線香亭無暗のやたら模型制作室
 はい皆様、1週間のご無沙汰です。
 梅雨、梅雨、梅雨ですよ!! とうとう一年で一番塗装のしにくい季節がやってまいりました。とはいえ、梅雨だから塗装やめとこう、というわけにいかないのが職業モデラーの辛いところ。エアコンでドライをかけながら、扇風機で部分的に湿度を下げながら、はたまたリターダーやメタリックマスターを駆使しながら梅雨との戦いが続く訳です。そんな中で一日でも晴れた日があったら、これはもう喜び勇んで塗装をするんですが、翌日がまた雨だったりすると余計に塗装しにくく感じたりする。で、やっと梅雨が明けたと思ったら今度は湿度が高い夏ですからね。もう早く10月くらいになってくれればいいのに。もう一年中10月でもいいくらいに考えてるんですが。あれ? そんなこと考えてるのワタシだけ??
 さぁて、それではバンダイ 1/100 MG 「RMS-108 マラサイ」今回はいよいよ完成編、入梅にもまけずに張り切ってまいりましょう!!

 前回は上半身の加工を終えて、今回は下半身の加工、塗装、仕上げまで、一気にご覧いただきます。

 まずは、下半身のパーツを全部分解。

 これができるのがバンダイキットの良いところ。仮組みしてからしっかりバラせるっていうのは大変ありがたい。

 で、まず手を付けたのが股間の関節部分。今回の制作に当たって何度もばらしたり組み立てたりを繰り返したからかもしれませんが、ちょっと関節が緩めな感じがします。マラサイの脚部は大ボリュームですから、しっかりと組みつけておきたいところ。そこで瞬間接着剤を使って関節パーツの組付けを調整することにしました。

 といっても作業は簡単。関節のシャフト部分に瞬間接着剤を塗るだけ。

 ただ瞬間接着剤といっても色々種類があります。上の写真で言うと一番上が低粘度、真ん中が標準くらい、下が高粘度。それぞれ使いどころがあるんですが、今回のような作業をするには中粘度のものか、高粘度のものが適しています。ちょっと太らせたい時は中粘度、大きく盛りたい時は高粘度の瞬着を使用するといいでしょう。今回は中粘度のものを塗りつけた後、瞬間接着剤の硬化スプレーで固め、組付けを確かめながら軽くヤスリガケしました。低粘度の瞬着は流れてしまうことが多いので、こういった作業には不向きです。

 続いてはヒザの後ろのパイプのアトハメ加工。

 本当は無理にアトハメにする必要もないんですが、まあ、この方が若干作業が楽になるかも、といったところ。こうするとヒザの関節パーツを組んだまま塗装して、塗装完了後に接着剤で止めることができます。

 さて、続いては懸案の脚部スラスター。

 足首の左右に付くスラスターです。写真左が加工前、右が加工後。

 作業はいたって簡単。ピンバイスで開口した後、エッジをシャープに整えただけ。あ、こういう穴あけは細い径のドリルで下穴を空けてから広げていくときれいに開口できます。

 内側のスラスターは開口した後フチを薄くした3mmプラパイプを差し込みました。これだけでぐっと見栄えが良くなるはず。

 ついでにバックパックに付く小さいスラスターも同じように加工しました。同じような加工は一気にやってしまったほうが効率がいいんです。

 お次は各部のウスウス攻撃。

 まずは脚部外側のベクターバドルから。このパーツは裏側にディテールがあるので、外側部分をフチにかけて薄くなるように削りこみました。

 こうして見るとわかるかな? 写真左が加工後、右が加工前のパーツです。

 脚部内側のフェアリングパーツはスラスターのカバー部分だけをウスウス攻撃。これも写真左が加工後、右が加工前です。こうすることで「脚部フェアリング=装甲」と「スラスターカバー」の差を演出しようという魂胆です。

 オマケとしてフトモモ前面のディテールをピンバイスとデザインナイフで開口。これはザクVer.2.0の意匠を受け継ぐディテールです。いや、ウチにあるザクも開口したので、おそろいということで。

 さて、この辺で今回に持ち越した可動式シールドの工作。
 実は今回、ちょっとした仕掛けとして、この可動式シールドに面白い加工をしてみようと思います。

 まずは表面部分のディテールを削り落としてフラットな面を作ります。

 そうしたら表側のパーツの側面を削り取ってスリットを作ります。このマラサイのシールドの裏側のパーツには、表面のパーツにはめ込むように内枠が付いているので、外側にスリットを彫っても”穴が空いて丸見え”ということにはなりません。じつはそういう構造を見てこんな加工をしてみようと思いついたんですけどね。ちなみにスリットの加工は上の写真のようにリューターを使っています。大丸のビットの直径の分づつ削っていけば同じ長さのスリットが作れるという仕掛け。

 リューターで削り終えた状態。この後ヤスリやデザインナイフで形を整えてスリット加工は終了。

 続いては0.3mmプラバンに表側のパーツをあてがって形を写したものをベースにして、ひとまわり小さく形をとります。こんなふうに形をとったプラバンを切り出したのが次の写真。

 最初に切り出したものを定規代わりに2組のパーツを作りました。勘の良い方ならもうおわかりですね。

 これをシールドに貼り付ければ増加装甲のでき上がり。装甲部分には0.5mmのピンバイスで穴を空け、取り付けボルト的なディテール入れました。まだこれだけじゃ終わりませんよ。ちょいと面白い増加装甲に仕上げようと思ってますが、ポイントとなるのは「塗装」。続きは後ほどご覧いただきましょう。

 てなところで、全体の工作は終了。非常に素性のいいキットなので、手を入れるのは最小限にとどめました。お次はいよいよ塗装。ということで、まずはこんな所から。

 まずはコクピット部分の内側から。マラサイは360°モニターになってるんですが、さすがに内側に景色は描けない。そこでそれらしい雰囲気を出そうということでシルバーの上にクリアーブルーを重ねてメタリック仕上げにしてみました。これが乾燥したらシート部分をガイアノーツのニュートラルグレーⅢで筆塗り。

 塗装したパイロットフィギュアを乗せてみましたよ。ううむ、中身はほとんど見えないけど、反射光でなんとなくブルーっぽく見えるから満足。

 お次はフレーム部分の塗装。

 まずは脚部フレームにシルバーを塗りました。新素材を採用している部分なんですが、難なく普通に塗装できました。

 そしてその上にクリアーイエロークリアーオレンジを混ぜたものを塗り重ねてゴールドにしてみました。いや、この部分、組み立ててしまうと見えなくなっちゃうんで、そんなに凝った塗装をしなくてもいいかな? と思ったんですが、新素材のテストも兼ねてあえて面倒な塗装に挑戦。ABSにこの手の塗装をするのは結構面倒なんですが、さすが新素材。何の問題もなく塗れちゃった。

 問題ないとわかればこっちのも。塗りあがったゴールド部分をマスキングして、サーフェイサー エヴォ ブラックでフレームパーツの下地作り。この後シルバー→クリアー50%+ニュートラルグレーⅢ50%と塗り重ねたのがこちら。

下地に塗ったシルバーがわかるかわからないかぐらいにクリアー50%+ニュートラルグレーⅢ50%を重ねていったもの。これ、前からの懸案だったんですが、なんとかフレームの金属感を再現できないか、という工夫です。「一見グレーなんだけど、どうも光の反射加減が違う」というあたりを目指しました。

 ううむ、写真じゃわかりづらいか……。もうちょっとグレーを薄めにしておけばよかったかな、と思いつつも出来上がったものはしょうがない。この教訓を次回に活かそう。

 ちなみに装甲の裏はサフの黒を活かしたグラデーション塗装、各部のパイプの芯はスターブライトアイアンを塗り、フラットクリアーで艶消しにしました。

 さて、続いてはいよいよ外装部分。今回のマラサイ、どういう仕上げにしようかだいぶん悩んだんですが、オレンジに赤の仕様は模型誌に載ってるし、ユニコーンに出てきたやつもあった。ということで今回の仕上げは『ティターンズカラー』。ティターンズの量産機なら、あのブルーのカラーリングのものがあってもいいんじゃない? と考えまして、ティターンズカラーのマラサイに仕上げてみようと思います。イメージソースはガンダムMk.Ⅱやジム・クゥエル。おお、なんだかかっこよく仕上がりそうじゃないか!

 ということで早速調色、なんですが、これが一筋縄じゃいかなかった。

 ティターンズカラーといえば濃紺に深いブルー、それに赤と黄色がポイントとして入ります。濃紺の部分はZガンダムのタイトルにもあるように「黒いガンダム」と呼ばれるほど深い紺色。明るい方のブルーも決して抜けたような青ではなく、暗めなんだけど鮮やかな青といったイメージ。MSに塗る青は難しいんだよなぁ、とぼやきつつまず出来上がったのがこちら。

 純色シアンEx-ブラックウルトラマリンブルーを足して作った色。ハイライト部分がブルーに見えるくらいの紺色です。この塗料を、ノーマルカラーの濃い赤の部分にサーフェイサー エヴォ ブラックを下地にして塗り重ねていきました。

 今度は明るいほうのブルー。こっちの方がもっと問題。さんざん調色を繰り返して決めたのがこの色。

 結局、いっぺんに塗料を乗せるだけでは鮮やかなブルーは再現しきれない。ということで何層か重ねることで青の深みを出すという手法をとることにしました。

 ちなみに使ったのはバーチャロンカラーのアイスコバルトブルーウルトラマリンブルー。アイスコバルトブルーに使われている青の顔料は、恐らくウルトラマリンブルーと同じものなので、ウルトラマリンブルーと白でもいけそうですが、たまたまこの組み合わせになったんですね。単にアイスコバルトブルーを使って何とかできないか試してるうちにたどり着いたという(笑)。

 じゃあ明るいブルー部分の塗装。

 まずは胴体部分に使った濃紺で下塗り。

 その上に3回ばかり明るいブルーを塗り重ねたのがこちら。よく書くけど写真でみるとホントにあっという間だな(笑)。しかしまあ、塗装してて改めて気が付いたんですけど、このMGマラサイ、本当にいいラインしてます。頭部のところでも書いたんですが、もうフェティッシュといっていいくらいの美しく複雑な曲面。多分相当こだわって開発したんだろうなぁ……。

 このブルーとは別工程で、この作例オリジナルの”もう一色のブルー”も進行中。

 はい、この部分。先ほど改造した可動式シールドの部分ですね。ここはシルバーを下地にクリアーウルトラマリンブルーを塗り重ねてメタリック表現をしてみました。設定としては『試験的に導入された対ビームコーティング装甲』といったところ。百式もある時代ですからね。そんなものがあっても良いのではないかと。


 てな具合で一通り塗りあがったパーツを組み立ててみました。おお、結構いいじゃないか! 黄色と赤の配色は考えた末ジム・クゥエルの面積比を参考にしました。さあ、あとはデカールを貼ってトップコートで完成だ!

 と思ったらこいつが残ってた。そうです、バリュートを忘れちゃいけませんね。こちらはミッドナイトブルーを下地にフレームに使ったグレーを塗り重ねたもの。白い部分はお馴染みのインテリアカラー。赤はマラサイに使ったものと同じ色を使っています。

 思い出しついでに、キット付属の1/100フィギュアも塗装。もう老眼で、こんなに小っちゃいモノは塗れないよ……。

 ちなみにシールドはこんなふうに完成。これは大いに満足。

 そして出来上がり一式。このカラーリングだと意外なほどに連邦チック。というかアナハイムチックなんでしょうね。カラーリングだけでそう見せてしまうほどキットの形状が煮詰められているという事だと思います。ノーマルカラーでは気が付きにくい魅力ですな。苦労した甲斐があった(笑)。後はギャラリーでお楽しみください。

 さて、今回でMGマラサイも無事完成。初回に書いたとおり、MGシリーズの新たなターニングポイントとなりうるエポックなキットでした。究極のディテールとギミックを盛り込んだMGザクVer.2.0が模型史上に残る名キットなのはもちろんですが、その設計をベースにしながら適度な簡略化による作りやすさと、徹底的なプロポーションの追及と可動の接合点を探そうとするMGマラサイも、やはり名キットと呼んで良いと思います。こういった素性を持つキットは、得てして作り手の度量を試すもの。それぞれが思い思いのマラサイを組上げて欲しいなぁと思います。

 いやぁしかし、今回ブルーでこんなに苦労するとは思わなかった。やっぱり青は難しいなぁ。しかも塗装日は連日雨。これからしばらくは塗装しにくい日が続きますが、雨ニモ負ケズ、風ニモ負ケズ、日ガナ一日模型ヲ作リツヅケル。ソンナ人ニ、私ハナリタイ。

 そんなこんなで今回はここまで、次回は何を作ろうかなぁ!
 てなところで、お後がよろしいようで。


(C)創通・サンライズ


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