線香亭無暗のやたら模型制作室
 はい皆様、“年末に新調した新しいニッパーが既にこと切れかかっているほう”線香亭無暗です。
 まあ、一応プロのモデラーなんでニッパーは消耗品。大体1年くらいで買い換えるんですが、今年は非常にニッパーの消耗が激しい! よく考えたら今年になってから既に60個以上のキットを組んでいるという、例年にないハイペースで模型を作っています。どこかに安くニッパー研いでくれるところって無いのかな? 知っている所はあるんですが、研ぎ代がニッパーより高いという按配なんで、気軽に研ぎに出すわけにもいきません。みなさん、どこか良い研ぎ屋さんがあったら紹介してください。
 という告知はさておき、今回はMGF 「1/8 バーナビー・ブルックスJr.」その2回目にして完成編。というよりも前回作例のワイルドタイガーから続いて『Tiger & Bunny』完成編といっても良い。しっかり作りますよ! ってことで、早速、張り切ってまいりましょう!!

 さて、前回で仮組みから塗装まで終わっていたバニーちゃん。

 これは塗装前の状態。今回はまず塗装についてのお話から。

 バーナビーのヒーロースーツに必要な色は、基本的に赤、ピンク、白の3種類。これに加えてポイントカラーとして入るシルバー、アンダースーツ用のブラックといったところです。さて、どんなカラーで仕上げようか、劇中のバニーちゃんを見ながらプランを練ります。
 普通に観ているとバニーのヒーロースーツの赤い部分は黄色の強い赤、つまり朱色に近い印象。ピンク部分も黄色味の強い感じがします。ただ劇中でもハイディテールで見せる部分(特殊効果バックの決めポーズなどの場合)は若干色味が濃く、白い部分はメタリックな仕上がりという印象。キットの成型色はどちらかと言うとこのハイディテール時に近いイメージじゃないかと思います。このあたり、どっちのイメージを選択するかは、これはもう個人の好み。今回の作例では基本的に劇中の普通の状態をイメージして塗ってみたいと思います。

 はい、こんな感じに塗りました。
 赤はガイアノーツのバーチャロンカラー「ローズブライトレッド」をベースに「プレミアムレッド」「ビビッドオレンジ」「EX-ホワイト」などで調整したもの。
 ピンク部分は「コーラルピンク」をベースに「黄橙色」「EX-ホワイト」を足したもの。
 白い部分は「アルティメットホワイト」をベースに塗っておいて、雲母堂本舗の「ビスマスパール」を若干クリアーで薄めて吹き付けたパール仕上げ。ワイルドタイガーの白部分を偏光パールで仕上げたので、なんとなくおそろいという雰囲気で。
 シルバー部分はタイガーと同様「Ex-シルバー」に「ブルーグレー」を足したもの。
 アンダースーツのブラックは「Ex-ブラック」なんですが、所々「Ex-フラットクリアー」を吹いて質感を変えています。

 で、前回「キットの成形色と劇中のカラーリングでは違いがありますが、それはどこでしょう?」的なこと書いたんですが、どこだかおわかりでしょうか?
 それでは正解。

 これがキット素組みの状態。

 そしてこれが今回の完成図。耳の前側のパーツはホワイトなんです。ちなみにアゴのパーツは唯一ここだけに使われている濃い赤。作例ではプレミアムレッドに若干のナチュラルブラウンを足したもので塗りました。

 で、続いてはグッドラックモードのパーツ。

 基本的には本体と同じ色で塗装してありますが、ちょっと面白い仕掛けをしてみました。

 この部分のパーツにはトップコートに「Ex-蛍光クリアー」を使用したため、UVライトに反応して青く光ります。劇中では、ホントはいろんな色に光ってるんですけど、まあ雰囲気は出るかな、と。

 さて、お次の作業は電飾。
 ワイルドタイガーでは頭部と両腕に電飾を仕込みましたが、バーナビーは頭部だけ。「目が光ればいいや、あとはUVライトまかせ」ってことで、あらたにLEDを仕入れてきました。

 それがこれ。小型の高輝度LED。バックに写っている方眼が一マス5mmなので、どれくらい小さいかイメージしていただけると思います。これ、本当は基盤等に実装するためのLEDなんですが、通常の砲弾型のものと同じようにも使えます。今回このタイプのLEDを使うのは、配置スペースに余裕がないため。

 裏側はこんなふうになっています。左右のシルバー部分が電極。ここにリード線などを半田付けして使うわけですね。

 ちなみに、この手のパーツは模型屋さんで買うよりも電気パーツ屋さんで買うのがお得。写真のものはかの有名な秋葉原の秋月電子で購入したもので、白色LEDが8個で300円。単価で言えば、模型店で売っているこの手のパーツの半額以下で手に入れることができます。通販なんかもしているので、近所にパーツ屋さんがない方は検索してみてください。

 例えばLEDに付き物の抵抗は100本で100円。模型に使うには一生分くらいある(笑)。やっぱり「餅は餅屋」なんで、専門店で購入するとコストも低く抑えられ、思いもかけなかった部材を見つけられたりします。まあ、半田付けを自分でやらなくちゃならなかったり、+-を間違えないようにしなきゃいけなかったり、場合によっては抵抗を挟まなきゃいけなかったりという作業があるんで、どうしても自信がないという方は模型関連メーカーの販売する、いわゆる「模型用製品」を買うのもしょうがないんですが、電気工作も“慣れ”なんで、機会があったら挑戦してみることをオススメします。やってみると意外と楽しいんだ。これが。何よりも、発想として『模型に使うものは模型屋さんで売ってるとは限らない』というのを覚えておくと、どこへ行っても「何か模型に使えるものはないか」という目を養うことにもなり、色々と楽しみも広がります。

 さて、それでは実際の電飾作業。

 これはもうあまり考えずに、頭部のインナーパーツにLEFが収まるスペースと配線が伸ばせるような穴を空けて取り付けるという作業。「削って通して」という作業なので、ちょっと手間のかかるディテールアップの作業と変わりません。案ずるより生むが易し。


 さて、これが済んだら各部の組み立て。頭部から出た配線は、首の付け根あたりに穴を空けてお腹の中に通します。

 そうしたら電池ボックスとスイッチを繋いでやればOK。写真では抵抗をひとつ咬ましてますが、実際に点灯してみた所、抵抗無しでもいけたんで、この後取り外しました。

 スイッチの配置場所は悩んだ末にこの位置に。胸パーツの下側になる部分にスイッチのツマミが出るように腹のパーツを削って取り付けました。ON/OFFは胸と腹のスキマから、細長いものを差し込んで行います。不便といえば不便ですが、これだと外側にスイッチを出さなくても良いんで、スマートに見えるんじゃないかと。ちなみに電池ボックスの配置や、配線スペース確保のため腹パーツの上部はずいぶん大胆に削り取りました。これでも組みあがったら見えない場所なんで問題はありません。

 組み付け後の図。このスキマからスイッチをON/OFFするわけです。この作業にはタミヤの調色スティックが非常に便利。本来の使い方とは違うけど(笑)。

 さて、こうして組みあがった電飾。試してみると、非常に調子がよろしい。

 輝度も高いし電池の消耗も少ない。ということで、一度組みあがったワイルドタイガーのLEDもこれに差し替えることにしました。

 前は頭頂部の内部ディテールを使って砲弾型のLEDを止めていたため、複雑な電極の処理が必要だったタイガーも、小型のLEDならすっきり収納。やっぱりこっちが正解だな。

 ということで、こっちも小改造。これまで一緒だった両腕のLEDと頭部のLEDを2系統にすることで別個に発光させるようにしました。いや、何度も本編を見ているうちに気が付いたんですが、目玉はいつでも光ってるけど、両腕は能力発動時に光るんですよね。これは別にできるならそれに越したことはない。ということで、バニーちゃんと同じように、頭部のスイッチは腹側に。

 碗部はLEDの挿変えは行わず、背中側にスイッチを付けました。腹側、背中側ともスイッチ取り付け部は削ってあります。これで腕と頭は別々に発光させられるようになりました。

 タイガーを組上げた後のスイッチ部。タイガーの場合、胸のでっぱりが可動するので、バニーちゃんよりもスイッチの操作がしやすい。

 よっしゃできた。と思ったら、まだ残ってましたよ、タイガー君。右腕のグッドラックモードの差換え。なんとか上手いことヒジ関節部に電極の接触部を仕込まなくちゃいけない。

 ということで、まずは下碗部。LEDから引いてきたエナメル線の端に0.1mmの真鍮版を半田付けし、ポリキャップの内側に接着しました。接着に使ったのはこういうときの強い味方「スーパーX」。異なった素材同士でも強力に接着してくれる万能型の接着剤です。詳しくはこのあたりの記事に書いてあるんで、そちらで確かめてみてくださいね。

 じゃあ、上腕部はどうするんだ、っていう写真。ヒジ関節のシャフトにエナメル線が半分くらい埋まるようにリューターで溝を彫り、そこに接着したエナメル線をヤスリで削った状態。テストした所、何の問題も無く両腕が点灯。グッドラックモードも取り付けられたということで、めでたしめでたし。

 さぁてお次はいよいよフェイスオープン状態の制作。フィギュアは下手なんであんまりやりたくないんだけど、これを外すわけにもいくまい。ということで、まずは塗装して取り付けてみました。

 ううむ、仕上げが下手なのを差し引いても、なんだか無表情すぎるな。たしかにフェイスオープンの設定画って、こんな顔してるんですけどね。

 なんとか表情のバリエーションを作ろうと、シリコンゴムとレジンを使って、顔部分だけを複製してみました。写真はタイガーの分。一番左がキットパーツ。右側ふたつが複製パーツに細工した状態。「ニヤリ顔」と「口開けた顔」。この後バニーの分も同じように複製。

 出来上がった顔パーツ。バニーはわりと表情が控えめなので、「ニヤリ顔」のみ制作しました。ううむ、ギャラリー撮影の前にもうちょっと手を加えよう。

 で、顔の複製のついでに手首も複製して作ったのがタイガーの「ワイルドシュートの持ち手」。写真外側のふたつがキットパーツで、これをシリコン&レジンで複製。完全硬化一歩手前で取り出して、指部分を曲げたのが中側のふたつ。完全硬化前のレジンはこういう技が使えるんで便利です。

 これで、ワイルドシュートもしっかり持てる。

 ちなみに、バーナビーの手はけっこう複雑な塗り分けです。筆塗りでちょっときたなくなっちゃったので、この後修正しましたけどね(笑)。

 さぁて、これで完成のタイガー&バニー。なんですが、

 「何か寂しくないか、これ」って思っちゃった。何でだろうとよくよく考えた結果、これが原因じゃないかと。

 付属のスタンド。長時間安定してディスプレイしておくためには必要なんですが、“いかにもスタンド”っていうのはちょっと寂しい。そこで、このスタンドに取り付けられるベースを作ることにしました。

 で、まず用意したのが型紙。本編を見ると二人が戦う場所でよく出てくるのはアスファルトの上なんですが、それだとちょっと寂しい。そこで、公園や遊歩道などで見るようなレンガ造りの地面を作ることにしました。このスケールに合うようなものがあれば、買ってきて貼り付ければいいんですが、あいにく非常に流用が利きにくいサイズ。じゃあ作っちゃえ、ということで、コンピューターでレンガ模様を作ってみました。使ったのはアドビのイラストレーターというベクターソフト。まあ、シンプルな幾何学模様ですから、イラストレーターじゃなくてもできるんじゃないかと思います。

 で、プリントした型紙をスプレーボンドで1mmプラバンに貼り付け。出来上がったときの見栄えなんかを想像しながら角度を決め、スタンドのベースの部分をどう配置するか寸法を取ります。

 ベース部分の配置が決まったらスタンドのシャフトがはまる部分の穴を空けます。計ってみたら25mmほどの穴を空ければOKということがわかったので、サークルカッターでその部分を切り取りました。

 さあ、お次は表面のディテール制作。使うのは1.5mmの丸ビットとリューター。いや、Pカッターとかきれいに直線が出るもので入れていってもいいんですけど、素焼きのレンガとかって、けっこうラインがグニャグニャしてるでしょ。まあ、リューーター魔人としてはこっちの手法のほうが面白みが出るんじゃないかという魂胆もあるんですけど。

 で、ラインに沿ってフリーハンドで溝を彫っていき、全部掘り終えたら型紙を剥がしてアルコールで表面を拭き、糊を落とす、という作業。

 あとはラインに沿って彫刻刀の平等で切り出せばこんな感じにでき上がります。これに色を付けると、

 こんなふうになります。塗装はサーフェイサーを筆塗りして凸凹感を出した後、ナチュラルブラウンにイエローや白を足したもので下地を塗り、その塗料をベースに茶色を足したり、グレーを足したりして塗り重ねていったもの。ポイントカラーの赤はクリアーレッドとブラウンを足したもので、軽~く乗せただけ。その上からフラットクリアーでコートして、部分的にリキテックスの白や茶色でドライブラシ、といった工程を踏んでいます。

 うん、これなら寂しくないね。ちなみに

 こんなふうに真ん中から分割することもできます。単体で飾る時に便利でしょ。

 さて、そんなこんなでMGF「Tiger & Bunny」も無事完成。後はギャラリーでお楽しみください。

 いやー、今回の虎徹君とバニーちゃん、思ったよりも作業量が多くなっちゃって大変は大変だったけど、非常に楽しんで制作することができました。やっぱりこう、思いいれの強い作品に登場するキャラクターは手がかかってもあんまり苦になりませんな。なによりもこの2人のインジェクションキットがあるというのがうれしい。バンダイさんありがとう。できれば折紙センパイとか天然スカイハイとか猛牛戦車とかも出していただけると、私は大変うれしいです。


 さて、今年9月22日から劇場版も公開予定の「Tiger & Bunny」。まだまだ楽しませてくれそうですね。楽しみに待ちましょう。

 それでは今回はこの辺で。
 お後がよろしいようで。

(C)SUNRISE/T&B PARTNERS, MBS

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詳しくはバンダイホビーサイトへ


2 Responses to “バンダイ MGF 「1/8 バーナビー・ブルックスJr.」 その2 完成編”

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