昨年12月12日、有明の東京ビッグサイトにて行われた「トレジャーフェスタin有明4」内で開催されたガイアノーツの「塗料・塗装講座」は大勢の皆さんにご覧頂き、大盛況のうちに終了した。前回からのメンバー、ガイアノーツの矢澤乃慶氏、フィギュアフィニッシャー/模型ライターのクボワタル氏、MPJメインモデラー線香亭無暗氏に加え、フリーライター/模型製品プランナーであり、各方面で活躍されているヤマザキ軍曹殿も加わり、より熱い塗料、塗装に関するトークが繰り広げられた。ユーザーの皆さんからの質問は、既にガイアノーツHP(http://www.gaianotes.com/)にてレポートされているので、ご覧になった方も多いだろう。MPJではユーザーの皆さんからの質問だけでなく、当日繰り広げられたトークを中心にご覧いただこうかと思う。
当日は2時間以上という長時間のイベントとなったため、数回に分けて掲載させていただこうと思う。当日の様子をお楽しみいただきたい。


Q.もっと大きい容量の塗料は出ないの?

ガイアノーツ矢澤氏(以下 ガ)「まずは最初の質問からですが、『白、黒、クリアーなどのよく使うカラーは今の50mlよりも大きい500ml等で発売してくれないか。』という質問なんですが」
ヤマザキ軍曹殿(以下 ヤ)「そんなに使うかね。みんなそんななに塗ってる? 500ってけっこうあるよ。そんなに減らないよ」
線香亭無暗(以下 無)「ガイアさんのでっかい50mlのビンで、20cm位のキットを月に2キットぐらいは塗ったとして、二ヶ月位は十分に持つ。ガイアさんの塗料に限らず、塗料は時経変化で劣化しますからね」
「そうそう」
「確かに蛍光色みたいなものは劣化も早いので、小さいサイズのものを使い切っていただけると良いのかな、というのはありますね」
「今の50mlのサイズがベストなんじゃないですか。良く使われる方は」
クボワタル氏(以下 ク)「私の場合はフィギュアなんで、メカなんかに比べて使う色っていうのは限られちゃうんですけど、白とクリアーだけを異常に使うんですよ」
一同「はぁぁー」
「白は艶消しのもの。クリアーは艶ありと艶消し両方使うんですけど、これは今の大瓶でも足りないくらい使うんで、一時期は他社さんから出ていたこんな大きいビンのものを使ってたこともあります」
「ああ、○○社さんのですね。でもまあ、そうやって仕事で使われるのであればそれなりに減っていきますけど、通常、休みの日とか、仕事から帰ってちょっと吹くという方であれば、一ヶ月に50mlビン1本でいいところじゃないかなぁー」
「(500mlのペットボトルを指して)500mlってこの大きさですからね」
「まあ、飲み物の大きさですよね(笑)」
「多分、普通に使われる方だと、一年で使い切らないでしょ」
「確かにそうかもしれないですね」
「あと考えられるのは、結構薄めで気圧高く吹いちゃってると、塗装面に付着しないで塗料が逃げてるっていうのがあるんですよね。ロスのほうが多い」
「後でお話しすると思うんですけど、私は肌色にクリアーを80~90%くらい混ぜるんです。それはもう“どんどん逃げていってるクリアー”です」
「まあ、そういうお客さんはガイアノーツさんにとっては非常にいいお客さんなんですけどね(笑)」
「そうですね。沢山消費してくれてる(笑)」


Q.グラデーションのきれいな塗装ってどうするの?

「続いての質問なんですが『グラデーション塗装のきれいなやり方についてぜひ実演して欲しい』という事なんですが、すいませんいろんな関係で実演はできないんですが、もし、言葉で説明できるようなことがあれば」
「私の場合、フィギュアなのでグラデーションがかかっていない所がないってほどグラデーションで塗るんですが、あえて言うなら塗装の初めのほうは物凄く薄くしますね。薄め液で薄くするんじゃなくて、クリアーを混ぜて薄くする。例えば赤い髪の毛でもうんと薄い赤を吹いておいて、それをどんどん重ねていくようにしてます。そうやって、失敗してもリカバリーできるようにしています」
「薄め液で薄めてしまうと、吹きすぎた時にフチなんかに塗料がどんどん溜まってきたりという事がおきちゃうんで、クリアーで色の薄さをコントロールして、後は普通の希釈で重ねているということですね」
「そうです。薄め液で薄めてしまうと一度にドバッと吹いちゃって、そのフィギュアは“おじゃん”なんてことになるので。それでもこの方法だと、どれくらい色が乗っているのかがわかりにくい所があるんで、難しいといえば難しいんですけど、そうやって練習するのがいいと思います。慣れてくればだんだん塗料を濃くしていって、ワンストロークでグラデが決まるくらいになりますから」
「グラデのフチの所の塗料の荒さみたいな部分は”一発で決める”っていうのは難しいと思うんですけど」
「そうですね。色にもよりますからね。後は例えばこの(見本のフィギュアを指して)髪の毛の黄色なんかはガイアさんの『紙の毛色の黄色に白を混ぜた色』をベースに吹いておいて、その上から『白を混ぜない生の紙の毛色』を影の部分に乗せてます。そっちの制服なんかは黒なんですが、最初に物凄く薄いグレーを吹いておいてジャーマングレーで影の部分を吹いています。そうすると全く同じ色をベースに白を混ぜただけっていう色でやっているから馴染みがいい。エッジが変に浮いてしまうこともないし、リカバリーもしやすいんです」
「今のお話のグラデーションという事になると“=陰影”っていうことになりますね」
「そうです。フィギュアの場合は基本的に“へこんでいる所”“出ている所”を表現するためにグラデーションを使いますから。フィギュアの場合は同系色を使ったグラデーションになりますから、ぶっちゃけごまかしが利きやすい。よく見ると“ここ失敗したな!”って部分もある」
「軍曹殿の場合は、グラデーションはどうしてますか?」
「僕の場合はまず基本色を決めて、そこに黒を足していくのか、元の色にホワイトを足していくのかのどっちかを先に決めるわけです。その模型で表現したい色によるんですが、僕の場合、大概、基本色として使うのはガイアカラーのまんまなんですよね。めんどくさいのと、何パーセント何を足したかを忘れちゃうから(笑)。それと、なくなった時に困るから。混色して吹いてる時に途中でなくなったら、結構青ざめるでしょう、みんな」
「たまに説明書用に“何パーセントって出してください”っていわれるんですけど、困りますよね、あれ」
「困るでしょう。覚えてらんないからそのまま近い色でって。で、グラデーションの場合は最初の色に白を足すとしたら50%とか足しておいて、最初は塗料1に対して溶剤1~1.5位にして吹く。3倍まで行くと塗料が乗んないから。で、僕の場合、“褪色”って呼んでますけど、塗装面の真ん中に行くにしたがって色が抜けていく感じを表現したいんで、最初の塗料に薄め液を大体2.5~5倍くらいで、コントロールして吹いてます」
「はぁ~なるほど」
「で、コンプレッサーの気圧は2以下。2.5以上で吹くと全部色が飛んじゃう。強すぎてどっかいっちゃう。プラモデルで2以上いらないですよね」
「ええとねぇ~、早く塗りたいときは結構な圧でバンバン吹いたりします」
「フィギュアだともっと低いですね。1なくてもいいと思います。前のイベントで、コンプレッサーどれ買えばいいですかって質問のときにもいったんですけど、一番安いやつでいい。フィギュアだけだったら“金魚鉢のブクブク”っていうやつを転用して作ってるようなコンプレッサーでかまいませんので」
「僕もそんなに高い出力のやつは持ってない。プラモデル塗るのには十分ですよね」
「へえぇーそうなんですか」
「ちょっとグラデーションの話に戻ると、グラデーションのボケ足がうまくコントロールできないっていう人は、塗装面に対して変な角度で塗ってる人が多いんですよ。エアブラシの最も効率的な塗料の乗せ方は直角に吹くことですから。平面に塗るならわかりやすいんだけど、パーツに塗るときには直角がわかりにくいんで、思ったよりもボケ足が出なかったり、長すぎたりする。まずは直角に吹くことを意識するのが基本だと思います」
「それってもうひとつ効用がありまして、くぼんだ隙間なんかには直角に当てないと塗料が乗らないんです。常に塗装面に対しては直角を意識する」
「角度に関しては意外と無頓着に吹いてる人って多いですよね」
「あとは圧力が高すぎて近くに寄せられない人とかね。近くに寄せないとグラデーションってちゃんと出ませんからね。塗装面とブラシが一番近いときは1cmないこともあるんで」
「逆に車みたいに均一な塗装面を作りたいときには圧をバンバンに高くして大量に吹く。理屈がわかってるとモノによってどういうふうに吹けばいいのかがわかってくる」
「さっきの塗料の消費量でいうと、車ばっかり作っている人は塗料の消費量が多いですよ。矢澤さん、今、車用カラーは大瓶で出しちゃおうと思ったでしょう」
「いや、もう出てます」
一同笑


Q.ガイアカラーの使用期限ってあるの?

「では次の質問です。『ガイアカラーに使用期限はありますか?』という事なんですけれども、これにお答えしたいと思います。いってしまえば“固まらなければ平気”“ゲル化してなければ平気”っていうところがあるんですが、半永久的に使えるかというとそうでもない。5年ぐらいを目安に考えていただければと思います」
「意外と持ちますね」
「ホントだね。意外と持つ」
「いや、自分も10年前くらいに作った塗料がいまだに使えたりするんですけど、カチカチになっちゃうといくつかの成分が抜けてしまうんで」
「安定剤が抜けちゃうんですよね」
「そうですね」
「そういえば最近見なくなったね。昔の塗料って固まっちゃうと、仮面ライダーのコインみたいなのがビンの中でカラカラ言ってるっていうのがあったでしょ」
「塗料が痩せちゃってね。タトバコンボみたいな(笑)」
「そうそう。でもガイアカラーの場合、創設された頃のヤツを持ってたりするけど大丈夫だな」
「そろそろ買い換えてください(笑)」
「ちょっとガイアさんをヨイショしておくと、中蓋がいいですよね。みっちりハマって、なかなか中身が抜けてこないという」
「それが使いにくいっていう意見も多いんですよ」
「確かに、私も最初に使ったときには、いちいち開けにくいんで、もうどうしてくれようかと思ったんですが」
「怒ってたわけですね(笑)」
「ええ(笑)。エアブラシ片手に塗料を取りたいときってあるじゃないですか。そういう時なんか困ったなと思ってたんですが、長年使ってると、あそこがぴったりはまってるから塗料が長持ちするし、いらない心配をする必要がなくなる」
「実はあのキャップも一回りくらい大きいのを入れてるんです。ただやっぱりいまだに作業性が悪いんでもう少し抜けやすいキャップにして欲しいというお声もいただくんですけれどもね……」
「いや、もうそのままでいいでしょう」
「速攻で決めちゃいましたね(笑)」
「僕もクボさんと同じ意見です。アレくらいが丁度いい」
「ガイアユーザーさんのためにひとつTipsを言っておくと、中蓋を上からギュって入れるとニュって上がってくることがあるでしょ、密閉性が高いので。あれ、ふたを閉める時に中蓋をほんのちょっと歪めて、中の空気を抜くように閉めてあげてください。そうすると中の気圧がほんのちょっと下がって、もっと密閉性がよくなるんで揮発しなくなりますよ」
一同「ほほーう」


Q.蛍光クリアーの研ぎ出しはできますか?

「次の質問です。『蛍光クリアーで塗装した後に研ぎ出しはできますか』という事なんですけれど」
「できますよ。この(作例を指差して)カメラの所に蛍光クリアーを塗ったんですけど、厚塗りになっちゃたんで、あとから研ぎました」
「乾燥するまで時間がかかりませんでしたか?」
「それなりにはかかりましたね。でもエナメルほど遅くはなかった」
「ちょっと聞いてみたんですけど、蛍光クリアーにも特殊な顔料が入っているという事なんですね。それも染料に近い顔料なんで、乾燥に若干時間がかかる。そこで蛍光クリアーでコートしたいという事であれば、通常のクリアーに蛍光クリアーを入れていただくと、通常のクリアーの早い乾燥が、蛍光クリアーの遅い乾燥を引っ張ってくれるという効果があるので、研ぎ出しも早くできるんじゃないかと思います」
「ばっと吹いてばっと研いじゃいましたけどね。大丈夫だった」
「俺もそうだなぁ。結構早いですよね」
「早いです」
「メタリックマスター使うと10分以内に乾くよ」
「それは乾燥の速い溶剤ですからね」
「溶剤によってもかなり違いますよね」
「車なんかだとクリアーにリターダー入れたりするもんな」
「リターダーって確かにいいものなんですけど、うまくスポットを浴びない製品なんですよね」
「この方は一体何に蛍光クリアーを塗ろうとしてるんでしょうね。それがまた問題ですよね」
「状況によりますよね」
「ポイントカラー的に使いたいのか、それとも全体をコートしたいのか、それによっても使い方が違う。でも気にするほど乾燥が遅いわけではないですから、大丈夫だと思いますよ」
「まあ、研ぎ出しの話からは少し離れますが、蛍光クリアーの乾燥が遅いということでは、そういった場合は軍曹殿が言ったようにメタリックマスター、この金色のキャップのヤツですね。こういったものを使っていただくと乾燥が速くなるということですね。あとは普通のクリアーに混ぜて使っていただくといいんじゃないかなと思います」
「実はメタリックマスターって気化率が高いんです。気化率が高ければ乾燥が速い。そういった塗料のほうが色が鮮やかに出るんですよね。だから、メタリックマスターという名前はついてるんですけれども、普通のガイアカラーに使っても発色はよくなる」
「原理としてはそういうことですもんね」
「要は顔料が沈まないうちに乾燥すると光の乱反射率が高くなるという事ですもんね。それはメタリックの粒子であろうが普通の顔料であろうが同じっていうことですよね」
「色っていうのは光の反射ですもんね」
「だから皆さんにメタリックマスターをいろいろな所に使っていただいて、効果を確かめて欲しい」
「今のお話で一番面白いのは、メタリックマスターっていう乾燥の速い溶剤があって、リターダーという乾燥を遅くする添加剤があるっていう所だと思います。うまく使うとそれぞれの場面で乾燥時間をコントロールできるってことですから」
「なるほど」
「ガイアカラーの場合、発色良すぎて使いにくいってこともあると思いません? 例えばSFのプロップモデルなんかのシルバーは、そんなにギンギンしたイメージがないのでメタリックマスターは使わない。あんまり激しい色だと“トイ”みたいな色になっちゃう。だから普通の溶剤で塗って、それでも強いときはフラットベースを混ぜちゃったりすることもある。塗料の性質を知って、いろんな手法で使い分けるのが塗装の面白さでもある。それでうまくいったら、ちょっと楽しいじゃないですか」
「そうですね。そうやって色々試してみるっていうのが無くなりつつあるっていうのがなんとも……。色々試していただきたいですね」


Q.「パールゴールド」「パールシルバー」「パールカッパー」はどんな所に使用していますか?

「では『フィギュア』と『メカ』というジャンルに分けると、フィギュアの場合はどんな感じですか」
「フィギュアではメタリック自体殆んど使わないです。例外があるとすればファンタジーものの武器とか。今の、学園が舞台のものだと金属っていうのは殆んどないですからね。メタリックをたまに使うとすれば鉄砲撃ってるか剣を持ってるかですね」
「なるほど。ヤマザキさんの前のロボットなんかはメタリックですけど、なんだか面白い感じになってますね」
「このライフルなんかはパールで仕上げてます。ブラックを吹いてその上からフラットのブルーパールを吹いてる。僕は“艶消しのパール”っていうのが好きなんで。黒の上にブルーのパールを吹くと明らかにガンブルーみたいな効果が出るんで。で、例えば今いった中で『パールシルバー』であれば黄色の上に吹いてみるとかね。今日は持ってこられなかったんだけど、今度初お目見えする模型は装甲をいったん全部デザートイエローで塗って、その上から『パールシルバー』を吹いてる。そうすると、アイボリー系のメタリックになる」
「いわゆる真珠色みたいな感じですか」
「そんな感じ。あと『パールカッパー』だったらブラウンの上から吹いたら効果としては面白いかな。本来だったら混色して色を変えるっていうところを、上からコートして金属色的な効果を出すっていうのには効果的だと思いますね」
「同じように粒子が輝いて見える塗料でも、メタリックとパールって違いますよね。板状の金属粒子が入っているのか雲母が入っているのかで、その上からクリアーがかけられるのかっていうのも違ってきますもんね」
「物凄くシンプルにいってしまうと、メタリックの塗料というのは細かい金属片が入ってるんです。金属片というのは平たい板を細かく砕いたものですから反射面が平たい。ところがパールの元になる雲母みたいな物は層になってぎざぎざに割れますから角度によって輝き具合が変わるんです。だから偏光するものは全部パールでしょ。あれは見る角度によって光が乱反射してるんです。ちっちゃいプリズムがいっぱい入っていると思えばいい。ってパール塗装を殆んどやらない俺が言うのもなんなんですけど(笑)」
「メタリックほどギラつかないようにするときにはパールに振るんですよね」
「フィギュアでパール使ったのって前回いつかなぁ~って考えてたんですけど、十何年前に作った『女神様』の羽生えてるヤツに使ったきり、殆んど使ってないですね」
「ずいぶん極端ですねぇ」

熱いトークは途切れることなくまだまだ続きます。次回の掲載に御期待ください。


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