線香亭無暗のやたら模型制作室
 はい皆様、1週間のご無沙汰です。
 今回の作例の1/60ガンキャノン、世の中の、もうほんの一部で妙に話題が盛り上がっております。ただ盛り上がっている話のほとんどが、「正気じゃない」、「絶対無理」、「別にフルスクラッチでよくない?」というような意見というのが玉にキズ(笑)。ええ、わかってますとも、正気じゃないのは。「そんなもんホントにできんのかよ」ええ、ええ、わかってますとも。なにせ作ってる本人が『ホントにできんのかよ』って思ってますから(笑)。とはいえ、やり始めたら止まらないのがこの「やたら模型制作室」。ジュール・ヴェルヌも『人間が想像したことは大体実現できる』って言ってますからね。一番最初に「できるかも」と思った自分を信じよう。ただ、最初に「できるかも」って考えた時は、あんまり具体的な作業を想像してなかった――っていうところに一抹の不安を感じるんですけどね(笑)。
 それでは「1/60 ガンキャノンを作る」3回目、張り切って参りましょう!

 まず前回までの成果はこちら。

 背丈を縮めたPGガンダムのフレームに外装を付け始めたところ。前後分割の足の外装を左右分割に変更したりして、意外と作業量が多かった割には、まだほとんどガンダム。その後もコツコツと作業を進めて、こんな感じになりました。

 え、どこが変わってるんだって? 変わってますとも。例えばこんなところ。

 まずは前回ザックリと形状を出した脚部装甲の表面を整えて、

 碗部の外装も大分進んでます。じゃあ今回は碗部の詳細から。


 はいこれが上の写真の腕部分をバラしたところ。中身はPGガンダムの腕フレームというのがわかっていただけると思います。腕の外装でいちばん厄介だったのが肩の球の部分。

 色々と試行錯誤したんですが、PGガンダムのフレームそのままではどうしても肩関節の球が大きくなっちゃう。多分タイタスぐらいの大きさになっちゃうんで、フレームの一部を取り外して中身だけを使うことにしました。

 中身はこんなふうになっていて、キットで使用されていたネジで止めるようにしてあります。グレーの部分はウェーブのプラ・プレート1mmで作ったフレーム。ここにポリパテを盛り付けて丸く成形してあります。この“球”の成形については後ほど詳しく。

 円筒形の二の腕は四角柱に組んだプラバンにポリパテを盛り付けて成形。腕の付け根を外して被せるようにしました。

 ついでに手首部分。手はまだキットのままですが、手首のカバーはPGガンダムのヒジに使われていたマルイチパーツを加工して流用。意外とすんなりハマりました。

 さあて、お次はこういったポリパテ加工の解説をしてみたいと思います。いや、「こういう作業のコツはなんですか?」なんてご質問を頂いたもんで。
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 まず基本的にポリパテ=ポリエステル・パテを使って行う成形は『削る』ことが作業の中心となります。彫塑(彫刻のことね)なんかでいうと木彫や石彫に近い感じ。エポパテ=エポキシ・パテ『盛る』感じとは正反対。今回の作例ではポリパテを使っていますが、エポパテを使っても同じような成形は可能です。また、『全部プラバンで作る』なんてことも可能。
 これらはそれぞれに一長一短があり、選択も人それぞれ。例えばポリパテは『削る』ことが主になるので、それなりの無駄がでる。ヤスリ掛けすると粉だらけになる。匂いがきつい、なんていうのがデメリット。その代わり比較的短時間で作業でき、価格も比較的安いというメリットがあります。対してエポパテ自重が高く、比較的高価なのがデメリット。そのかわり無駄が少なく、細かい加工がしやすいプラバンによる成形は、これから作ろうとする形状に対して正確な把握ができ、なおかつ立体図学的な要素が必要になるというのが厄介なところ。パーツの成形精度も必要です。ただしコストは最も低く、直線などは最もたやすく表現することができ、最も軽量に仕上げることができます。基本的には適材適所で、ってことになるんですが、どれでもいけるって場合は、それぞれに“どれが得意か”ってところが大きいんじゃないかと思います。
 まあ、ベテランモデラーの方々にとっては何をいまさらって話なんですが、いちおう念のため。
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 で、ポリパテ作業が木彫なんかと違うのは『削るために盛る作業』があるということ。上手いこと盛り付けると作業が楽にはかどります。加えて今回の作例のような作業をする場合の裏技的な手法なんかも紹介したいと思います。

 ということで、下碗部にくっ付けたフレームを開いたところ。いきなり中身にポリパテが詰まってます。これは段のあるPGガンダムのフレームにぴったりとしたプラバン加工をするよりもポリパテでブロックを作るほうが早いと思ったから。ついでに元からフレームにある接続部を利用してポリキャップによる着脱を可能にしようという魂胆です。あらかじめ接続部にポリキャップをはめ込んでおいてからポリパテを盛り付けて、硬化後に剥がせば「ポリキャップ入りブロック」のでき上がりというわけです。これをプラバンでやろうとすると作業量がドンと増える上、強度的にも少々不安。こっちの方がお手軽で確実、という、いきなりの裏技的使用法です。ちなみに、ポリパテを盛りつける前にフレームなどの「ポリパテをくっつけたくない部分」にはワセリンやメンタムなんかを塗っておきます。普通に盛り付けるとプラが解けたり、くっ付いて取れなくなったりしますからね。

 お次は外側。角の部分は荒めのヤスリで曲面にしておきます。これは後に円筒形に削り出すことを考えての作業。プラバンで成形した“角”がそのままになっているより、削り出すときの作業性が良くなります。左右分割の部分には両面にメンタムを塗った0.3mmプラバンンを挟んであります。

 準備ができたら1回目のポリパテを盛り付け。ポリパテにはそれなりの流動性がありますから大量に盛り付けるときには数回に分けて盛るのが経済的で間違いがありません。

 続いて2回目の盛り付け。腕を胴体に付けて、「大体これくらいの大きさ」というのを確かめながら盛るのが良い方法です。2回目の盛り付けのタイミングは、「最初に盛ったポリパテが完全硬化しないうち」というのがベスト。1回目のポリパテの硬化熱や2回目のポリパテの硬化剤の相互促進作用などにより、後から盛り付けたポリパテがよく馴染み、「ペロッ」と剥がれることが少なくなります。

 次もポリパテ作業を楽に進める重要ポイント。最終の盛り付けを終えたら、完全硬化する前におおよその形を整えてしまいます。タイミングとしては「固まってはいるけどまだちょっとモニモニする」位がベスト。このタイミングならカッターなどで楽に作業することができます。完全硬化した後だと削るのもそれなりに大変。それに、この手順のほうがポリパテの粉を出す量を減らせます。今回のように分割や取り外し式のパーツを作る時はこれくらいの段階で一度外しておくと安心。後で取れなくなって大騒ぎという事も少なくなります。後は完全硬化するのを待ってヤスリで仕上げるという手順ですな。

 さて、今回の作業で最も困難が予想されたのが肩の球体部分。MGガンキャノンではこんなふうになってました。

 ただの蛇腹デザインというわけではなく、ワラワラと動く複合装甲的な表現。これどうやって作ろうか……。

 ということで、またもや試行錯誤。上の写真は直径40mmのピンポン玉を使ってポリパテで球を作ってみた、という図。このほかにも家にあるアクリル球や100均で買ったスーパーボールなど、ありとあらゆるものを使ってみたんですが、どれもサイズが合わない! ネットで使えそうなものを検索してみると、無いことはないんですが、どれも非常に高価。ええい、こうなったらやってやるワイ!! と手で削り出したのが今回の記事のはじめのほうに出てきた写真です。これ、ある程度ポリパテを盛り付けておいて、36mmに固定したノギスをあらゆる面に当てながら、コツコツとサンドペーパーで球体を削り出すという罰ゲーム的な作業となりました。今回の作業で気づいたこと、その2。「人間は完全な球を手作りするようにできていない」。結局、他の作業の合間に2日ほどかけて仕上げました。それでもまだ完全に球ではない……。いいんだよ、球に見えれば!

 お次は、これを使って上にかぶさる球パーツを作る方法。

 まずは球の欠けた部分を油粘度で補完。名付けて『球体補完計画』。あ、アニメが違うな。これで、なんとなく“球”。ポリパテで成形した部分にはメンタムを塗っておきます。

 そうしたらその上にポリパテを薄く盛り付けて硬化を待ちます。

 ころあいを見計らって取り外したら、完全硬化を待って成形。同じ球面の成形でも元がある分ずいぶん楽(笑)。それなりの薄さで仕上げました。鉛筆でアタリを取ってあるのは接続部分の穴を空ける目安です。

 裏側はサンドペーパーで軽くひとまわり削ってあります。ポリパテも完全硬化すると若干収縮するので、こうしておくと、組み付けた後の動作がスムーズになります。

 同じ要領で一番外側のパーツも作ります。個人的解釈として、一番外側はアーマーとしてフレームに固定され、中の2つの球体が関節部分を保護しながら可動する、というのを考えた――というよりこじつけました(笑)。

 重ねてみました。おお、ちゃんとキャノンっぽくなってんじゃんか! よくみると王蟲みたいにも見えるけど。

 で、腕全体を成形してみたところ。うん、なかなかキャノンじゃない?

 肩部分はこんなふうに装着。中の2つの球体は腕のほうにくっ付いています。

 そして、一番外側のパーツはボディのほうのフレームに装着。ちょっと大きい気がするけど、これ以上小さくするにはフレームごと作り直す必要があります。そうなると今回の作例のコンセプト『PGガンダムのフレームを活かして』って所から離れちゃう気がするので、これで良しとしよう。

 さて、こんな作業の間にいつの間にか出来上がってきたのがこの部分。

 ガンダムでいうところの“赤い腹巻”部分ですな。ガンキャノンは盾がいらない重装甲ですから、この部分もボリュームアップというわけです。実はここ、これまでの作業中に盛り付けて余ったポリパテを地道に盛り付けていったものを成形してます。全パーツの中でこういう部分を設定しておくと、ポリパテが無駄にならずに済んで経済的です。まだイマイチぐにゃっとしてますが、若干の修正で仕上げることができそうです。

 さて、いつの間にかは出来上がらないのがプラバン加工。ポリパテを削るのにもチト飽きてきたので、作業を進めておこうかな。

 まずは股間ブロック。ここはPGガンダムのパーツを一部使用してそれらしく整えます。右側の写真を見ていただけると元パーツがどこなのかわかっていただけるかと。こういうときには非常に便利なウェーブのプラ・プレート。
 続いては胸部装甲。

 PGガンダムのフレームに合わせて切り出したプラバンを接着して作りました。

 違う角度と裏側。ありゃ、ちょっとピンボケだった。スイマセン。胸の上面がカトキ版ガンダムっぽくなってます。思い付きでちょっとやってみたんですが、どうもガンキャノンっぽくないような気がしてきたんで、後で形状変更しようと思ってます。

 お次はコクピットハッチ。表から見るとポリパテ細工のように見えますが、実はプラバン箱組みがベース。目勘で作ったらボリュームが足りなかったんで、ポリパテでボリュームアップしました。ここは稼動させないとコアファイターが納まりにくいんだよなぁ。いいや、後で考えよう。

 んでもってついでに頭部。ガンダムのトサカ部分をポリパテで埋めて全体の形状をそれらしく整えた後、頬の部分を若干短縮。顔はまだ手をつけてません。一応LEDは残したものの、電池その他は頭部以外の場所に入れようと思っています。

 というあたりで今回の成果。

 ううむ、なんだか進んでいるのやらどうなのやら。今回の作例、とても4週では終わりそうもないので期間延長します。ま、そのあたりは想像ついてたんですけどね……。はてさて、この後どうなることやら。

 てなところで今回はここまで。それでは次回も乞御期待!!

(C)創通・サンライズ


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