線香亭無暗のやたら模型制作室
 はい皆様、1週間のご無沙汰でした。
 ええ、ここのところ同じようなご意見をいくつかいただいておりまして、まあ、要約すると「スケール物じゃなくて、もっとキャラクター物をもっとやってくれよ!」っちゅう事なんですが、これについちゃぁ色々と考える所があります。
 「もっと自分の興味のあることをやってくれ」っていうのはわかるんですけどね。ホントにそれだけでいいんでしょうか?
 今は昔と違って情報も製品も溢れかえっている時代。欲しい情報だけ見繕っていけば、生活も成り立つし、それなりの模型も作れる。でもそうやって直接的な一次情報だけで作られた模型って、結局誰かのコピーの寄せ集めになっちゃうんじゃない? なんて思ってしまいます。ただ“それが欲しい”ってだけなら、完成品を買ってきてちょっと手直しすればいい話で、せっかく模型を作るんなら、それぞれの思い入れが投入されていて、初めてその人の「作品」なんじゃないかな、なんてね。そういう意味では、たとえ興味がなくても、あらゆることが参考になるっていうのが“模型”の面白さ。MPJのこの記事では、たとえそれぞれが興味のないジャンルの作例でも、何かが参考になるような内容を心がけております。また、単なる“手法や情報”以外でも、なるべく参考になるような記事を心がけています。まあ、そんなに堅苦しい話でもないんですが、そんなふうにご覧いただければ幸いです。
 それではハセガワ「1/48 三菱 零式艦上戦闘機 21型」完成編、張り切ってまいりましょう。

 前回は細かいパーツの加工が終わって、本体に色を塗り初めたところで終わってましたね。今回はまず本体色を塗り終えたところから。

 ガイアノーツの灰緑色をベースにに塗っておいて、同じ灰緑色を調整したものを上から塗った状態。ちなみにどれ位に調整したかというと、

 はい、こんな感じ。手前の主翼はビンのままの色。他の部分は2色目を重ねた所。今回の塗装色はスケールエフェクトというよりも『強い太陽光に照らされている雰囲気』を表そうという魂胆です。イメージとしては航空母艦の甲板上で見るような感じ。陸上基地からの使用も多かった零戦ですが、せっかく着艦機能を備えた21型ですから、今回は空母で使用されたタイプを再現してみようと思います。

 2色目の塗装は控えめにグラデーション。というよりも“グラデーション気味”な感じで塗っています。あんまり派手にやると実感を損ねますからね。この辺は航空機モデラーの間でも好みの分かれるところ。単色で塗るのを好む方も多くいらっしゃいます。確かに再生された実機なんかを見ると単色ツヤありな感じなんですけどね。ちょっと模型的なケレン味を演出してみようと。実機は丁度10m位の大きさですから、そのあたりは悩ましい所です。最終的には“お好みで”という事になりますな。

 さて、本体色が乾いたらデカール貼り。

 日の丸や胴体のラインなど、デカールにしようか塗装で再現しようか悩んだんですが、せっかくきれいなデカールが付いてるんでデカールを使うことにしました。まずは余白を丁寧に切り抜いてからインストを参考に位置を決めて貼ります。

 貼り付けはデカール軟化材などを使ってしっかりと馴染ませます。ここで手を抜くとこの後の作業に影響しますからね。

 で、若干問題なのが主翼上面の赤いライン。ラインの中が全部クリアーの余白で占められているので、いらない部分を取り除きたい。そこでカッターで切れ目を入れておいて、水に浸けた後、貼る前に余白部分だけを剥がしてから貼り付けます。

 そして貼り付け。なんとかうまくいきました。こんなふうにして全体を貼り終えます。こういう作業はあせらずに、じっくりと進めるのが良いですな。あ、書き忘れましたがデカール作業の前に,どんな所に所属した、どんな機体に仕上げるかを決めておいてくださいね。今回の作例では空母赤城の所属機で真珠湾攻撃に参加した第二次攻撃隊155番機を再現したいと思います。

 空母「赤城」は1941年11月26日、真珠湾攻撃に参加するため第一航空艦隊(南雲機動部隊)の旗艦としてハワイを目指して千島列島択捉島の単冠湾を出航しました。機番155番は第二次攻撃隊制空隊 第一小隊一番機 進藤三郎大尉の乗機です。この方、横須賀海軍航空隊に所属時には零戦の試作機である十二試艦上戦闘の慣熟、初期不良の克服に努め、各地の分隊長、指揮官として活躍の後、終戦間際には筑波航空隊飛行長に転属、福知山派遣隊指揮官として紫電改部隊の練成にあたるなか終戦を迎えました。戦後は東洋工業(現マツダ)に入社し、常務取締役で1979年に退任。2000年に亡くなっています。個人的に、実に久々の零戦制作に当たって、零戦の誕生から終戦、戦後の混乱期から昭和の成長期、その後のバブル崩壊までを見続けてこられたであろうこの方の乗機が、なんだかふさわしいような気がしたんですよね。

 さて閑話休題。続いてはチトやっかいな部分。

 さっき自分で「デカール貼りの前に作る機体を決めておこう」と書いておいてなんですが、この赤城所属の155番機は垂直尾翼のラインが黄色いという事に気がつきました。デカールに黄色いラインは付属していないので、塗装で再現という事になります。もう、最初にちゃんと確認しないから! ちゃんとしろよオレ。ということで、この手のラインを塗装で再現する方法。

 まずはキット付属のデカールから採寸して切り出したマスキングテープを黄色いラインが入るべき部分に貼ります。

 そうしたらマスキングするべき部分をマスキング。

 そうしたら最初に貼ったライン部分のテープを剥がします。これでマスキング完了。この手順なら曲がったりラインの太さが変わったりせずに、ちょうどいい場所にラインを塗装することができます。

 そして塗装完了。黄色はサンシャインイエローに少量の赤を足した色です。尾翼の機体番号はデカールに用意されていますから、先ほどの手順のように余白を切り取ってしっかりと貼り付けておきます。

 さて、デカールを貼り終えてきちんと乾燥したのを確認したら、デカールの赤部分にちょいと小細工。

 機体全体にクリアーを吹いてデカールの保護をした後、赤い部分を残して再度マスキング。これ、機体の灰色部分に調子をつけたのに、赤い部分だけデカールのままっていうのが気になったんで、ちょっと手を加えてみようかと。でも、よく考えたら、これをやるんなら全部塗装でよかったんじゃないのって話なんですが。いつもはね、大体塗装で全部塗っちゃうんですが、まあ、やりなれないことはやるもんじゃないっちゅうことで、まさに二度手間(笑)。皆さんは真似しないでくださいね。

 赤部分の塗料が乾いたらマスキングを剥がし、フラットクリアーを全体に吹いてツヤを整えます。

 全体の調子を見てシャドウ(灰緑色そのままの色)を足したり、ハイライト(調整した灰緑色)を足したり。イメージは真珠湾攻撃から帰等した直後の155番機。気が済むまで調子をつけます。そんなこんなで、機体部分の塗装は一応完了。

 おっと忘れちゃいけない小物パーツの取り付け。

 主脚部分には小改造を施します。

 はい、定番のブレーキラインの追加。ブレーキラインには、お馴染みモデルファクトリーHIROの0.28mmのパイピングコードを使用しました。手順としては最初にホイール部分に止めておくのが楽です。ラインの取り回しは脚カバー取り付け部の中央を通っているので、ラインが通せるように溝を作っておきます。

 こんな感じで組み立てます。余ったラインは根元でカット。本当は主脚のハウジング内にもパイピングがされているんですが、今回は割愛。

 反対側の補助カバーは可動アーム部をチョコッと曲げて取り付け。実機の写真を見ると曲がっているようなので。

 ちなにみこのカバーは全開状態でも斜めに開きます。たまに機体と直角に接着しちゃってる作品があったりしますんで、注意してくださいね。

 はい、主脚も取り付け。中々いい感じ。補助カバーの可動アームの色については、ジンクロで塗ってあるものやシルバーなど、諸説あるようですが、どうもごく初期の21型ではシルバーだったというのが正解のよう。なので今回はシルバーで仕上げました。

 他の小物パーツも取り付け。こういう部品を撮り付ける時に、「こりゃあ何のためのパーツだ?」なんて調べながら模型を作るというのも中々楽しいもんです。ちなみに写真左はエルロンのロッド、右は着艦フックと尾輪。尾輪のタイヤは中空ではなくソリッドゴムで、着艦フックは着陸時にせり出してくる機構だったそうです。そんなことを知るのもこの手のモデルの楽しみですね。


 そんなこんなでキットパーツの取り付けはおおむね完成。続いてこれも航空機モデル追加加工の定番。

 アンテナ線の取り付けです。

 尾翼の方の取り付けには平金帯を使っていたようなので、マスキングテープの細切りで再現。アンテナ線自体は伸ばしランナーで作ってあります。尾翼近くの止め具は瞬間接着剤で作ったもの。本当はもうちょっといろんな部品が付いてるんですが、1/48くらいだと何を持ってきてもオーバースケールになりそうだったので割愛。コクピット側は瞬着で止めた後、先端を黒く塗るのを忘れずに。

 キャノピーもしっかり取り付け。

 3分割の前と後はプラ用の流し込み用接着剤で止めてますが、真ん中は機体と触れる部分にペーパーセメント(デザインなどに使う貼りはがしができる接着剤)を塗って開閉が再現できるようにしてあります。


 そして仕上げにハセガワTFシートの登場。翼端灯や部隊灯に使います。今回使うのはクリアーブルーとクリアーレッド。

 翼の端にあるのが翼端灯。日の丸の中と翼中央後端に見えるのが部隊灯。部隊灯はレンズにあたる部分をシルバーで塗っておきます。で、ちょっと大きめに切り出したTFシートを伸ばし気味に貼り付けます。

 先端の細いものでしっかりと貼りつけたら、よく切れるデザインカッターなどで不要部分を切り離して剥がしてしまえば加工完了。このTFシート、加工が簡単だというばかりでなく、独特のツヤ感があって“ここは素材が違うんだよ”という質感表現をすることができます。線香亭オススメのマテリアルです。

 さぁて、そんなこんなでいよいよ完成。続きはギャラリーでお楽しみください。

 さて、今回のハセガ「1/48 三菱 零式艦上戦闘機 21型」いかがだったでしょうか。実は今回の作例、航空機キットでは最低限と思われる工作しか行ってません。それでもここまで仕上がるということですな。そのあたりはさすが航空機のハセガワ。21型を作ったら他の型の零戦も作りたくなっちゃった。もし今回の作例を見て零戦に興味を持った方は、書籍「大空の侍」(坂井三郎著)や「零戦」(堀越二郎著)などを読んでから取り組むことをオススメします。それがどうやって作られたのか、どんなふうに使われたのかを知ってから取り組む模型は、普通に作るのとは一味違うコダワリや思い入れを持って取り組むことができます。それがこの手の模型の面白さ。ただ“組み立てる”のとは一味違う“作る”喜びを味あわせてくれるハズ。

 てなところで今回の作例もめでたく完成。次回作例はこれまでとは違う、ちょっとした企画を考えてます。
 それでは次回をお楽しみに。お後がよろしいようで。

ギャラリーへ
<前の記事へ ◆ 後の記事へ>

詳しくはハセガワHPへ


One Response to “ハセガワ「1/48 三菱 零式艦上戦闘機 21型」その4 完成編”

  • フレッシュレモン:

    完成お疲れ様です。個人的にはキャラクター物よりスケール物、今回のようなエアモデル(今度はジェット機が見たいです)やカーモデル、バイクモデルなどが見たいです。自分では作った事はないですが艦船なども見てみたいですね。
    応援しておりますので今後も頑張ってください。

Leave a Reply

CAPTCHA


This blog is kept spam free by WP-SpamFree.