はい、皆さんこんにちは。
いよいよ昨日から静岡ホビーショーが始まり、各社気合の入った新製品が発表されています。私線香亭も、モデラーズクラブ合同展のサークル名「バナナ」という所で、MPJで作ったコア・ファイターの作例を展示させていただきます。なにやら1ダースばかりのコア・ファイターが並ぶとのことで、今から楽しみ。会場に足を運ばれる方はぜひ見てみてくださいね。
で、それはそれとして私線香亭、なんだか先週のトレフェスイベント後から体調が最悪。肩が痛いのはそのまま、頭も痛いし腰も痛い。一昨日辺りから何とか通常作業ができるようになったものの、まだ本調子じゃない。それでも手先だけは普通に動いて模型を作っているという――我と我が身の業の深さを感じずにはおられません。そのうちカフカの変身の如く、朝起きてみたら“恐怖の模型人間”か何かになってたりして。片手がニッパーで片手がカッター。口に含んだ塗料を0.2mmの細さから100mmまで自由自在に調節して吹き付け可能!! ……ん、意外と便利かも……。
なんてバカなことばっかり書いてないでサイバーホビー「1/35 WW.Ⅱ ドイツ軍 IV号対空戦車 ヴィルベルヴィント 初期型」3回目、張り切ってまいりましょう。
前回までで基本的な塗装は終了。
この状態からスミイレして明るいサンドイエローかなんかで軽~くドライブラシをかけると、市販の塗装済み完成品っぽく仕上がります。“ハードなウェザリングは嫌いだよ”っていう方はそれくらいの仕上げが良いかもしれません。
私はウェザリング大好き、むしろそれが楽しくてAFVを作りたいくらいなので、ここからが本番です。
このヴィルベルヴィント、モノの本を読んでみると、まるっきり新品でロールアウトした車体は殆んど無く、後方に戻ってきたⅣ号戦車の車体をオーバーホールして改造されたものの方が多かったようです。当時の写真資料などを見ると車体にだけツインメリットコーティングがされていたり、フェンダー類だけが明らかに新品という車体を多く見ることができます。今回は“初期型”ってことで、全て新なパーツで組まれたヴィルベルヴィントを想定しました。移送中に何度か戦闘を経て部隊に配属されたばかり、といった体で仕上げたいと思います。
さて、それでは作業開始。
まずは全体に薄めに溶いたタミヤエナメルのハルレッドを塗りつけます。
これで全体のトーンを整えるのと、スミイレ代わりにもなるという、一石二鳥な方法。ウォッシングとフィルタリングを兼ねたような按配です。こうやって見ると効果がわかりにくいんですが……、
まだ処理していない砲塔部分を乗せるとはっきり違いがわかります。この車両の配備時期は正式な記録によると1944年9月から。ヨーロッパ周辺では降雨量も少なくなり“そろそろ夜は冷え込んできたよねぇ”(大分おおまかですが)的な気候のはず。今まさに冬に向かおうとする時期の、少し暗い雰囲気を塗装で再現したかったわけです。
そして砲塔部分もハルレッドを塗りつけ。お次は塗料の乾燥を待って装備品を取り付けていきましょう。
はい、毎度ながら写真で見るとあっという間。
車体左側はジャッキなど。ちなみにエンジンの横っちょにあるのは対空砲の予備バレルを収納するケース。
車体右側は消火器やらフックやらワイヤーカッターやら何やら。ちなみに金属色の塗装はガイアカラーのスターブライトアイアン。です。
続いてお気に入りの対空砲。
ここは可動部もあり、あんまりジャブジャブとウォッシングしてしまうと大変なことになりそうだったので、面相筆を使ってそうっとウェザリング。銃部分の塗装はやっぱりガイアのスターブライトアイアン。ガンメタルや焼鉄色だと若干赤っぽいんですが、スターブライトアイアンは“黒っぽいシルバー”といった雰囲気なので結構お気に入りの色です。もしも色味が欲しい場合は、後からエナメルのクリアーレッドなりクリアーブルーなりを重ねて色味をつけられますから便利です。
お次は車体後部。
見せ場はマフラーの錆具合。
100均で買った茶漉しでパステルを粉状にしてエナメル溶剤を含ませた筆で塗りつけていきます。
下地はスターブライトアイアン→ガイアカラーのジャーマングレーをごく軽くエアブラシ。その上にタミヤエナメルのグレーを筆塗りした後、エナメル塗料が生乾きのうちにエナメル溶剤で溶いたパステルを乗せていきます。光が当たるとちょっとだけ光るってのがポイント。
パステルによるウェザリングは錆表現だけではありません。車体の下側の泥汚れの表現でも大活躍。
上の写真はエナメル塗料でざっと汚した状態。大き目の平筆でザックリと塗料を塗ったところ。
まずは明る目の茶色のパステルをエナメル溶剤で溶いてフェンダー下、底面に塗りつけ。
それが乾燥したら調子を見ながら、さっきより一段暗い茶色のパステルをエナメル溶剤で溶いて乗せていきます。
お次はサスペションやドライブシャフトまわり等にこげ茶のパステルでオイルっぽい汚れの表現。
底面も同じような手順でそれらしく汚します。
今回使用した3色の茶色が良くわかる箇所。フェンダー裏に付着した泥汚れの表現です。
両側の汚しが済んだらロコ組みしたキャタピラをつけてしまいましょう。
はい、まるっきり新品な感じの足回り。キャタピラがやや弛みすぎの感がありますが気にしない。だってもう組んじゃったもんね。
ます最初は中間になる茶色のパステルをエナメル溶剤で溶いて筆塗り。薄めに全体に塗ります。
続いてこげ茶色のパステルを筆塗り。この時はより多く泥が付きそうな所にパステル粉が集まるように乗せていきます。
前までの塗装が完全に乾いたら、オレンジ色のパステルをごく少量、錆が出そうな部分においていきます。
最終的にはエナメルのフラットブラックを薄めに溶いたもので全体の調子を調整。後は乾燥を待って部分的に地色が出てくるよう拭き取りを行います。
乾燥を待つ間にキャタピラの接地面も汚しをかけておきましょう。
世の中でこんな風に汚れた機械類を見てみると、単色で構成されていることはまずありません。必ず数色の要素が混ざって全体の色味を構成しています。なのでそれを表現するべく、数色の茶系塗料やパステルを使って調子をつけていきます。
はい、出来上がり。こんなもんでいいだろう。写真は部分的にエナメル溶剤を含ませた筆でなぞったり、綿棒でパステルを拭き取ったりした状態です。まあ、こういったウェザリングは最終的に殆んどお絵描き状態になってしまいます。それが楽しいんですけどね。
さて、今回はそろそろ終了。次回は上面の細かいウェザリングをやってみましょう。
いやー、実はこのヴィルベルヴィントに、『初めてヴィルベルヴィントを見て呆然とする兵士』というフィギュアを付けてみたくなって、いくつかキットを購入してみたんですが、どれもイマイチ。そんな感じのフィギュアをご存知の方、良かったら下記のコメントでお知らせ下さい。やっぱりAFVのフィギュアってストックが必要だなぁ、と思い知らされた今日この頃でした。
てなわけで、今回はここまで。次回はいよいよ完成編。
それでは次週も、乞御期待!!