線香亭無暗のやたら模型制作室

新年 明けましておめでとうございます

皆さん、お正月はどのように過ごしていらっしゃったでしょうか? ワタシの年末年始は模型以外の仕事に追われて大童。非常に混乱した状態で過ごしております。でも、大晦日から数日にわたって連載とは関係ない模型を作り続けるという、忙しいのに輪を掛ける不思議な過ごし方をしてしまいました。年頭からこんな過ごし方でいいのか?? と思いつつ、モデラーとしては正しい過ごし方のような気もするので良しとしようと思います。思い返せば去年は震災を初め、本当にいろんなことがあった年。『物を作るってなんだろう?』と考えさせられることの多かった1年だったような気がします。今年はなんとか穏やかに過ぎるといいなぁ、なんて思いつつ、今年は年男という2012年。本年も皆さんに喜んでいただけるような記事をお届けしたいと張り切っております。そんな訳で、2012年もモデラーズ・プレス・ジャパン『やたら模型制作室』を宜しくご愛顧のほど宜しくお願いいたします。
さぁて、正月気分はここまで。早速作例にまいりましょう!!

昨年から引き続き、WAVEさんの1/24レジンキャストキット「X・ATH-02 ストライクドッグ」2回目。前回はレジンキットの基本的な工作方法と両腕を組んだところで終わってました。今回はまず足から。

これが両足のパーツ。非常にシンプルでわかりやすい。ボトムズを良く知っている方なら説明書がいらないくらい。

実は組み付けを確認している間に片足は出来上がっちゃった。それくらいシンプルに、わかりやすく構成されています。それじゃあ、細部を見ていきましょう。

まずはフトモモ。股関節の可動にちょっと凝った機構を取り入れています。写真右のように、ポリキャップを仕込んだフレームを組み込む仕掛け。ベースとなる四角いブロックは外装パーツを組み付ける際の補強&ガイドにもなっており、なかなか考えられた仕様です。ただ、ちょいと困ったのは外装部の平たいほうのパーツが変形していて組み付け時に隙間ができるという事。

実は、これはレジンキットの泣き所。大きなパーツや細長いパーツなどに変形が出やすいんですね。これは化学変化で硬化するレジンの特性上、完全に無くすことは不可能です。まあ、プラモデルのヒケみたいなもんですな。変形が小さな時は接合面にヤスリをかけて平面を出せばいいんですが、それでも収まらないときにはこんなふうに解決します。

はい、こんなふうにパーツを固定しておいて、ドライヤーで暖めて修正します。写真では目玉クリップで固定していますが、輪ゴムとかハタガネなんかで止めるという手もあります。そのあたりはパーツの形状や変形具合を見て判断します。レジンは温めると非常に柔軟に曲げることができる素材。例えばこんなふう。

かなり太いランナー。5mm角ぐらいあります。これをドライヤーで暖めて、指で曲げると、

簡単にこんなふうになります。もうまるで、自分がユリ・ゲラー(古いか!? 知らない人はネットで検索!)かなんかになったように、簡単に“くにゃっ”といきます。なので、レジンパーツの変形を直すのは“熱”だと覚えておくといいでしょう。ただし、熱湯なんかに浸けると、取り返しの付かないことになるので、やっぱりドライヤーが便利。パーツを組み付けて止めておいて、ドライヤーである程度熱したら、今度は冷風をあててパーツを冷やすこともできますからね。レジンキット制作の基本技と覚えておいてください。

さて、お次はスネ部分。

ご覧のとおりのシンプル構造。5mmポリキャップを挟んで止めるだけ。ただ、ここでもパーツのすり合わせは重要です。先ほど書いたレジンの特性で、体積の大きいパーツほど収縮率が高く、特に大き目のパーツはプラキットほどきっちり合わないんですね。レジンキットを作りなれない人は、たぶんこの辺が“イヤになっちゃうポイント”なんだと思います。解決方法はただひとつ、「しっかりとヤスリがけし、パーツの成型をしておくこと」。このスネの後ろ側なんかもモロに接合部が出てしまいますから、しっかりと処理しておきます。面倒に感じる方も多いかなぁとは思いますが、考えようによっては「すんごくきれいに合わせ目が消せた!」というドM的な快感を得ることもできようというもの。

でもって、作業は続く。このキット、足首後ろ側のアーマーを挟み込んで接着するようになっているんですが、それだとスネパーツ、特にアーマーの取り付け部分の成型がしにくいので、後ハメできるように取付け部の形状を加工しました。ついでに強度確保のためにアーマーの取付け軸も1mm真鍮線に差換え。これでスネのパーツをしっかりと成型してからアーマーを撮り付けることができます。

お次は足首。

この足首部分も“しっかり成型ポイント”。スネと同じように接合面をしっかりと整えてから接着します。接着には高粘度の瞬間接着剤を使用。うまいこと仕上げるコツは、「ここは隙間ができそうだなぁ」という部分は面から接着剤がはみ出すように接着し、硬化後に成型すること。瞬着の硬化促進剤などを使うと手早く作業が進められます。

で、ひととおり成型の終わったスネと足首。接着してから見つかった隙間には、パテ代わりに瞬着を流し込んで成型しています。レジンと瞬着は非常に相性のいい取り合わせで、殆んど瞬着だけで仕上げるという人も多くいます。ワタシは捩じれや大きな力がかかるところにはエポキシ系かSUPER X、それ以外のところには瞬着というように使い分けています。

さて、続いてはヒザ裏のアーマー。

ゴメン、成型前のパーツの写真を撮るのを忘れてた。キットでは、ヒザの関節パーツにはめ込むだけでいいようになっているんですが、微妙に組みつけが緩い感じがしたのとアーマーの成型がしにくかったので組み付け部のでっぱりを削り落とし、1mmの穴を空けました。

組み付けはこんな感じ。左右から1mm真鍮線を通して固定。面位置で真鍮線をカットして瞬着で止め、成型します。

真鍮線の目隠しにWAVEの角リベットを貼り付けてでき上がり。しっかり止まって稼動もスムーズ。

こんな感じで作業してたら両足ができちゃった。まだ付いていないパーツもありますが、モノによっては塗装後に取付けたほうが良さそうなパーツもあるので、一応足のでき上がり。

さあ、残りは胴体。

まずはパーツの確認。このキット、コクピットは再現されていないのでパーツ構成はいたってシンプル。バックパックを含めてもこれくらいのパーツ数です。胴体と頭部は中空になっていますから、腕に覚えのある方は「コクピット完全再現」なんていうのも楽しそうです。基本的にはドック系の操縦席と共通点も多いので、他のキットからパーツ流用なんて事もできそう。うう、やりたい……。けど、それをやると確実に完成が2月を過ぎそうなので、今回はあきらめます。これが作例のつらい所(泣)。


さて、胴体まわりで最初に手を付けるのは頭部。説明書によると頭部の裏側に3mmプラ棒を接着し、首の付け根と胴体に開けた穴に通すように指示されています。

つまりこういうことですな。首の付け根パーツは胴体に接着しますが、構造がわかりやすいようにこんな感じで撮ってみました。

裏側はこんなふう。つまり差し込むだけなんですが、それじゃぁちょっと心許ない。

そこで、こんなパーツを用意しました。用意したっていったって8mmプラパイプを切ったのと、外形5mm内径3mmのポリキャップを持ってきただけ。

ポリキャップの軸を切ってパイプの中に入れ、胴体裏の穴を空けた部分に接着すれば逆さにしても頭が外れないという仕掛け。接着は瞬着で。パイプのお尻に瞬着を流し込んで、ポリキャップも強引に止めてしまいます。大丈夫、出来上がったら見えないところだから。

頭の裏側に3mmプラ棒を接着し、胴体の穴に差し込めば、はい、しっかり収まりました。

左右のスイングも滑らか。うん、うまくできたな。


さっきのプラパイプを切出したついでに、1.5mmほどに切出したプラパイプも用意しておきます。これは下半身との接続部分に使うため。キットの仕様ではポリキャップを接着するだけになっているんですが、それだけじゃ心許ないので、ポリキャップの止パーツとして使用します。

まずはポリキャップ自体をSUPER Xでしっかりと接着。接着剤が硬化したら、切出したパイプを穴に入れて接着。これで胴体を外す時にポリキャップごと取れてくることもなくなるはず。

で、他のパーツも成型後に接着。上半身ができ上がりました。

おっと、ドック系では欠かせない重要パーツ、バイザーとカメラ部を忘れてた。といってもここも非常にシンプルな構成なので、各パーツの成型をしっかりとしただけ。

それをちょいちょいと取り付けたら、今度こそ上半身はでき上がり。


お次はバックパック。ボトムズ世界では「ミッションパック」なんて呼ばれることもあるようですが、このストライクドックは専用の機器を搭載しているのでバックパックでも良いのかな? いけないのかな??

なんてことは置いといて、ここも非常にシンプル。大きなパーツ修正なども無く、簡単に組み上がります。ストライクドックの大きな特徴でもある左右のブースターは、付属のポリキャップの3mm径のランナーで止めるようになっています。あ、忘れてた。バックパックの本体パーツの上面あたりは、面処理をしていたら気泡が出てきたんだった。まあ、それらの修正は前回の記事で修正済み。詳しくはそちらをご覧下さい。

上半身に組みつけてみましたよ。おお、カッコイイ!!

ここまできたら下半身も組んじゃおう。

これが下半身のパーツ。WAVEのドック系プラキットと、ほぼ同様のパーツ構成。写真は大まかなパーツ成型が終わった所です。各アーマーを止めるU字型のパーツは可動がスムーズに行くように特に丁寧に成型。

面白いのは左フロントのアーマー。矢印型に記されているマークが別パーツで再現されています。ここは面を平面にしたいので、しっかりとヤスリがけ。

股関節部分はディテール付きの軸を差し込む仕様。基部にはメカディテールが施されています。塗装で見せ場が作れそうな場所ですな。さあて、後はこれらのパーツ小組付ければ……、

できた!! なんか物凄くスムーズに出来たような気がする。複雑な可動やディテールよりも「それが立体物としてそこにあることの価値」を追求するという、このキットのコンセプトが非常によく体感できます。恐らくカラーレジンを採用しているのもその辺りを考えての事なんでしょうね。

さて、残すは塗装と仕上げだっ!! という所で今回はここまで。この分だと次週で完成まで持っていけそうですな。はてさて、どんな仕上げになることやら。

てなところで、次回も、乞御期待!!

(C)サンライズ

詳しくはWAVE HP
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2 Responses to “WAVE 1/24レジンキャストキット「X・ATH-02 ストライクドッグ」 その2”

  • うさぎ小屋の住人:

    形状を戻すのはこうやったらいいんですね。
    勉強になりました。
    熱湯よりドライヤーで暖める方が良いのはどうしてですか?

    あと、瞬間接着剤にも色々ありますが、
    今回スーパーXを使っているのには理由があるんでしょうか?
    WAVEのハイスピードや低粘度とかは違いが分かるんですけど。

    • 線香亭 無暗:

      うさぎさん

      毎度ありがとうございます。

      >熱湯よりドライヤーで暖める方が良いのはどうしてですか?

      レジンは熱で曲げやすいのですが、裏を返せば「熱に弱い」素材でもあります。
      温度にもよるんですが、熱湯に浸けると
      パーツの厚い部分は熱が通りにくく、薄い部分は熱が通りやすいため、
      余計に歪めてしまうことがあります。
      ドライヤーのほうが安全、確実に修正できるんです。

      >瞬間接着剤にも色々ありますが、
      >今回スーパーXを使っているのには理由があるんでしょうか?

      これはちょっと説明不足でしたね。スイマセン
      『スーパーX』はセメダイン株式会社が販売している多用途接着剤で瞬間接着剤ではありません。
      作例で使用しているのは『SUPER X Gold』というもので、
      異なった素材同士や接着面が多少不均一でも、強力に接着でき、耐衝撃性もたかいというものです。
      こういった接着剤が発売される前には、力のかかる場所にはエポキシ系接着剤を使っていたのですが
      2液を混合する手間がないので重宝に使っています。
      接着剤については次回原稿でちょっとフォローしますね。

      これからもMPJを宜しくお願いいたします。

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