線香亭無暗のやたら模型制作室
はい皆様、一週間のご無沙汰でした。
いゃあ、今回のレジンキット作例。多くの方に興味を持っていただいたようで、色々とご質問を頂いております。頂いたご質問にはきっちりお答えするのが、この「やたら模型制作室」のポリシー。そして今回はWAVE 1/24レジンキャストキット「X・ATH-02 ストライクドッグ」の完成編。今回の更新でしっかりお答えしていきたいと思います。では、今回の前フリはネタも絡めずストレートに作例にまいりましょう!

さて、前回はなんとなく本体が組みあがったところで終わってました。

で、今回は完成まで持っていけそう、と思ったら、結構大変だった。誰だそんなこと言ったヤツ。そうだ、ワタシだ。なんて弱音を吐いても模型は出来上がらないので、まずは残った部分の工作から。


といっても、工作で残っているのは細かい所だけ。まずは頭部のアンテナから。

いや、すごいんですよ、このパーツ。これだけ細いパーツがレジンで抜けるっていうのは脅威の技術力。普通なら成型してこのまま使うところなんですけど、個人的な理由で金属線に差換えようと思います。いや、実はね、結構迷ったんですけど、完成後にあっちこっちの展示会やらなんかに持っていかなきゃいけないかも、と思ったら強度的に不安だなぁ、と思っちゃったもんで。ご家庭で展示するだけの方はキットパーツで全く問題ないレベルです。

で、作業としては、キットパーツを元に切出した金属パーツを取り付け。ありゃ、根元がずいぶん細いな。

そこで、一回り太い真鍮パイプを短く切って挿しこみ。これでいい感じ。このアンテナを作るのに使ったパーツはこんな感じです。

まずはスプリング部分を再現するための0.3mm黄銅線、0.6mmのピアノ線、内径0.6外形1mmの真鍮パイプ、内径1.2mm外形2mmの真鍮パイプなど。

まずは0.7mmのピアノ線に黄銅線をまいてスプリングを作ります。手元に細いスプリングがある方は、それを使っていただいても結構。

お次はキットパーツに合わせてそれぞれの素材をカット。断面を成型しておきます。

後はそれぞれを組み立てればでき上がり。細いほうの真鍮パイプは無くても良かったね。まあ、接着面が増えるので、これでも良しとしよう、と自分を納得させます。これを2セット作って取付ければOKです。

お次はストライクドック専用武器の「ソリッドシューター」。

もう半分くらい出来上がっちゃってます。あとはこれらのパーツを組むだけなんですが……、

上面の細長いパーツに歪みが出ていました。前の原稿にも書きましたが、レジンパーツはその特性上、歪んでしまうのが宿命。大き目のパーツには特に注意が必要です。写真は仮組みしたところなので、この後、ドライヤーの熱を当てて修正しました。

続いては左手のマシンガン部分。

劇中では最も使用頻度が高かったような印象がある武装だけに、ちょっと見せ場が欲しいところ。

そこで、バレル先端部分に市販のメタルパーツを使うことにしました。使ったのはGテンプルのツインバルカン 1.5mm。2重構造いになっていて、中身が赤いのが特徴です。

メタルパーツを引っ張り出してきたついでにバーニアも交換してみたいと思います。

キットのバーニアも中身までしっかりモールドされていて捨てがたいんですが、スケールも1/24と大き目だし、こういうところにこそメタル感が生きるんじゃないかと。

手元にあったパーツで丁度いい大きさだったのがHoQpartsのBSバーニアノーマル10mm。アウターベルとインナーベルで構成されているのが特徴のパーツです。アウターベルは塗装仕上げにして、インナーベルはメタル地を活かした仕上げにしようと思います。


さぁて、この辺まできたらお後は塗装。各パーツに持ち手をつけて塗装準備完了。

なんですが、このあたりで今回の作例に寄せられたご質問にお答えしようかと思います。
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 はい、ではまず、うさぎ小屋の住人さんより前回記事に対してコメントをいただきまして、一通りお答えしたんですが、模型制作に使う接着剤についてちょっと考えてみたいと思います。

 最近では模型用に限らず、実にいろんな種類の接着剤が発売されています。まあ、模型に使う接着剤は、大まかに考えて「溶剤系」「瞬間接着剤系」「エポキシ系」位でしょうか。これに加えてジオラマにゴム系や木工ボンド類を使ったり、ディテールアップに様々な素材を貼り付けたりするのに、また違った接着剤を使ったりと、自分で書いていても“めんどくさいな”と思ってしまうほどです。そんな時は基本に返って『接着ってなんだ?』と考えるのが豊かな人生の送り方(一説によると面倒な人生の送り方ともいうらしい)。

 そこで色々調べてみると、実に面白いページを発見しました。接着剤といえばこの会社、セメダイン株式会社のHP内にある「接着基礎知識」(http://www.cemedine.co.jp/basic/index.html)というコンテンツ。「接着ってどういうこと?」という疑問に、非常に詳しく答えてくれます。専門用語も多いので多少戸惑うこともあるかもしれませんが、そこは昨今のネット時代。検索しながら読んでいくと非常に詳しく『接着』について知ることができます。まあ、接着についてはリンク先をご覧頂いて“接着博士”になっていただくとして、モデラー的にいえば接着剤には確実に適材適所があります。

 例えば瞬間接着剤。これはプラキットなんかの小さな部品を取付けるのには大変便利。同素材であればそれなりに強度を発揮します。ところが大きい面積を止めるのには不向き。途中で硬化が始まっちゃいますからね。硬化の遅い高粘度の瞬着を使っても、その後の合わせ目消しで余計な苦労することがあります。プラキットであれば大きなパーツや長い接着面積の所は溶剤系、いわゆる“プラモデル用”の接着剤を使うのが便利。これはプラを溶かしながら接着するので、きちんと硬化すると強力です。加えて合わせ目消しなどに使う溶剤系のパテなんかとも相性がいいので、作業がしやすく、きれいに仕上がるんですね。
 それから瞬着で異なる素材、例えばメタルパーツやエッチングパーツなんかを接着すると「ポロリもあるよ」ということが起こりやすい。これは瞬間接着剤が衝撃に弱いという特性を持つため。パーツの強度が高いと接着部分に衝撃が伝わりやすいんですね。だからエポキシや前回記事で紹介したスーパーXのような、耐衝撃性が高いもので止めるのが良いんですが、これが結構粘度が高くて糸を引くのが玉に瑕。昔はエポキシ系接着剤に溶剤を混ぜて粘度を低くして使うなんて使い方もしてたんですが、それだと若干強度が落ちます。模型用に、もう少し粘度の低いアクリル変成シリコーン樹脂系(スーパーXみたいなタイプね)の接着剤があるといいんですけどね。

 で、今回のようなレジンキットの場合ですが、これはなぜか瞬間接着剤と非常に相性がいい。なんだか“ぴたっ”と止まったような感じがするんで騙されやすいんですが、モナカ状態の可動部を瞬着で止めたりすると、出来上がった後に動かしていて“パキッ!”と割れることがあります。上手くくっついたように見えても、瞬間接着剤自体の特性は変わらないという事。やっぱりそういう場所にはエポキシ系かアクリル変成シリコーン樹脂系の接着剤を使うのが“安全”なんですね。
というわけで、『接着剤は適材適所』というのはわかっていただけましたでしょうか。

で、もうひとつご質問、というかご意見にお答えしたいと思います。

 こちらはメールで頂いています。まずは匿名希望さんのメール。長文なので要約させていただきますね。
「レジンキットの値段が高すぎるように思います。同スケールのプラキットが数千円なのに対して、レジンキットは数万円。パーツ数はプラキットのほうが多いのに? レジンキットに価値が無いとは思いませんがもう少し安くならないものかと思います」

 それからもうひとつ、こちらはカマノンさんからのご意見。
「ガレージキットは非常に手に入りにくいのが難点だと思います。今回のストライクドッグも欲しいと思い、初めてレジンキットに挑戦しようとメーカーさんのページを見たら、既に予約が終了。いつでも手に入るものでないと簡単には作れないんじゃないでしょうか?」
 というご意見。
 これらのご意見にまとめてお答えできるような気がするので、あわせてご紹介しました。

 まず、お詫びをしなければならないのは、今回の作例がメーカーさんの予約締め切り後に始まったことです。本来であればせめて予約期間中に作例を発表できればよかったんですが、様々な事情がありましてこのタイミングでお届けすることになってしまいました。ごめんなさい。今回の作例、このストライクドッグを購入された方の制作の参考に、っていうのももちろんあるんですが、実は馴染みの無い方に『レジンキットってこういうもんだよ』っていうのをわかっていただきたかったんです。

 レジンキットはプラスチック・インジェクションキットとは異なり、少数生産のキットです。
 例えばメーカーが新しいプラスチック・インジェクションキットを作ろうとすると、300~400パーツほどのキットで、千万単位――家一件分くらいの予算が必要になります。ですから採算が取れるように大量のキットを販売します。比べてレジンキットの生産数はせいぜい数百。ゴム型を使用するレジンキットは、元々少数生産向きの素材なんですね。そのためにどうしても値段が高くなりがちです。確かに同スケールのプラキットと比べると10倍近い値段ですから“高いよ!”と感じる方も多いかと思いますが、それはあくまで万単位で作られるプラキットと比較してのこと。最初から条件が異なっているわけです。その代わりプラキットでは発売されないものや、各メーカー(やディーラー)の個性あふれるキットが手に入るわけですね。これは「いつでも手に入るわけではない」というのも同様。確かにプラスチックインジェクションで発売されれば手には入りやすいでしょうが、じゃあ万単位で売れるという確証の無いものばかりを発売していたら、その企業は潰れてしまいます。模型ユーザーにとって貴重な模型の供給源がなくなってしまうんですから、そういう無体をいうわけにはいきません。そこで有効なのがレジンキャストキット。つまりレジンキャストキットとは、「本当にそれが欲しい人のためのキット」なんだと思います。プラスチック・インジェクションキットでは発売されないものを手に入れることができるわけですから、『そこに価値を見出せる人たちのためのキット』だともいえます。いつでも買える訳ではないけれど、財布はだいぶ痛いけれど、それでもこのキットいいよなぁ、という満足感にどれだけの価値を見出すか。それもまた模型という趣味の大きな魅力のひとつだと思うんですが、いかがでしょう?

 それと、レジンキットの場合、ある程度数がまとまれば再生産されることもあります。これはメーカーさんに聞いてみないとわからないんですが、プラスチック・インジェクションキットの再販よりはずっと少数で可能なはず。どうしても欲しいキットがある場合はメーカーさんにお願いしてみてはいかがでしょう? そういったコミュニケーションもまた、非常にガレージキットらしくていいと思うんですが。あ、あんまり勝手なことを書くとメーカーさんに怒られるな、きっと。
 今回の作例で、意外とメカ系ガレージキットに興味のある方が多いと判明したので、WAVEさんには商品情報をご提供いただけるようにお願いしてみます。MPJで掲載されれば欲しいキットを買い逃がすこともないでしょ?!

ち・な・み・に
 只今、WAVEさんのHPにて1/24 ライトスコープドッグの予約を受付中!!

 OVA『装甲騎兵ボトムズ ビッグバトル』に登場する、運動性能を上げるために軽量化したスコープドックなんですが、映像で見たときには全然拾わなかったのに、立体になると途端にグッと来るという、これこそ正に模型マジック!! こういうのが出るからレジンキットは面白いんですね。気になる方はリンク先をご覧下さい。

 で、ついでにご紹介するのは吉崎友枝さんという、MPJ始まって以来の女性からのご質問。女性モデラー大歓迎!! 嬉しかったのでご紹介します。
「最近の写真を見ると作業している机にMacbookが写っていますが、模型制作に必要なのでしょうか?」
 はい、お答えします。このMacbook、主に映像資料を見るのに使っております。DVDやら写真資料なんかを確認しながらの作業の時に大変重宝しております。ただ、塵やほこりまみれになるのでコンピュータ的には過酷な環境です。真似しないことをオススメします。スイマセン。

 てなわけで、質問疑問コーナーは終わり。これからもご意見、ご質問などどしどしお寄せくださいね。お待ちしております。
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さて、作例に戻りましょう。
ええと、さっきはパーツに持ち手を付けたところだった。

大きなパーツはこんなふうに割箸なんかに刺したりもしてます。


そして登場するのがガイア マルチプライマー。レジンキットの説明書なんかでは、よく「プラサフを使ってください」なんて書いてあるんですが、こっちの方が塗料の定着がよろしい。プラキットに溶剤性アクリル塗料(いわゆるラッカー塗料のことね)を使う場合、プラの表面を極浅く溶かしながら定着するので基本的にプライマーは不必要なんですが、レジンは溶剤では溶けないので塗料を定着しやすくするためにプライマーを吹いておきます。プラサフでもいいんですけどね。こっちのほうが確実に強い皮膜が作れます。

プライマーを吹き終えたところ。前回作例のスコープドックに見守られながら夕日に照らされとりますなぁ。プライマーは透明なんで写真に撮ってもわからないところが微妙に悲しい。


それが済んだらサフ吹き。ガイアのサーフェイサー エヴォのグレーを吹いてます。これも塗料の定着を良くするためと、細かい気泡などを発見しやすくするため。ここから先は塗り分けを考えて、どうやったら一番楽かを考えて塗装色の順番を決めます。

といっても一定のルールがあるわけではなく、「後でマスキングしにくそうな所は先に塗ってマスキングしておく」という手法。アーマー裏のディテールや各部の金属(的な)モールドなど、パーツの形状にあわせて塗装してはマスキングの繰り返し。


ちなみにソリッドシューターはシルバーに塗って上からグレーを吹き重ねようと思います。この塗装法だと吹き重ねるグレーの量によって微妙にメタリック感が調節できます。


さて、そんな作業が一通り済んだら下地にミッドナイトブルーを吹きます。これがシャドウ色になるわけですな。

アップで見るとこんなふう。ミッドナイトブルーそのままなんですが、中々いい色。この色で仕上げても渋くて良いんじゃない? なんて思ったりして。

思ったりはしたものの、TV版を作ると宣言したのを思い出して断念。当初の計画通りTV版のストライクドックをイメージしたブルーを吹き重ねます。今回のブルーはガイアの限定色 ウイリアムブルー14にウルトラブルーを足したものに、ほんの数滴ビリジアングリーンを入れました。


本体色が乾くまでの間に、カメラ部分などの最後の加工。

カメラ部はサフ吹きのあと普通にシルバーを塗り、その上からメタリックマスターを使ってパールシルバーを吹き重ね。両サイドの赤い部分は塗装ではなく、ハセガワのTFクリアーレッドを張り込みました。これ、独特のツヤ感があっていいんですよね。カメラ部なんかには最適だと思います。レンズの奥のグリーンのシールはスコープドックに使ったのと同じHiQの「レンズの底部センサー用メタリックシール グリーン」です。

この上にレンズ類を貼り付ければ完成。貼り付けは写真のようにアクアリンカーを使用。爪楊枝の先にとって、極少量で接着しました。

バイザーに取付けてみたりして。うん、やっぱりストライクドックのアイデンティティーは、カメラのデザインとダブルのアンテナなんだな、と再確認。


さて、もうひとつのアイデンティティー、左手のクロー部分に一工夫。真鍮線でクローを止めた後の目隠しのパーツに、ちょっと凝ってみました。

キットにはドーム状のパーツが付属しますが、あえて使わず、WAVEのOボルトの3mmのものを高さ1mmに削って接着。よりメカメカしい雰囲気を演出してみました。


バーニアも装着完了。接着はスーパーXで。


てな具合に、とりあえず基本作業は完了。この後はスミイレと若干のウェザリングを経て完成! となります。仕上がりはギャラリーでお楽しみ下さい。

さてさて、今回の作例WAVE 1/24レジンキャストキット「X・ATH-02 ストライクドッグ」、いかがだったでしょうか? プラキットを作る人がどんどん少なくなっている今日ですから、レジンキットを作る人はもっと少なくなっているわけで、社会状況としては厳しいレジンキット業界。でも、『模型』として非常に魅力にあふれるジャンルだということがわかっていただけましたでしょうか。本音を言うとね、もっと『オレの思うスコープドックはこうなんだっ!』的な暴れん坊のキットなんかが出てくると、もっと面白いんじゃないかと思うんですけどね。じゃぁオマエがやれよ、って話になっちゃうのが、これまたガレージキットの面白い所でもあるわけです。そういう自由な発想が模型をもっと楽しくするんじゃないのかなぁ、ってところで年末年始のボトムズ祭りは終了。

次は何をつくろうかなってところで、お後がよろしいようで。

(C)サンライズ

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