスラーダ-AKF-11(ダブルワン)」はOVA「新世紀GPX サイバーフォーミュラ 11」に登場する主人公 風見ハヤトが駆るマシン。キットはOVAシリーズのBDボックス発売記念として、OVAリリース当時発売されていたキットに新たなデカールとエッチングパーツを追加して再販されたもの。パッケージのゴールドシールがその証です。TVシリーズから一歩進んだ新世代アスラーダの第一号車ですから、気合を入れて取り組みたいと思います。

 それじゃあ恒例のランナーチェックとまいりましょう。

 まずは足回りとシートなどが納まったランナー。このキット、同シリーズのキットと一部のパーツが共通になっているので、いつものように「A、B、C枠」というふうに、順番には続きません。ただパーツ番号はちゃんとパーツごとに違っているのでご心配なく。

 お次はコクピット周辺、リアウイングなどのパーツ。このランナーに付いているホイールとコクピットのカバーは使用しなかったりします。

 これはリアカウル周辺のパーツとコクピットカバーのランナー。リアディフューザーなんかも入ってますね。ちなみに、このキットの成型色は白と黒、クリアーパーツという構成になっています。カラーリングは塗装で再現という事になります。

 続いてサイドポンツーン周辺やダブルワン用のホイールなど。この「アスラーダ」、実にいろんなバージョンがありまして、TV版だけでも「アスラーダGSX」「ニューアスラーダ」「スーパーアスラーダ」というマシンが登場します。この「スーパーアスラーダ11」はOVAで描かれた「2016年 第11回サイバーフォーミュラGPS」の第5戦で投入されたニューマシン。

 お次はメインモノコック、タイヤ、クリアーパーツなど。そうなんですね、このマシン、P34みたいな6輪なんです。モノコックはちょっと不思議な成形になってますね。

 車輪はポリキャップと金属棒で止めるようになっています。まあ、この方が組み立ては簡単なんですが、スケールキットとして捉えた時にどうなのか? その辺りは組み立てながら考えましょう。

 キット付属のデカールは2枚。写真左の横長のほうは以前のキットにも付属していたもので、写真右の縦長のものが今回の再販で追加されたニューデカール。

 そして、これが今回追加されたエッチングパーツ。シートベルトのバックルや金具がエッチングで付属、ベルト自体はノリ付きのシートで再現されます。ちょっと前に話題になったアオシマのカーモデル用シートベルトと同じ仕様ですね。

 そして、1/24スケールでフィギュアも付属。OVAシリーズになって登場した「クレア・フォートラン」嬢です。こんなにフェミニンなお嬢さんですが、実は優秀なマシン開発者。マシン名の「AKF」は「アスラーダ・風見・フォートラン」の略称なんですって。知ってました?

 さてさて、それでは早速制作に取り掛かりましょう。

 まずはフォーミュラーマシンの基本、モノコック回り。フロントのスイングアームはアンダーモノコックと一体成形となっています。

 スイングアーム部分を正面から見てみると――う~ん、大分太い感じがするなぁ。90年代のF1を思い出してみても、これほど太くはない。むしろ「こんなに細くて大丈夫?」ってくらい華奢な印象があります。フォーミュラーマシンの魅力のひとつが「無骨なモノコックから伸びる華奢なスイングアーム」だと思うので、ここは薄く加工したいところ。強度の関係もありますから、その辺りはひととおり組んでみてから考えましょう。

 ということで組んでみたシャシーまわり。“フューチャーGPX”だけあって、ところどころ面白い構造になってますね。

 まずはフロントまわり。スイングアームが上下1本ずつしかない! それと謎なのが真ん中に通じるシャフト。これってドライブシャフト? 4輪駆動、いや、6輪駆動ってこと??

 設定画にも確かにシャフトが通ってる。で、いろいろ調べてみたんですが、これがドライブシャフトだという記述はどこにもありませんでした。なんかこう、フューチャーな部品らしい。知ってる人がいたらこのシャフトが何か教えて!

 こっちはリアまわり。これは比較的スタンダードな形状。ブレーキディスクのパーツの中にポリキャップが入っていて、そこにホイールを止める仕組みになっています。

 で、いきなりやらかしたのがココ。リアディフューザーに違うパーツをくっ付けちゃった。ほらもう、ちゃんと説明書読まないから(笑)。あわてて引っぺがして正しいパーツを付けました。皆さんもご注意あれ。

 ここまで来るのに、大分資料をひっくり返しながら検証してみたんですが、このキット、大分キャラクターモデルよりに作られていることがわかりました。これは個人的に感じることなんですが、サイバーフォーミュラを形作る魅力のひとつとして、製作スタッフの「俺たちはカーレースが大好きなんだよっ!」っていう情熱があると思うんですね。そう考えるとそういう情熱を再現するにはちょっと物足りない感じがする。ということで今回の制作コンセプトは「フォーミュラーマシンのスケールキットのように仕上げる」に決定! 多少設定と異なっても、よりレースマシンっぽく、「こんな車ありそう!」って感じの仕上がりを目指したいと思います。


 ということで、いきなりスイングアームを切放し、アンダーモノコックを接着して成形。

 切放したスイングアームは薄く成形して後で取り付けます。いきなりの大技に見えるかもしれませんが、こういうのはF1モデルなんかでも良くやる手法。こっちの方が最終的にきれいに仕上がったりするんです。

 フロント周りの元パーツとの比較。シャフトの取り付け部のディテールなんかも削っちゃってます。結局は後で再現するんですけどね。

 モノコック部分は80年代後半のF1でトレンドだったボックスモノコックを意識しているようなので四角を意識して成形。このタイプのフォーミュラーマシンは、このモノコックの無骨さが魅力だったりするので、しっかり形を出しておきます。


 ひととおりモノコックを弄繰り回したらカウリングなどの外装部分を組み立て。なんだか、あちこちが気になるぞ。

 まず目に付いたのがフロントウイング。キットではノーズコーンと一体になっています。ウイング部は2段になってるはずが、ここも一体。これは別パーツじゃないとまずいだろ。

 ということで、下のウイング部分を切断。ハイパーカットソーを使って丁寧に切り離します。

 はい、こんな感じ。潔良いです。

 上側のパーツはウイング部分を削り込んでウスウス攻撃。写真は作業途中であんまり薄く見えませんが、元々厚みがあるんで、これでも大分削った後です。この後、満足するまで、さらにウスウス攻撃を続行しました。

 アンダーウイングは切り取った部分に大きめにプラバンを継ぎ足して成形。大きめにしたのは組み付けしてから最終的な大きさを決めたかったから。

 ということで、仮組みしながらアンダーウイングの形状を決定。でもこれだけじゃ収まらなかった。

 前の写真でお気づきだと思いますが、どうしても上手く収まらない感じがしたんでアッパーウイングも一部切断しちゃった。で、切断面に1.2mmプラバンを斜めに切ったものを貼り付けて接着・成形。これでアッパーウイングの大きさと取り付け角度が変更できます。

 上から見るとアッパーウイングの形状変更の具合がよくわかります。写真左がキットのまま、右が変更後。アンダーウイングの見え方が大分違います。こうすることでアッパーウイングの終端と段付き部分の角度も変更することができます。空力的にはノーズコーンから左右の外側に空気を流したい所ですからね。こういう形状のほうが良いのではないかと。

 最終的にポリパテを盛って形状を整えたら一応の改修は終了。これでフロントウイングっぽくなった。

 フロントをやったら次はリアカウルまわり。

 まず気になったのは後端部分。

 キットパーツでは赤線で囲った部分に凹の段が付いていて、設定画を確認しても黒でツブされているんですが、ここはどう考えてもカウルエンドのリップ、もしくは小さいリアウイングみたいなもんじゃないかと思います。もしそうじゃないんだったら段が無いほうが空力的に有利ですからね。

 そこでまず、何も考えずにカウルエンド部を切断。凹部分を切り取りまました。

 切り取ったパーツはそれぞれポリパテを盛って成形。

 カウル本体の方は下側に取り付けるパーツの中にもポリパテを詰め込んで、カウルエンドを薄く加工しました。薄くするといえばこちらも同様。

 リアカウルのタイヤハウス周辺。この部分をリューターやヤスリなどを使って薄く加工します。

 はい、こんな感じ。これをやるとやらないのでは完成後の見栄えが違ってきます。カーモデルでは定番の加工といってもいいでしょう。

 表側から見るとこんなふうに見えます。写真左は無加工。右が加工後。一見して“納得できる厚み”になっているのがわかっていただけるでしょうか。1/24程度のカーモデルの場合、たいてい外形形状との比率としてパーツの厚みがありすぎるんで、こういう加工が物を言うわけですね。

 さて、次はやるかどうか随分と悩んだカウルの上面形の変更。リアタイヤが収まるカウリングとセンター部分との接合位置をナイフで削って少し後にずらしました。写真は左側だけ加工した状態。これ、一旦やり始めると他の部分にも影響があるので、なるべく手をつけたくはなかったんですが、設定画と見比べるとどうしても違う。設定画では「モノコックを中心にリアのタイヤハウスとしてくっ付いている」感じなんですが、キットパーツだと「中央部も含めたでかいパーツがかぶってる」風に見えちゃう。そこでなるべく別パーツに見えるよう加工しようと思います。

 まずは、リアのでっぱりの始まりを後退させたことで露出するようになった、モノコックとの接合部分の段付きを調整しましょう。これは1mmプラバンを貼り足して成形、それにあわせてモノコックの接合部の形状をちょっと修正すれば簡単です。

 問題は表側。継ぎ足した部分はラインを滑らかにすることで何とかなりますが、全体的な印象を変えるとなるとインダクションポッドの形状を修正する必要がありそうです。むうん、厄介。まあ、後で全体の印象を見ながら調整することにしましょう。

 で、そんな作業をしながら気になった他の部分を加工。

 これは左右のポンツーンのエア流入口のパーツ。写真左は加工済みのパーツ。これ、どういうことかというと、

 キットのままのパーツを取り付けると、流入口の角があるのでいかにも「模型」って感じになってしまいます。

 そこで、同パーツの角を滑らかに削りこんでみると、いかにも「空力的に考えてます」ふうに見えます。F1のダクトなんかはたいていこんな形状になってますからね。今回の作例は全体にこういった作業が多くなりそうな予感。

 それじゃあ、ここまでに修正したパーツを1回組んでみるか、というのが上の写真。と・こ・ろ・が、ですよ。こうしてみているうちにどうしても我慢できなくなって、この後にとんでもないことになってしまいました。どうとんでもないことになったかは次回ですな。とても今回では語りきれない。

 ということで今回はここまで。
 いやいやどうして、中々てこずらせてくれるスーパーアスラーダ-AKF-11。なんとか理想の仕上がりに近づけていきたい。何といっても元の作品が良いんでね。どうしても力が入っちゃうんですな(笑)。

 それでは今回はこの辺で。
 次回も「レッドゾーン!!」じゃなくて乞御期待!!


(C)サンライズ

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