はい皆様、1週間のご無沙汰でした。
この記事が公開される翌日、10月13、14日は幕張で開催される「第52回全日本模型ホビーショー」の一般公開日。会場では各社力の入った新製品が公開されるほか、様々なイベントなども用意されている模様。ワタシも会場に伺う予定にしておりまして、今から楽しみです。ただ、ホビーショー手前ということで、作り物やら原稿やらで、何かと喧しい日々を過ごしております。大丈夫かな? 全部間に合うのかオレ?ってか、この原稿も間に合うのか! という綱渡り人生となっております。まあ、何にせよ会場には行くんですけどね。
さて、今回はWAVE 1/24「ATM-09-DD バーグラリードッグ 改造パーツセット【孤影再び版】」、いよいよ完成編。張り切ってまいりましょう!!
さて、前回まででおおよその形になっていたバーグラリードッグ。
今回はまず、前回まででやり残した細かいディテールの追加から始めましょう。
まずはここから。
ミッションパックに付くミサイルランチャーの取り付け基部。キットパーツでは何もない状態なので、いかにも「取り付けてますっ!!」っていう表現をしようと思います。写真はランチャーの取り付け基部にディテールを入れる掘り込みを入れたところ。ピンバイスやデザインナイフ、リューターなどを使って掘り込みました。
ここにディテールアップパーツを貼り付ければディテールアップ完成。ランチャー側は掘り込んだところにウェーブのRリベットを、ミッションパック側のディテールは穴を空けたところにハイキューパーツの4mmのネジディテールを貼り付けただけ。両方ともレジンへの接着なので、瞬間接着剤を使用しました。
続いてはミッションパックのディテールアップ。
ミサイルランチャーが付く反対側の部分。「赫奕たる異端」では「ドロッパーズフォールディングガン」が装備されていたハードポイントです。この「孤影版」ではフォールディングガンが装備されていません。このまま組んでフラットブラックに塗ってもいいんですが、なにかフタ的なディテールが欲しい。
そこで写真の赤丸の部分をドリルやリューターで掘り込み、穴を深くしました。
そこにハイキューパーツのレンズプレートとミサイルランチャーの取り付け部にも使った4mmネジを埋め込み。これで結構それっぽくなったんじゃないかな? こういう左右共通のディテールにネジでティールなどを入れる場合は、同じサイズのものを使うのがポイント。実用機械として考えた場合、そういう構造の方が効率が良さそうですからね。
ついでに腰部のガトリングガンとショートバレルマシンガンの先端もメタルパーツでディテールアップ。今回メタルパーツの使用が多いのは、先日探し物をしていたらストックを発見したため。この辺りは皆さんそれぞれのセンスで使い分けてくださいね。
なんて作業をやってたら、やっちまいましたよ。
アンテナの先っちょを“ポキッ”とね。むうう、今回はキットパーツを使おうと思ってたのに……。
悩んでいてもしょうがないので、ウェーブCラインの1mmにテーパーをかけてアンテナらしきものをスクラッチ。Cラインといっても普通の真鍮線ですから、金工用のヤスリでゴリゴリ削ればテーパーをつけることができます。
で、キットのアンテナ部分を切り取ったら、1mmの穴を開けて自作アンテナを埋め込み。根元部分のスプリング状のディテールは、細いエナメル線を巻きつけて再現します。
巻きつけたエナメル線の両端を瞬着で止めたらアンテナの完成。うむ、これで丈夫になってよかった、と考えておこう。
アンテナもやったんだから、ついでにここもやっちゃおう、と引っ張り出してきたのが、こんなパーツ。
ウェーブの「Oボルト①」というディテールアップ・パーツ。ずいぶん昔に買ったものですが、このパーツを使います。
この3mmのパーツを使います。さて、どの部分のディテールに使うでしょう?
それは写真のフトモモ部分のマイナスモールド。写真でわかりやすいようにスミイレしてみました。キットのままではちょっと浅い感じがするんで、この部分を差換えようと。
取り付けは簡単。元のディテールの部分に3mmの穴を空け、差し替えるパーツを面位置まで差し込んだら、流し込みようの接着剤で止めるだけ。簡単な加工で効果が大きい改造です。
さあ、これでディテールアップもほぼ終了。塗装前に一度組み立てて最終チェック。
ううう~む。長いっ! まだ手が長いような気がする!! これ以上腕を短縮するとしたら、加工済みの二の腕か前腕部か、どちらかしかない。二の腕はもう接着加工しちゃったので、必然的に前腕部を加工するしかない。
ちゅうことで前腕部。手首の根元部分と両サイドのパーツの間に、少しスキマがある。ここで何とかできるんじゃないか?
これは両サイドのパーツを外したところ。思ったよりもスキマがある。よしこれで行けそうだ!
ということで、仮組みしたパーツをハイパーカットソーで切断。こういう加工の時は切断部が薄くてきれいなハイパーカットソーが大変便利。切断したパーツの断面にヤスリをかけて短縮します。
途中で何度も仮組みしながら切削作業を進め、ちょうどいい長さになったら最接着。写真左はキットのまま、写真右が加工済みの前腕部です。実際には1.5mm程度の短縮なんですが、数値より見た目の印象のほうが大きい改造。ぱっと見た目で大分短いように見えます。
再度仮組みしてバランス確認。うむ、腕を真っ直ぐ伸ばした状態でこれならいいだろ。ちなみに写真の右腕は前腕部の短縮作業をしていない状態。結構違うと思いませんか?
さあ、これで加工は終わり。お次はいよいよ塗装に入ります。
まずはレジンパーツにガイアノーツのマルチプライマーをエアブラシで吹き付けます。しっかり吹き付けておくと塗装の皮膜がしっかり乗りますから吹き忘れが無いよう注意しながら下地を作ります。
それが終わったらプラパーツも含めて全体にサフを吹きます。今回はサーフェイサーエヴォのグレーのものを吹きました。こういった改造キットを使う場合、レジンパーツとプラパーツの色と、塗料の乗りをなるべく同じにしたいので、サフで統一しておこうという作戦です。
で、まあ、サフ吹きすると気が付いちゃう各所のキズや合せ目の後。ここで手を抜くと後で悲しいことになるので、しっかり再処理。
ついでにディテールの追加。ここは一度リベットを削り落とした所なんですが、仮組みしてみたらやっぱり寂しかったので、結局追加。いいんです。ディテールもシャープになったし。
さて、お次はいよいよ本塗装。今回の1色目はこんな色。
ガイアノーツのライトグリーンにちょっとEx-ホワイトを足した色。今回はベース色に、数色の色を重ねて仕上げていきたいと思います。
こういく仕上げ方をする場合、いきなり重ねて塗装すると思いもかけない色になったりするので、テスト用のチップを用意しておいて、テストしてからパーツに塗ると安心です。色の乗り方や発色の様子なんかも確認できますからね。
塗装の始め、最初に塗るのは上の4色だけ。グリーンは前記のライトグリーンにちょっとEx-ホワイトを足した色、白はEx-ホワイトそのまま。ミッションパックなどのグレーっぽい部分はブルーグレーにEx-ホワイトを足した色、レッドはシャインレッドに同じくEx-ホワイトを足したものです。ここにいろんな色を重ねていって、細かいカラーリングを再現します。じゃあまず、オリーブグリーンの部分から。
まず下地色の上に塗るのはこんな色。ダークグリーンにEx-クリアーを4割くらい混ぜたもの。要は「ダークグリーンのクリアーカラー」を作るわけですね。後ろに見えている下半身のパーツは1色目の色を塗った状態。写真右のフタの裏を見ていただけると塗料の透け具合がおわかりかと思います。
上半身はこんな様子。ちょっとわかりにくいか。じゃあ、わかりやすいように比較写真。
写真左は足首、右は二の腕。それぞれ部分的に地の色を残すように塗装しています。こんな感じの色を重ねていると「別にクリアー混ぜなくてもいいんじゃないの?」といわれそうですが、普通のグラデーション塗装に比べて濃度のコントロールがしやすく、グラデーションの調子もつけやすくなります。それに今回は、この上にもう1色重ねてみようと思います。
はいこれがもう1色重ねた状態。写真左はダークグリーンを重ねただけ、右はクリアーブルーを吹き重ねた状態。クリアーブルーは、そのままでは効果が出すぎるのでダークグリーンと同じようにクリアーを混ぜて薄くしてあります。
もっとわかりやすいようにこんな写真を撮ってみました。写真の一番左は最初に縫った基本色のまま。右に行くにしたがって、何層かクリアーブルーを重ねていったもの。こんな具合にクリアー塗料を重ねてそれぞれのカラーリングの差を再現しています。この後、白い部分はクリアーイエローにクリアーブルーを足したものを重ねました。時間はかかりますが、塗っいて面白い手法です。AFVなんかでやるフィルタリングに似たニュアンスですね。
さあ、塗装が乾くまでの間、最後に残ったターレットレンズ部のディテールアップを済ませておきましょう。
このキットにはレンズ部分のパーツが付属していないのでHアイズの1と3ミニを用意しました。
メインのレンズと赤いレンズにはHアイズ1の5mmと3.5mmを、緑の小さいレンズにはHアイズ3ミニの2mmのものを使いました。写真でわかるように、それぞれにクリアーカラーでで着色。ターレットの緑の部分はレンズが入る部分の底面にハセガワのTFシートのクリアーグリーンを貼ったもの。このメインカメラの部分ですが、映像を見るとブルーともグリーンともつかないような微妙な色味で表現されています。これ、多分、一眼レフのレンズのような、複数のレンズが重なり合ってできる色味を表してるんだと思うので、グリーンをベースにブルーのレンズを重ねてみようという作戦。なので、レンズ部のグリーンは薄めにしておきました。
レンズを組み込んだところ。接着には少量のアクアリンカーを使っています。
バイザーに組み込んでみました。やっぱりレンズが入るとずいぶんそれらしくなりますなぁ。スリットの間から見える中身の目隠しに貼ったプラバンは、外から見える面をジャーマングレーで塗ってあります。
さて、こんなことをしている間に塗装も乾いたので、エナメルのブラックでウォッシング。溶剤で薄めたタミヤエナメルのフラットブラックを、スミイレも兼ねて平筆で全体に塗ります。これが乾いたら同じく溶剤を含ませたキムワイプで拭き取り。
さあ、これででき上がり、と思ったらローラー部分のパイプをつけるのを忘れてた。基部に1mm真鍮線を差し込んでおいて、瞬着で固定します。キットには黒いガラスチューブが付属していますが、設定色と違ったのでガンダムマーカーの「ガンダムグレー」で塗りました。このガラスチューブというヤツ、普通の顔料系塗料で塗ろうとすると後から剥がれてくるので、染料系の塗料を使用します。手軽に使える染料系塗料といえばタミヤのペイントマーカーやガンダムマーカーなどが代表格。こういうときのために何本か揃えておくと便利です。
ローラー側にも接着してパイプ取り付け完了。さあて、これでいよいよ完成だ。
さあ、これが完成したバーグラリードッグ。この後、ちょっと汚しなどをを追加してあります。詳しくはギャラリーでご覧ください。
いやいや、普段は作りなれないトランスキット。それなりに苦労はしましたが完成時の満足感はひとしおです。最近思うんですが、「組上げたらみんな同じ完成品」ってよりも「組んだ人によって出来上がりが変わる」手間のかかるキットのほうが、みていても面白い。こういったトランスキットなんていうのも、その類に入ると思います。まあ、なにより、今のところ映像に出てくるキリコ搭乗の最新鋭機ですからね。ボトムズファンとしてはそれが手元にあるっていうのが、まずうれしい。こういうのが立体化されるのがレジンキットのいいところなんですね。このところ「黒い稲妻旅団バーグラリー」とか「エルドスピーネ」とか、何かとリリースの続くウェーブのボトムズキット。この連載を読んで頂いている方々はもうおわかりかと思いますが、レジンキットはコツさえつかめれば、そう苦労しなくとも組上げることができます。どうですかひとつ挑戦してみませんか?
てなところで、無事バーグラリードッグも完成。
次回は何を作ろうかな? ってところで、お後がよろしいようで。
(C)サンライズ
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