線香亭無暗のやたら模型制作室
はい皆様、一週間のご無沙汰でした。
頭のコンテンツバナーを見て「何だ、間違ってるよ」と思った方。間違いじゃありません。ちょっとした事情がありまして、今回と次回の2回は特別企画。「やたら模型制作室」と「技の泉」の共同企画でお送りします。
で、「技の泉」といえばコイツ。しっかり呼んでありますよ。

編集部(以下 編)「いやあ、どうしたんすか、師匠直々に呼び出しなんて」
線香亭無暗(以下 無)「いや、ちょっと聞いたんだけどさ、MPJの編集部が引越しするんでしょ?」
「そうなんすよ。それが結構大変で、こんなところで油売ってる場合じゃないんです」
「こんな所はなんだい! いや、引越しだとネット環境の整備やなんかで更新がお休みになったりするんでしょ」
「ええ、もうちょっとすると正式にお知らせできると思うんですけど、ちょっとお休みを頂くことになると思います」
「だからさ、間にお休みとか入っちゃうと、ユーザーの皆さんも作例を見て頂くテンションが下がっちゃうと思うので、ここ2回はお寄せいただいた質問にお答えする回にしようと思うんだ」
「ああ、なるほど。結構お寄せいただいてますもんね」
「うん。編集部宛に届いたやつとか合わせると結構な量になる。あんまりお答えできてないんで、この際お答えしようかと」
「そりゃぁいいアイディアですね。早速やりましょう」
「キミはいっつも簡単だな(笑)」
「人生“シンプル・イズ・ザ・ベスト”ですから」
「ははは、じゃあ早速いってみようか」
「はい、早速まいりましょう」

◆チッピングってどうやってやるの?

「まずはこの方の質問から」
「じゃあ自分が紹介しますね。ええとYoneyoneさんからのご質問。『ギャラリーに載せてあるホワイト・グリントのようなチッピング表現はどうやってやっているんですか?』とのことですが」
「これのことだね.MPJが始まる前に個人ブログで作ったヤツだ」

「そうですね」
「実はこれ、結構オーバースケールなチッピングになってるんだよね。足元とか見るとわかると思うんだけど。某展示会に出したら、得体の知れない長髪のお兄ちゃんに『ふんっ! スケール何分の1だよっ!』って鼻で笑われてショックを受けたという(笑)」

「そうですか? それほど違和感ないですけど」
「いや、実は最初のうちはもっと小さく、控えめにチッピングを入れてたんだけど、どうもオープニングのハイエンドCGの感じが出なくて、だんだん大きくなっていったという……」
「そう言われればそうかも……。でも言われないと気が付かないんじゃないかと思いますけど」
「いやいや、そうでもない(笑)。まあ、この時はVOBのウェザリングとの違いを出そうって魂胆もあったんだけどね」

「それはどういうことですか?」
「映像を見るとVOB部分は使い捨てだということがわかるでしょ」
「はい」
「殆んど新品のVOBと使い込んだ本体との対比がでたほうが面白いんじゃないかと考えたワケ」
「ああ、なるほど」
「全体的に見るとわかっていただけるんじゃないかと思うんだけど」

「ああ、本当ですね。言われてみればそうなってる」
「全体で見ると本体のチッピングはこれ位派手じゃないと伝わりにくいんだよね。その辺をコントロールするのが、この手のウェザリングの肝なんだと思う。だからオーバースケールだとわかっていても本体のチッピングは派手目にした」
「なるほど。じゃあ実際の手法としてはどんな感じなんですか?」
「これはもう、ひたすら筆で書き込んでいくだけ。感覚的には“お絵かき”に近い。丁度作業途中の模型があるから見せようか」
「ぜひお願いします」
「じゃあこれ」

「うぉ、すげぇ。何だこれ?」
「これはボトムズのOVA『ペールゼン・ファイルズ』にでてくるチャビィーっていうAT。WAVEさんから昔に出たレジンキットなんだけど、物凄く久しぶりに完全プライベートで作った模型。良く見るとまだ完成してない。左の手足はスミいれもチッピングもしてない状態なんだ」
「あ、本当だ」

「アップで見ると良くわかるよ。じゃあこれをお題に説明しようか」
「ぜひお願いします」
「まず用意するのはエナメルのフラットブラックとジャーマングレー。本体自体はガイアノーツのラッカーで塗ってある」

「はい」
「お次は筆。これはなるべく穂先が細いほうがいい。次の写真で、キミだったらどの筆を選ぶ?」

「ええと、細いほうがいいってことは……、真ん中のヤツですね!」
「残念でした。良く見るとわかるけど一番上のヤツが、一番穂先が細いんだ。筆選びは全体の印象に惑わされれずに、実用的に見たほうが間違いない。それから、実は筆も消耗するんである程度使ったら買い換えたほうがいい」
「へえ、そうなんですか。全然知らなかった」
「ちゃんと手入れして使っていればある程度もつんだけど、それでもだんだん穂先が揃わなくなってきて、手癖で穂先が曲がってくる。写真に撮ったものは大体10年くらい前に買ったものなんだけど、そろそろ寿命になってきた」
「10年って! 筆ってそんなにもつんですか?」
「大事に使えばね。でもそろそろ限界。穂先に癖が付いて、細かいものが塗りにくくなってきた。実はワタシもこの間、小スケールフィギュアの塗装が上手い人に聞いてね。10年も同じ筆を使ってるっていったら『だからフィギュアの塗装が上手くならないんだ』って言われちゃった(笑)」
「アハハ、師匠でも怒られることがあるんですね」
「まあ、まだまだ修行不足だってことだね(笑)。で、話をチッピングに戻すと、後はエナメル溶剤を入れた塗料とペーパーパレットを用意して、チッピングを入れたいところに書き込んでいくだけなんだ。次の写真みたいな感じだね」

「どんな所に入れればいいんですか?」
「チッピングって“削れ”の表現だから、基本的には角の部分に置いていく。まずはジャーマングレーを薄めに溶いたヤツから初めて、次に濃いヤツを塗る。最後にポイント的にフラットブラックを置いていく感じかな」

「はあ、なるほど」
「さっき“置いていく”って言ったけど、感覚的には正にそんな感じ。“書く”んじゃなくて“置く”っていう」
「なんか良くわかりませんが」
「一筆で“模様を書いてやろう”って感じじゃなく、点や線の連なりでできてるとでもいうかな。“うにゃうにゃ”って書いちゃうと大きな傷跡になっちゃうんで、点、点、点、ツーみたいな感じで塗ってる。これ文章にすると物凄く伝わりにくいんじゃないか(笑)」
「まあ、そうですねぇ(笑)。でもニュアンスは伝わると思いますよ。でも全体にそんなことやってたらえらい時間がかかりますね」
「うん、だからこの模型はまだ出来上がってない。手間のかかる手法なんだよ。で、全体が出来上がったらチッピングを入れすぎたところや、目立ちすぎる所を溶剤を含ませた綿棒なんかで拭き取っていく。それでやっと完成。たしかホワイト・グリントの時は丸二日くらいこの作業をやってたと思う。まあ、これは慣れがいる作業なんで、皆で色々試してみて欲しいね」
「あれ、これの完成写真は?」
「だから、まだできてないっていってるだろ! そのうちMPJで公開できるといいと思ってるんだけどね」
「ぜひともお願いします」

◆シャドウが上手く吹けないんだけど……

「じゃあ、次はこの方のご質問」
「はいはい、じゃあ紹介します。Ytaichiさんのご質問で『ストライクドッグでやっているような、色を重ねてシャドウを表現するような塗装が上手くいきません。塗っているうちにいつの間にか全部塗りつぶしてしまっています。どうすれば上手くいきますか』という事なんですけれども」
「これ、他にも同じようなご質問を頂いていて、多分エアブラシの使い方が問題なんだと思うんだけどね」

「これのことですね」
「まあ、ストライクドッグに限らず、ワタシの塗装は大体どこかにシェーディング(シャドウの表現)はしてることが多いんだけどね。すっごく地味に入れてることが多いから気づかれにくい(笑)。これなんかは比較的わかりやすいかな?」

「そうですね。でもなんで地味に入れるんです? どうせなら、それとわかるようにド派手に入れればいいじゃないですか」
「いや、それは作例で取り上げている模型のスケールが大きめのことが多いから。1/100とか1/144とかさ。特別な形状でない限り、そんなにグラデーションがかかってるようには見えないでしょ」
「ああ、“スケールを考慮して”ってヤツですね」
「そうそう。でもATだと1/24とか1/20とかだから、結構派手目でもいいかなぁ、と。さっきのチャビィーなんか、もう殆んど模様描いてるもん」
「なるほど。で、実際の手法なんですけれども」
「これはエアブラシの基本的な使い方が上手くできないと上手くいかない。その辺から説明しようか」
「あ、師匠。その話長くなりそうなんで次回に譲りましょう」
「ム、キミはなぜそうやって話の腰を折るかな」
「だって、話が長くなるのは目に見えてますから」
「じゃあ途中で上手く端折って編集すればいいじゃないか」
「なに言ってんですか。このダラダラ感がたまらないってご意見もいただいてるんですから」
「む~ん、じゃあ別にいいけど……」
「ところで師匠。これってじつは『技の泉』でやればいい話じゃないかって、今気が付いちゃったんですけど」
「余計な所に気が付いたな……」
「あ、やっぱりサボりだ。もう、ちゃんとやってくださいよ」
「そういうことを言うんじゃないよ! 実を言うとワタシも引越しなんだよ……」
「えっ! どこへ越すんですか?」
「……新しいMPJ編集部の近く……」
「なんじゃそりゃっ!」
「てなワケで今回はこのあたりで」
「あ、それ言わせてください! 『次回も、乞御期待!!!』」
「なんだよ人の台詞を!」
「1回言ってみたかったんです(笑)」

 
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