線香亭無暗のやたら模型制作室
 はい皆様、1週間のご無沙汰です。
 ここ数週間、他に何をする余裕もなく模型を作り続けているワタクシ線香亭。その締め切り間際に、誕生日プレゼントが届きました。その内容がすこぶるイカしてまして、なんと最近ハマリまくっている装甲騎兵ボトムズのグッズセット!! もう戦隊ヒーローが自宅に遊びに来た5歳児のごとく狂喜乱舞して遊び倒したろう! と思ってふと考えました。もしやこれは恐怖の締め切りブレイカー、いや、もはやクラッシャーといっても過言ではあるまい。そう、ワタシは大人だ。それもいい歳をした大人だ。これは1/60ガンキャノンが出来上がってからゆっくりと楽しもう。そう思いながら、そっと箱から出した一体を仮組みした1/60ガンキャノンの隣に並べるのでした。そして残りのアイテムがワタシを呼んでいる! よし、今回も頑張るぞ!
 ということで、「1/60ガンキャノンを作る その7」張り切って参りましょう!

 まず最初は恒例の前回までの写真。

 複製コース行きのパーツも大体揃った状態。そこで今回は複製作業から始めましょう、

 一口に「複製」と言っても、実はいろんな種類があるんですが、模型で一般的なのは、繊細なディテールや複雑な形状でも複製可能な「シリコーンゴム」と「無発砲ウレタン=レジン」を使用するもの。元々は歯科技工用の技術だったものをガレージキット制作に流用したのが始まりです。
 メリットは先に書いたように繊細な形状を再現できる、ある程度なら量産することが可能なことなどが挙げられます。デメリットはそれなりに慣れがいり、多少面倒な工程を踏まなければならないことと、材料が比較的高価なこと。型を作るためのシリコーンゴムは販売価格で1kg 3,000~5,000程度。注型するレジンキャストは2kgで3,000~4,000程度といった所でしょうか。小さなパーツを複製するのならそれなりの量で足りますが、1/60の模型のパーツを複製するとなると、結構な出費になります。そんな予算なんかあるわけがないのがこの連載。自腹持ち出しとなると相当痛い! ということでウェーブさんに相談してみた所、快く関連素材をご提供いただけることになりました。ウェーブさんありがとう!!


 というわけで届いた注型素材。援軍来る!!

 まずはこれ。「WAVE レジンキャストEX ノンキシレンタイプ [アイボリー] 120秒タイプ 2kg」。有機溶剤を含まない高い流動性を持った樹脂で、レジン独特の臭いも抑え目。「アイボリー」とはいうものの、大分白っぽい仕上がりとなるので、フギュアなんかにも向いていると思われます。

 続いて発売されたばかりの「ウェーブ・シリコーンゴム Ex.1kg」。使いやすそうな容器に入っていて期待度大。


このほか、両面型作りに必須の油粘土、型枠を固定するための輪ゴムなどは100均で購入。他にも紙コップやディスポーザブルビーカー、シリコーンゴム攪拌用のヘラなどに加えて、秤を用意しておきます。

 で、早速作業開始。
 まずは出来上がったパーツを油粘土に埋めていきます。まあ、こういった複製に関する情報は、ワタシなんかよりよっぽど上手な方々が、手法や手順などをネットで公開されてますんでそちらをご覧頂くとして、特徴的なところをひとつご紹介。

 粘土にパチンコ玉を埋め込んでいます。これ、複製のマニュアルなんかを見ると、よく「両面型がずれないよう粘土に穴を空けて」なんて書いてあるんですが、自分で試した限り、パチンコ玉を使うのが最も安定度が高いんじゃないかと思います。最初の型を作る時に埋め込んでおいて、反対側にシリコーンを流す前に外しておくと、きれいに円形のダボが作れます。

 粘土作業が終わったらシリコーンゴムに硬化剤を入れて十分攪拌し、慎重に型に流し込みます。最初はパーツの上に少量垂らしておいて、エアブラシのエアで密着させ、全てのパーツの作業が済んだら全体に流し込んでいくという作業。ホントは作業中の写真があればいいんだけど、一人で作業してると両手がふさがってて写真が撮れないんだよなぁ。まあ、その辺りはネットでレッツ検索! してみてください(という人任せ)。今回使用した「ウェーブ・シリコーンゴム Ex.1kg」は、適度な粘性を持たせるために入っている添加物が沈殿しやすいようなので、一度しっかりと攪拌した上で使用したほうが良い結果が得られます。使用した第一印象は硬すぎず柔らかすぎず、「ちょうど良い流動性」という感じ。非常に使い勝手が良いです。
 この型が硬化したらひっくり返して粘度部分を取り除き、シリコン部分にワックスなどの保護材を塗って新たにシリコーンゴムを流し込み、反対側の型を作ります。これがいわゆる「両面型」という型取り法。

 さて、シリコーンが硬化するまでには結構な時間が必要。標準硬化時間で12時間。実際はそれより短いんですが、それでも数時間は時間ができる。今回は両面型を作るので、その倍はかかるということになります。というわけでその間にバックパックの制作にかかりましょう。

 ガンキャノンのバックパックは円筒形2本が繋ぎ合わされたような形。なんか使えそうなサイズの物はないかと思ってまわりを見回してみたところ、型取り用の油粘度を平たく伸ばすための延棒が丁度よさそうなサイズです。そこで、この延棒をポリパテで型取り。手順は
1)延棒にメンタムを塗り、2)ポリパテを盛り付け、3)硬化前に切れ目を入れておいて、4)硬化後に取り外し、5)今度は出来上がった型の内面にメンタムを塗ってポリパテを塗りつける。6)塗り終わったらすぐに両方の型をあわせて、7)中身が硬化したら取り外す、という手法。出来上がったパーツは、そうやってできたポリパテのパイプの形を整えて気泡などを埋めた状態。前回のキャノン砲と同じような方法ですね。

 で、この円筒形のパーツにダクトが必要です。ここに使うのはPGガンダムのヒザ部分のマルイチパーツ。底面を削って高さを調整しました。

 このマルイチパーツの底面にあわせてポリパテのパーツに平面を作り、はめ込んだら接合箇所を修正。はめ込みようの掘り込みはお得意のリューターで。マルイチパーツには1mmプラバンで2本のフィンを足します。

 で、プラバンの箱組みに2本の円筒形パーツを組み付ければバックパックのでき上がり。若干ディテールなんかも追加しております。

 追加ついでにこんなパーツも作ってみました。これはPGガンダムのヘリウムコアの中身に、2mmプラ棒でパイプ状のパーツを付けたもの。これを貼り付けると、

 なんだか意味ありげなディテールに(笑)。

 胴体との接続は元々キットにあった2本の接続部に加え、3mmのポリランナーで固定するようにしました。

 こんな按配にくっつきます。スラスターはPGガンダムのものを、基部ごと使う予定です。

 で、そんな作業をしていたら、あ、気が付いちゃった。

 ガンキャノンって、胸の横っちょにちっちゃいスラスターみたいのがあるじゃんか。さぁて困ったぞ、ストックにこんな小さなスラスターなんかあったっけ、と思って色々ひっくり返してたら見つけちゃいました。

 PGガンダムの腕部分のスラスター。“隠しスラスター”敵に可動部の中に入っていたパーツ。このスラスター部分だけ使えばいいんじゃない?

 というわけで早速切放し、その辺に転がってたポリパテのカタマリからカバー部分を削り出しました。

 機構的に「表面に張り付いてる」ものじゃなく、「中身から飛び出してる」ものだと思うので胸のパーツに穴を空け、それらしく見えるように加工。取り付けたときのスラスターの角度がポイントです。

 さて、シリコーンゴムが固まるまでまだ時間があるぞ。ということで、顔部分の制作をやっておきましょう。

 ほぼ出来上がっているヘルメットのフェイス部に収まるように0.5mmプラ・プレートを切り出して、そこにポリパテを盛り付けて形を作ってみました。口部分は、前回靴底を作った時のきれっぱしがちょうど良い大きさだったので、加工して使用。カメラ部のカバーは0.4mm透明プラバンをヒートプレスしたものです。ヒートプレスとは、欲しいサイズよりひとまわり小さく作った原型に、熱したプラバンなどを押し付けて形を作る手法。今回最初にフェイス部を作る時にカバーの部分も含めた形で作っておき、それをひとまわり小さく成形したものを原型にしています。その後カメラ部分をさらに削り込んだのが、写真のフェイス部分パーツというわけですね。これだと非常に無駄がなくてよろしい。

 ただ、やっぱり無駄が出るのがヒートプレスの難点。均一の厚さで理想の形状っていうのが、なかなかできません。なんせ運任せ的な要素が多いので、何回もトライして納得いく形ができたら切り取って使用します。

 取り付けてみるとこんな感じ。カメラ部分は後ほど細工をしようと思ってます。

 さぁて、このへんでシリコン型両面ができあがったようです。で、型枠から型を外す前にこんな作業。

 焼石膏でバックアップのための板を作ります。ゴム型はそれなりに柔らかいので、そのままだと歪んだり捩じれたりします。モノの本なんかを見ると板で補強しろなんて書いてあったりするんですが、早々丁度いいサイズの板を切り出すのは面倒だ。というわけで焼石膏で補強板を作ってしまおうというわけです。

 焼石膏は教材などにも使われる素材で、大き目のホームセンターなどに行けば安価に手にい入ります。重量比で1:0.78の水と混ぜることで硬化します。あんまり馴染みのない方が多い素材かもしれませんが、型取りの補強としてだけではなく、ジオラマのベースや大型のパーツの型取りなどにも使えますので、試してみて損はない素材です。

 で、比重を守ってよく攪拌した石膏を流し込んだ状態。石膏は40~50℃くらいに発熱しながら硬化しますから、熱に弱い素材には気をつけてくださいね。

 てな作業が一通り済んだら、型枠から取り外したゴム型を引っぺがして両面型の完成です。なんか灰色で汚い感じなのは手元にあったブルーワックス(シリーコンゴム同士がくっつかないように塗る保護材)が、フタを開けてみたらコッチコチになってたため、急遽サーフェイサーで代用したから。あんまりほめられたこっちゃありませんが、模型制作は臨機応変にってことでご勘弁ください。それにしてもブルーワックスってこんなになるんだね。知らなかったなぁ。で、出来上がったこの型に湯口(レジンキャストの注ぎ口)をカッターなどで掘り込んだら石膏のバックアップ版ごと輪ゴムで止めます。

 はい、こんな感じ。ここにレジンキャストを流し込むわけですね。レジンキャストは2液を混合することで硬化するのウレタン樹脂で、1:1の比率で混合します。混合比はそれほどシビアーでもないんですが、あんまりいい加減にやると硬化不良を起こしますので、秤で計量して作業します。硬化が開始するまでの時間は2分程度と非常に短いので、今回のように大き目の型で複数のパーツを複製する場合、何回かに分けて注型した方が失敗が少ないんじゃないかと思います。

 出来上がったパーツ。一部修正なんかも加えながらなんとか出来上がっておりますが、もちろんこんなこともあります。

 成形不良のパーツ。思ったようにレジンが流れなかったり、大きな気泡が残ったりといったことは、もう普通に起こります。そういう時は湯口の形を工夫したり、レジンの逃げ場所を作ったり、色々試行錯誤してなんとか形にするわけですね。

なぁんてことをやってたら、姉さん、大事件です。

シリコーンゴムが足りません……

予定では3型プラス小さいのが2型で収まるはずだったんだけど、どうしても4型じゃないと収まらない。なんで? なんで? と考えてみたら答えは単純。
複製コース行きが増えてんだ……
む~ん、これから新しくシリコン買ってきて型作って流し込みやって……

間に合わないじゃん!!

 じゃあどうすんのさ、って考えた挙句、今回の完成に間に合わせるためには、超速で複製できなかったパーツを手作りするしかないってことに気が付きました。じゃあいいよ! やるよ!!

 幸い残りのパーツは極わずか。キャノン砲、足のスリッパ前後、肩の球体の一番外側のヤツ、足の付け根関節を隠すパーツ。さあここからが大変。もうあらゆる手法を総動員して突貫作業にかかりました。

で、なんとかカントカ出来上がったのがこのパーツ。キャノン砲、肩パーツはおゆまる君大活躍。といってもそれほど高い精度で複製できるわけではないので、半分スクラッチ状態。スリッパは出来上がってるパーツから採寸してプラバンベースでもう1個手作り。

 こういう3次曲面のものを2個手作りで揃えんのは大変なんだよ……。期せずして今回の作例、最大の難関。で、もっと大変なのが足の裏のディテール。普通に複製するつもりだったんで、結構厄介なデザインにしちゃったんだよなぁ。

 そこでまたもやおゆまる君の登場。平たく伸ばしたおゆまるに出来上がったパーツの底を押し付けて、ちょびっとレジンを流し込む。

 そうすると、あら不思議。足裏のディテールができちゃった。これを薄く削りこんで足裏に貼ればいいんですね。頭いいぞオレ! でも頭いいヤツがシリコーンゴムの量なんか間違えないぞ、オレ!!

 おお、なんとかいけたよ。ということで突貫作業は続きます。まずは型抜きしたパーツの成形、レジンパーツにはプライマーを塗りサフを吹く。乾燥待ちの間にフレームの塗装。これならいけるんじゃないのか! と思ったんですが……

 やっぱだめだ……。ちゃんと表面処理しよう。

 サフを吹いて気が付いたあっちこっちの気泡やら成形不良やら。せっかくここまでやった「1/60ガンキャノン」、どうせなら納得いく仕上がりにしたいもんね。というわけで今回の完成は見送り。ゴメン。そういえば次回で丁度8週目、2ヶ月で切りもいいし。という言い訳をしつつなんですが……。

 でも、

その代わり

 といっちゃぁなんですが、この1/60ガンキャノン、5月19日~20日に行われる「静岡ホビーショー」の合同展示会会場で展示させていただきます。サークル名は「バンダイナムコ プラモコンペ静岡出張所」。卓番号は194番。サークル主催の方のご好意で展示させていただきますので、実物がご覧になりたい方は、ぜひ会場に足をお運びください。

 てなわけで、今回の成果。

 まずフレームは塗装が済んでます。ちょっといろんなことを考えて青っぽいフレーム。

 そして表面処理中のパーツを組んでみたもの。どうですか? キャノンですか?

 てな感じで、今回の完成を期待してくださった皆さんにあやまりつつ、次回は塗装や仕上げなど、チト軽めの内容になっちゃうとは思いますが、ギャラリーの更新もあるのでどうぞお楽しみに。
 それでは次回も、乞御期待!!

(C)創通・サンライズ

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詳しくはバンダイホビーサイトへ


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