線香亭無暗のやたら模型制作室
はい、皆さんこんにちは。
最近、塗装色についての質問を良く頂きます。「この作例のここに使ってる色はなんですか?」とか「こんな組み合わせにしたんですが、この色が上手くいかないんですけど」とかいうのが主流なんですが、中には「どうしてもその色で塗らなきゃいけませんか?」とか「この塗料が使いたんですけど、そのまま塗っちゃいけませんか?」なんていうのがあって非常に困ったりします。基本的に模型は自分の好きに塗っていいものです。違う色で塗ったからといって逮捕されるわけでもないし、税金が上がるわけでもない。問題は『何を考えて何をどう塗るか』だと思っています。「やたら模型制作室」では『こんな感じの仕上がりには、こんな塗装をしてますよ』という事を紹介しているわけで、決して強制しているわけでも何でもありませんので誤解の無いよう。その辺りは皆さんで良く考えて自由に模型を楽しんでくださいね。
てなわけでコトブキヤ 「1/100 SAV-07 ベルグドル(Ver.1P)」第3回目。張り切ってまいりましょう。

前回は本体加工はほぼ終了したものの、雨続きで塗装に入れず。なぁんとなくな感じで終わっていましたが、今回は早速塗装から。

珍しくサフなんか吹いております。使用したのはガイアノーツのサーフェイサー エヴォのグレーにプライマーと若干の黒を足して作ったオリジナルサーフェイサー。いわゆる自作のプラサフです。作り方は至って簡単。サーフェーサー エヴォガイアマルチプライマーを2割程度入れ、若干隠蔽力が弱くなったのをカバーするため少量のサーフェイサー エヴォ ブラックを足しただけ。今回はディテールアップに一部金属パーツを使ったのと、梅雨時の塗装であること、塗り分けのために何回か塗装の上からマスキングをする事を考えて、こんな下地処理にしました。プライマーは粘りを持って塗装面に塗料を粘着しやすくする成分が入っています。プラ相手でもこんな使い方ができるので大き目のビンに作っておくと何かと重宝します。注意点としてはエアブラシで吹いた場合、若干梨目になりやすくなるのでピッカピカのグロス仕上げにはあんまり向かないという事かな。

金属パーツを使ったところもこんな感じで違和感なく塗れてます。全体にこの自作プラサフを吹いて、下地処理は終わり。さて、ここからが考えどころ。今回の塗装について考えてみましょう。

これまでMPJに掲載してきたバーチャロン系作例は「OTライデン」と「マイザーデルタ」ですが、それらはいずれも“ハイエンドCG”を意識した仕上がりを目指して塗装を考えたもの。でも今回のベルグドルでそれをやるのが、自分的にどうもしっくりこないんです。多分デザイン的に、より実用的な感じ、『プロダクトっぽさ』が前面に押し出されているからだと思うんですが、ベルグドルにピカピカ仕上げをしてもグッと来る感じがしない。そこで今回はより“実機”チックに仕上げたいと思います。そうなるとまず気になるのは基本のグリーン。結構強烈なビリジアン系のグリーンが基本色となっているんですが、その辺りをアレンジすると面白いんじゃないかと考えました。で、作ってみたのが下画のようなカラーチャート。アドビのイラストレーターというソフトで作りました。

上の3つは基本色のバリエーション。いちばん左が指定に近いビリジアン系のグリーン。真ん中は明度を上げて彩度を落としたもの。右側は真ん中の色を基本により明度を上げ、彩度を調整したもの。無難に行くなら左側。ちょっとアレンジした真ん中。難しそうだけど面白そうなのが右側。む~ん、悩みどころだ。と、考えること22秒。何事も挑戦だ、と考えて上段右のグリーンをチョイスすることにしました。要はどんなグリーンで塗っても最終的にベルグドル1Pカラーに見えればいいんだから。
で、ちょっとばかり不安だったので、それに合わせる各色を考えたのが中段の4色。いちばん左はフトモモや二の腕に使う薄いグリーン。イメージとしては現用の飛行機なんかに使うダックエッググリーンの薄いヤツという感じ。真ん中のグレー2色はいつも使っている「他の色と合わせると白に見えるグレー」と「ギリギリで黒に見えるグレー」。どの模型でも多用する色なので大きいビンに大量に作ってストックしてあるものです。右端の黄色は考えどころ。もっと薄いほうがいいかもしれない。で、各色のマッチングを見るために重ねてみたのが一番下の段。薄いグレーは機体各所にあるホワイトラインに使う予定です。ううむ、黄色はイマイチわからない。こういう時は塗ってみて確かめるのがいちばんだ。という事で、今度は実際の調色。

はい、それぞれの見本に合わせて作った色をプラバンに塗ってみました。


グリーン部分だけをアップにしたもの。やっぱりいちばん右側が魅力的。


他の色とのマッチング部分。これなら何とかいけるんじゃないかという感触を得ることができました。よし、本格的に調色するぞ。というのも、この見本に塗った色は全部塗料皿に作って塗ったもの。本体に塗る色はこの見本を参考に、若干の調整をしながらビンに作ります。これは、後で塗料がなくなると面倒なことになるのと、他の模型を作っている時に「そういえばあの模型を作った時のあの色が欲しい!」ということがままあるため。こんなことをやっていると塗料のストックがどんどん溜まっていくので考え物なんですが、便利さには変えられないという事でこういう方法を取っています。皆さんはお好みで。

で、調色1色目。

本体のメインとなるグリーン。ガイアカラーのビリジアングリーンをベースにEx-ホワイトサンシャインイエローなどで調整したもの。見本に合わせて調色したので細かい混合比は定かでなくなっちゃいました。ポイントは若干の濁りを出すために純色マゼンタを極少量混ぜたところ。結果的にオリーブグリーン系の色になってますが、それよりも彩度がグッと高い色になっています。彩度の低い塗料の彩度を上げるのは大変ですから、こんな手法で混色したというわけです。


続いてはこんな色。二の腕とフトモモの部分です。これはプラッツの雪風の作例の時に作ったダックエッググリーンを白で薄めたもの。こういう時にストックがあると便利なんですね。


お次は黄色。サンシャインイエロー橙黄色を足した色をEx-ホワイトで明度を上げたもの。


そして忘れちゃならないインテリアカラー。殆んどの色を調色して使う私ですが、これだけはそのまま使うことの多い色。使いやすいように空き瓶に入れ変えて、エアブラシ用に濃度を調整してあるものです。


これらもストック色。左から「ギリギリ黒」「ギリギリ白」「ニュートラルグレー」の3色。私の作例では最も良く登場する色です。前の作例を見て探してみたりするとヒマつぶしになって楽しめるかも。

さて、塗料の調色も終わったら早速塗装。今回は梅雨の晴れ間を狙っての塗装となるのですっ飛ばしていきます。

という事で塗装風景。このベルグドル。意外と塗装順が重要です。


この辺りはグリーン塗装後にマスキング→グレーといった塗装順。


脚はフトモモのライトグリーンを塗ってからマスキング→暗いほうのグリーン→グレーという塗装順になります。複雑な塗り分けの時は各色をいっぺんに塗り終えようとせず、あえて行ったり来たりするというのも選択肢の一つ。マスキングが楽な手順がきれいに仕上げるコツです。なのでグリーンを塗った後でグレーを塗り、もう一度グリーン、何てことも起こります。そのためにもビンに多めの塗料を作っておくんですね。

じゃ、基本的な塗装が終わった各部を見ていきましょうか。

まずは胴体。赤い部分はサンシャインレッドに白と黄色を足してギリギリで補色に引っかかるか、かからないか位に調整したものを塗っています。写真だと真っ赤になっちゃってますけど。


腕はこんな状態。ポイントはフレーム部分の金属色の塗り分けと二の腕に使ったライトグリーン。ライトグリーンはこうやって塗りあがってみると白く見えます。うむ、狙い通り。


続いて脚。ここはブラック・ラインが入らないと締まりませんね。まあ、その辺りは次回御期待という事で。


頭はこんなふう。この後のホワイトラインが厄介そうだな。


肩部のコンテナ。内部も塗装が終わってます。ううむ……黄色がちょっと薄かったかな……。


手首は自作の右拳も良い感じ。それなりに仕上がってますが表面処理が汚かったのでやり直しだな。


股関節ブロックはこんな構造になっているので、塗り分けが楽で大変嬉しい。股間フレームはもう一味欲しいところなので考えます。


こんな塗りわけもありますよ。フラットブラックの下地にグレーのラインの塗り分け。大変そうに見えますが、全体をグレーで塗った後にエナメルのフラットブラックを重ねて拭き、エナメル溶剤を沁み込ませた綿棒でライン部分を拭き取っただけ。多分これが一番ラクチンな方法です。


ミサイル基部もそれなりに塗り分け。設定にはありませんがこんな感じの仕上げもいいのではないかと。


ミサイル本体はこんな感じ。白に見えるところはインテリアカラーで塗装しました。

さて、こんな所で今回はそろそろ終了。とりあえず1回組んでみました。


今回は塗装について色々と考えてみました。設定どうりに塗るのも楽しいんですが、ちょっとオリジナリティを追求するともっと楽しい。その辺りが模型作りの“肝”のような気がします。次回はいよいよ完成編。楽しみにお待ちくださいね。

てなとこで今回はここまで。次回も乞御期待!!

(C)SEGA CHARACTER DESIGN:KATOKI HAJIME

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